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2006年10月20日 (金)

アメリカの国体問題

悪戯トラックバックが多いので位置をずらします。

 古新聞になってしまいましたが、英国の国体問題に続いて米国の国体問題についてのThe Economist 6月15日〜21日号の記事の訳文を紹介します。

 3,000億ドルの高速道路予算、あるいはアフガニスタンやイラクに派遣されている総督達がやるべき仕事に関する見識を表明する世界最強の国家の立法の心臓部はひどい混乱状態に陥っている。米議会も草創期から不祥事にはこと欠かなかった(ジェファーソンは不正蓄財をしていたしジョン・ドリトルは妻の使い込みを許可していた)しかし現在の問題はもっと深刻な腐った林檎についてである。この枝の腐った林檎はいずれ木の全ての実を腐らせるかもしれない。
 米議会(congress)の創建者たちは、それが巨大で多様な国家の最高機関たることを望んでいた。彼らは議会が行政を監視する役割を果たすことを期待してた。しかしブッシュ政権においてその機能は緩められている。議会のメンバーは大統領のスタッフが作った法案を成立させることを使命と心得ている。薬価法?では審議時間が三時間にならない内に共和党の代議士は採決を提案した。
 米議会は行政のコントロールだけではなく、自己のコントロールにも失敗している。会議の開催時間は60〜70年代には年323日であったが今では250日まで短縮されている。働いているとしても鼾をかきながら。その鼾かき達は13,997のプロジェクト、2,750億ドル及びカトリーナとイラク戦争の特別予算1,800万ドルの審議をしている。
 立法府の怠慢はいい加減な法となって現れている。薬価法で保証のない数十億ドルを計上した。高速道路では存在しない橋のために2.2億ドルを計上した。議会がきちんと機能していればブッシュ大統領はあのような杜撰な計画のままイラクに攻め込もうとしただろうか。国家安全保障省があのような人災(ハリケーンカトリーナ)を発生させただろうか。

 政治システムが正常に機能していると考える米国人は今や30%しかいないという世論調査結果がある。

米政界通のメッサーズマンとオースティングスによると米議会の機能不全の原因は三つあるという。

(一) 強力な国家、共和党を背景にして誇り高すぎる大統領。行政府の憲法に対する限定的?な姿勢。
(二) 薄氷の多数を維持している共和党の「どんなことをしてでも勝とう」と言う姿勢
(三) 911事件以来戦争状態で大統領に戦争遂行のために強い権限が与えられている

 結果としてマディソニアンのチェックアンドバランスシステムは、議院内閣制(parliament)に 近いシステムに変容してしまった。
 壊れた国家の枝を治すためには議会のメンバーの自浄作用に期待するしかない。共和党ながらグアンダナモ収容所やイラク戦争で政権に対して厳しい目を向ける動きが出てきているのは良い兆しではないだろうか。

(以下感想)

 立憲君主国家における議院内閣制、そこではいったん総理大臣に選ばれてしまえば、結局は行政府が立法府に優越してしまうわけですが、とは違って三権がはっきりと独立している自国の制度に米国人は誇りを持っているようです。
 処理する仕事が増えすぎると、議会は機能不全になる傾向があります。ローマ帝国の元老院はトップダウンの帝政に取って替わられてしまいました。遠くで行われている出来事を時間をかけて審議するのが非効率になってくるからです。それよりは審議はしないで決められた方針通りに業務を次々と処理してくれる官僚機構のほうが効率的であるのですね。あくまで効率的だというだけですが。

 また、ブッシュ政権のあまりの低支持率が問題になっていますが、これも行政府だけではなく、立法府も含めた(司法のことは情報がないので知りませんが)政治システム全体への米国民の不信表明なのかもしれません。と考えると事は深刻で、イラクで戦争に勝てば解決という物ではないかもしれない。
 若い国とはいえ、近代国家としては米国は世界最古の国の一つです。米国も大幅な改革が求められる時代になったのかもしれません。

(2006/10/9)一部加筆。

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