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2006年8月12日 (土)

エスパー魔美(一)

陰暦 七月十九日

 どうもしばらく頭痛がひどくて更新を休んでしまいました。先週がとりわけ忙しかったというわけではありませんが、社会人になって早四年、そろそろ仕事も責任が増えて知らず知らずのうちにプレッシャーがかかっていたのだと思います。来週は夏休みですので、じっくりと心身を休ませようと思います。

 今週はずっと「エスパー魔美」を鑑賞していました。昭和62年(1987)の春から始まった番組ですので、最初の10ヶ月くらいはみていません。ですから今回リリースされた分はほとんど初見です。

 エスパー魔美、スペシャルを入れて全120話。藤子・F・不二雄先生原作の漫画は60話ぐらいありますから、ほぼ半分が漫画をアニメに起こした物語、半分はアニメオリジナルですが、今回のは一年目ですので八割方原作ありの作品。原作の方は学生の時に漫画で読みました。

 私はエスパー魔美が藤子・F先生の集大成であると思っています。ご存じの通り、藤子・F先生の漫画は長方形のコマ割中心で、枠を外したコマもなかなか作らない超古典的な作風です。それなのにあの広がりのある世界。そして大人しいようでいて、変転に富んだストーリー。あれこそが漫画であると私は思っています。

 アニメのエスパー魔美ですが、漫画の良さを良く引き出していました。脚本が富田祐弘氏(ペルシャのシリーズ構成・脚本、ウエディングピーチの原案)、もとひら了氏(クレヨンしんちゃん・マンガ初めておもしろ塾脚本)という今では大家となった方々が固めています。尺の関係で漫画にないシーンも当然挿入されているのですが、邪魔になっていません。

 藤子アニメは全体的に漫画と良く調和しています。藤子先生自体がスタジオ・ゼロというアニメ会社を立ち上げており(シンエイ動画の前身)、アニメ会社に意図を伝えるのが上手なのでしょう。というよりは、藤子漫画と藤子アニメの脚本を書く人が共通なので、だからお互いイメージを壊すことなく統一された世界を作っているのかもしれません。スタジオ・ゼロからシンエイ動画の藤子作品(及び赤塚ギャグ・石ノ森作品)の流れは、日本で初めて成功したメディアミックスのエンターテイメントとであったのかもしれません。

 私は漫画にも毎回スタッフロールを出して欲しいと最近思っています。特に小林よしのり先生や弘兼憲史先生のように最近は漫画が政治運動と関わりを持っているという現実があり、同じ漫画家が脚本家や出版社の違いにより180度違うことを主張したりしていて読者は混乱します。スタッフが公開されていれば、漫画家が変節漢のような評価を受けることもなくなると思うのです。

 さて、「エスパー魔美」ですが、これから気に入ったお話をいくつか紹介しようと思います。まず好きなのは第4話の「友情はクシャミで消えた」。高畑君の「僕は嘘が嫌いなんだ、嘘をつくのもつかれるのも」という言葉と、その後魔美ちゃんをかばうために嘘をついて、魔美ちゃんが「高畑さんが嘘をついてくれたのよ、私のために、これって素敵なことじゃない!」この台詞が大好きです。

 第6話の「名画とオニババ」もいいですね。魔美ちゃんが間違えて二人の人間に一枚の絵を売ってしまったことで、古い友人が再会する。街金の女社長が妙にリアルです。ものすごい仕掛けがあるわけじゃない、なのに思いもよらないどんでん返し。ストーリー展開が本当にうまい。藤子作品の真骨頂です。

 第14話「大予言者銀河王」、これは高畑君のスマートさが存分に発揮されている話です。ストレートに種明かしをしないで、銀河王と同じトリックを使って一旦魔美ちゃんを騙す所が憎い。

 第18話「サマードッグ」避暑地で、休み中だけ子犬を飼って捨てることで山にはびこった哀れな野犬たちがテーマ。もしかして漫画と違う結末にされているか心配でしたが、きちんと同じ結末でした。人間のエゴに振り回されただけであるのに最後野犬たちは全部駆除されてしまうのです。しかしこういう現実は子供にも知らせる必要があると思います。

 第44話「ハートブレイクバレンタイン」これはアニメオリジナルです。今回初めて見ました。これもアニメオリジナルのキャラですが、ノンちゃんがメインです。渕崎ゆり子さんが声を当てています。サクラ大戦の李香蘭まんまの顔と髪型と眼鏡、て言うかサクラ大戦の李香蘭がノンちゃんの真似なんですね(笑)渕崎さんには眼鏡ッ子が似合います。

 魔美ちゃんのお節介で片想いの先輩の本当の姿を知らされても「そんなの知りたくない」と言ってのけるノンちゃんが少女らしくて非常によい。部屋に閉じこもってヘッドホンでヘビメタを聴いているのもなかなかの演出であると思います。目立たない子がヘビメタに入れ込んでいるというのがいいですね。ただしこの話は一つだけつっこみどころがあって、チョコレートを直火で溶かしたら駄目だってば!スタッフには女はいなかったのかよ!これでは魔美ちゃんが塩を入れなくても失敗です。

 「エスパー魔美」は日本アニメの最高傑作の一つです。ヌードシーンがあるから外国で放映できないのがまことに惜しい。6万円とまことに高価ですが、その価値は十分にあります。そして図書館にも置いて欲しいです。シンエイ動画がポニーキャニオンから自立して自分でDVDを作り始めましたから、これから藤子作品がどんどんリリースされるはずです。ジブリやディズニーだけでなく、藤子アニメも図書館に置いてください。

 明日から田舎に帰ります。それでは皆様もよい夏休みをお過ごし下さい。

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