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2006年10月21日 (土)

只より高い物はない

陰暦 八月晦日

昨日から土用に入りました。そろそろ冬です。

 東亜のエンガチョ北朝鮮。中共が接収してくれることが一番手っ取り早い解決方法だというのが衆目の一致する所ですが、手を出す気配がない。

 世界中から侵略オッケーのお墨付きをもらえるなんて前代未聞の椿事。しかしさすがは中共、それがトロイの木馬だと知っているから手を出しかねているのでしょう。

 朝鮮半島に手を出した王朝は左前になるというのは、支那の歴史法則みたいな物です。隋、明、清は日本と朝鮮半島の取り合いをしたのがきっかけとなって滅びました。日本でも大陸に手を出した権力者は必ず滅びます。大伴氏、上宮王家、天武持統朝、平家、源実朝、足利義満、豊臣秀吉、帝国陸軍、竹下派。

 では東アジアが安定した時代はいつだったのでしょうか。日本で言えば奈良時代から平安時代前期と江戸時代。支那で言えば唐と清の時代です。朝鮮では統一新羅、李氏朝鮮の時代にあたります。これらの時代に共通するのは、

    (1)三国がそれぞれ統一されて安定していた


    (2)満洲が緩衝地帯となっていた(平安時代には渤海があり、清の時代には満洲は王朝発祥の地として聖域扱いだった)


    (3)日本と支那が政治的には相互不干渉で、貿易は活発であった。(聖武天皇と称徳天皇はちょっと例外なのですが取り敢えず無視する)

 日本として気をつけなければいけない点は、支那や朝鮮が弱体化することが必ずしも日本の利益にはなっていない点です。日本・支那・朝鮮に強力な統一政権が出来、日本と支那両国が十分な軍備を持って対峙している状態になって初めて東亜は安定します。江戸時代の日本の兵力はスペインも一目置いたほどですし、奈良時代の日本には明治以前で唯一の国軍がありました。唐と清が支那の王朝の中で最大の版図を持っていたのはご存じの通り。モンゴルは世界帝国なので支那の王朝には数えるべきではありません。

 反対に、支那と朝鮮が弱体化すると、東シナ海で海賊が跋扈するようになり、東亜は不安定になります。事大物博といいながらも、華南は食糧が生産できないので貿易をしないと生活できませんし、沿岸部の水路網が破壊されると江南の食糧が華北へ行かなくなりますので、華北は飢餓状態となり、江南を略奪せざるを得なくなります。日本では朝鮮半島や支那大陸を侵略するべきだという声が高まります。支那と朝鮮が弱体化しても良いことなんか今までありませんでした。

 もう一つ見過ごされがちなのは、満洲が緩衝地帯になっていること。唐と統一新羅の時代には渤海という王朝があって、満洲と今のロシア沿海州を治めていました。日本とは良好な関係を保ち、日本海貿易が活発であったと言います。清の時代には、満洲は王朝発祥の地として、漢人の入境が禁止されていました(19世紀になると有名無実化します)。今で言うならば非武装中立地帯だったわけです。東亜の安定のためには、日本にも支那にも与しない満洲というのが不可欠です。

 本来ならここで沖縄の地位を分析するべきなのですが、これは今後の研究課題とします。

 私は、北朝鮮が危機を演出する真の目的は、中共からの独立にあると考えています。北朝鮮のミサイルと核は、もちろん第一に日本を狙っていますが、支那も狙っています。北朝鮮国内では中共との合併を望む勢力と独立維持を目指す勢力がせめぎ合っているのでしょう。独立派は始め日本の庇護を受けようとして小泉ー金会談をセッティングしましたが、多分北朝鮮に深くコミットすることの危険性を察知した首相官邸が拉致問題をクローズアップしたためにこれは凍結されました。賢い選択であったと思います。

 そこで北朝鮮は米国の庇護を求める方向に転換します。北朝鮮が米朝二国間協議に固執するのは、米国の保護下に入って中共から独立したいからです。しかし共和党政権は伝統的に東亜には不干渉ですので、避けています。

 心配なのは、中間選挙で下院で民主党が多数となり、08年の大統領選挙でも民主党が勝利することが濃厚な状勢にあることです。民主党は東亜で積極策をとりますので、急転直下、北朝鮮が米国の保護国となり、米軍基地が北朝鮮にできるかもしれません。その場合、米支の対立は一気に高まります。これが米支の協調を呼び込むのか、北朝鮮に米国が進駐する前に、中共に北朝鮮侵攻を決断させるかはわかりません。

 今後あり得る展開は08年を基準として
(A)アメリカで共和党政権が持続
(B)アメリカに民主党政権が誕生

 (A)の場合、東亜では今の状態が継続。(B)の場合米朝同盟が締結される可能性が高い。

 これに対する中共の対策は、(B)となると、首都北京の喉元に米軍基地ができるので容認しがたいため、そうなる前に北朝鮮を併合。となる可能性がある。

 (A)か(B)かを見極めるためには中間選挙を待たなければならない。というわけで中共の次の一手は米国の中間選挙の結果を見てからになるはずです。中間選挙で民主党が勝てば中共は北朝鮮と積極的な接触を持って、北朝鮮問題を08年までに解決させようと努力するようになります。

 米国は、中共の折衝が成功すれば大歓迎。失敗したとしても、08年以降に北朝鮮が手に入る可能性が高まります。ですから中共の努力を高見の見物となります。08年までは米国は朝鮮半島に対しては何もしません。従って、

(C)中共の折衝が成功して北朝鮮が中共の保護国となれば韓国から撤退、玄界灘が前線となる。
(D)折衝が失敗したら、08年以降は米国は北朝鮮の保護国化のために動き始めます。

 日本としてやるべき事は、防衛力を強めることに尽きます。海軍力と空軍力を高めるべきです。陸軍兵力は水際撃退を第一にするべき。陸軍増強無しの、攻撃力増強ならば、外国を侵略することは不可能ですので、諸外国にも受け入れられます。中共も、表向きは非難するでしょうが、妨害にはでないでしょう。

 軍隊というとどうしても、敵から地面をふんだくる集団というイメージがありますが、本当は破壊力という国家インフラなんですね。いざというときに敵を破壊する能力なのです。現代にはミサイルや爆撃機や潜水艦という便利な道具がありますので、兵隊さんを送ることなしに、敵を破壊できます。戦艦を敵の領海まで送り込む必要すらありません。敵地を侵略することなしに敵を破壊することが可能です。

 そして、朝鮮半島に手を出すとろくな事がないので、これについては米国のサポートに徹する。しかし台湾は絶対に確保する。台湾との外交・国防の交流を深化させなければなりません。日本と台湾の連携が強まれば、中共は(そして米国も)決して変な動きはしなくなるでしょう。

 台湾の独立派との連携を強めることはもちろんですが、国民党が中共に擦り寄らないように、国民党を援助することも必要でしょう。一番良いのは自民党が独立派を助けて、(日本)民主党が国民党を助けるという態勢を作り出すことです。そして日台の官僚(含:軍人)の間では着々と連携を深めて実務のレベルでは台湾は日本無しには動かない状態を作るべきです。

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