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2006年11月10日 (金)

日本の未来の姿

陰暦 九月廿日
 租税負担と社会保障について調べています。仕事には直截の関係はないのですが、私の所属する業界のことにも応用が利くからです。

 財政のことを知るために、国民経済の単純なモデルも作ってみました。年齢階層別人口を変数として、国民総生産や税収、歳出を出力するものです。昭和30年(1955)から平成67年(2055)までシミュレートしました。わりと良い近似値が作れました。

 まず私が興味を持ったのは、日本の政府債務が発散するのか収束するのかと言うことでした。国民総資産残高がだいたい国民総生産の10倍ですから、政府債務残高が国民総生産の10倍以内のどこかで、国民総生産に対する倍率が収束すれば、財政破綻を免れることができたと言えると思います。

 詳しいことは省きますが、インフレ率が大事で、国民総生産名目値の成長率がマイナス、つまりデフレであると、どう頑張っても財政破綻は免れないと私のモデルではなりました。租税負担率を50%に上げても無理です。ただし、財政赤字と同額の対外資産収入があれば財政破綻は免れますが、これは外国からの援助で国を維持している状態ですので現実的ではありません。

 インフレ率が0%の場合、政府のサービスを現在並みに抑えて(小泉政権が政府のサービスをかなり押さえたことも今回の計算で確認できました)、租税負担率を短期間で現在の2倍にすれば、国民総生産の200%(現在は120%程度)で債務は収束するようです。最悪経済発展無しでも大増税をすれば破産は免れるようです。

 インフレ率を2%ととした場合、租税負担率を20年かけて現在の1.5倍程度にすれば、やはり国民総生産の200%で債務は収束しました。これはだいたい消費税が2025年までに10〜15%になるのと同じです。海外からの資産収入が増えることも計算に入れています。

 最後に、遊び半分で日本が北欧並みの福祉国家になることができるかどうかも験してみました。30年かけて社会保障の給付水準を1.5倍にする想定です。これは医療費が0になる社会を意味します。雇用保険や育児手当もかなり手厚くできます。

 驚いたことに、インフレ率を2〜4%にし、租税負担率を時間をかけて50%まで上昇させれば、債務を国民総生産の200%に押さえたままで日本が福祉国家になることは可能であるという結果が出ました。

 これは実は政府の全ての支出の水準を1.5倍にするモデルですので、国防費や公共事業費も1.5倍にできます。国防費や公共事業費を抑えて社会保障に全てを回せばスウェーデン並みの福祉国家も可能ですし、公共事業に重点を入れれば高速道路網を完成させて国土の均衡ある発展も可能、国防に重点を入れれば空母や原潜をそろえることも可能です。

 日本の未来には多数の選択肢があることが簡単な計算で確認できました。世の中を悲観する必要はないみたいです。

 債務をピークアウトさせるために不可欠なことは、団塊世代が大量に退職する2010年代で社会保障費(規格値)の伸びを頭打ちにすることです。これさえできれば、財政赤字の無制限の伸びを防ぐことができます。これは小泉政権の福祉を始めとする行政サービス切り捨てによって実現の可能性が高まりました。今後10年間の政権が財政規律を守れば社会保障費のピークアウトは実現できるでしょう。

 債務は国民総生産の200%まではどう頑張っても上昇するようです。しかし、消費税を10〜15%にすれば、200%で頭打ちにできます。政府債務残高の増加がいずれ頭打ちになることを、政府はどこかで国民にきちんと説明しなければならないはずです。でなければ、再び金融恐慌が日本を襲うと私は考えます。

 海外からの資産収入が伸びれば、政府債務を幾分軽減できます。日本人が海外で良質な投資を行うことと、海外から良質な投資を日本に呼び込むことが必要です。今後で企業買収は増えると思います、これは避けられません。円の実効為替レートが歴史的に低い状態にあるからです。

外資参入は日本製品の輸出競争力回復と引き替えの選択でした。外資の日本市場参入が避けられない以上、日本に利益を生む形での外資導入というものを、今後我々は考えていかなければならないでしょう。

 明日以降に、中小企業対策がいかに大切であるかを考えてみようと思います。

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