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2006年12月30日 (土)

フセイン元大統領死刑と東京裁判

 死刑が決まり、一両日中にも執行されるそうです。

 日本人としては東京裁判として絡めて論じる必要があると思うのですが、そういうことをしている人は一人も見当たりません。

 フセイン裁判で私が気になっているのは、彼からきちんとここ二十数年のイラクの国家意思決定に関する情報が収集されたのかということです。フセインが処刑に値する犯罪者であることは間違いないのでしょうが、同時に彼は歴史の証言者でもあります。彼から聞きだせることは多いはずだし、拙速に彼を処刑して口を封じてしまったら、イラクの歴史にぽっかり穴が空いてしまうと思います。

 東京裁判にはいろいろと問題はありましたが、裁判記録は重要な史料となっています。判決には問題があるものの、それに至るまでの手続きは結構まじめにしているので、裁判の記録を読んでいると日本側の考えも連合国側の考えもよくわかりますし、重要な史料も数多く提出されています。

 しかし、フセインの裁判が、イラク人に任されてしまったため、かえってそういった歴史を解明すると言う面が消えてしまって(虐殺された人には申し訳ありませんが)歴史的な観点では微罪の事件を使って単にフセインを断罪するための手続きに落ちてしまっているのだとしたら、イラクの将来にとって返って禍根を残すでしょう。

 報復思想に則ってフセインを殺すことは(最終的には処刑されなければならないのでしょうが)、イラク人の土俗的な心理は満足させるかもしれないが、イラクのここ二十数年の記憶が消されてしまうのは近代化のためには損失となると思われます。

2006年12月24日 (日)

昭和天皇はツンデレである

 日本近代史最大の謎が解けました。

 "昭和天皇"とはいったい何であったのか、不思議です。立憲君主であったようで、専制君主への未練も口にしていますし、「四方のうちみなはらから」とか言っておきながら、戦闘に勝ったら至極満悦だったりします。何を考えているのかよく分かりません。振り回された人も多いです。

 全てを解明する真実に気がつきました。そう、昭和天皇は日本史上最大の「ツンデレ」であったのです。

 立憲君主というのは、かいつまんで言うと「わたし(君主)はそんなことしたくないんだけど、あなた(国民)が望むのならやってあげる」というツンデレを機関化したものですが、模範的立憲君主を目指した昭和天皇は、鍛錬の甲斐あって史上最強のツンデレと化したのです。

 ツンデレは自分の本心を見破られたらお仕舞いです。ツンデレが言い寄る男(この場合政治家や軍人や高官)をはね除けて「みんな(国民)のわたし(天皇)」であり続けるためには、自分の本心を隠さなければなりません。かくして、自分がして欲しいことをやってくれた政治家を冷たくあしらったり、無能だけど逆らわないヘタレ軍人を下僕として重用したりしたのです。

 末期の大日本帝国は、ツンデレサークルクラッシャーに振り回されて、崩壊した文化系サークルだったのだ!な、なんだってーΩΩ Ω

 ツンデレ・ロリコンは日本人の弱点ですので、ツンデレが受肉した昭和天皇が今なお我々の魂を揺さぶるのは当然であるのです。

 孝明天皇も日本史上一二を争うツンデレでしたが、ストーカーの水戸藩と長州藩に嫌気がさし、身も心もイケメン松平容保の「デレ」になった瞬間に、振られた喪男ストーカー長州藩の逆恨みを買ってパトロンの徳川幕府を滅ぼす羽目に陥りました。長州藩は喪男なので天皇を密室に閉じこめて愛でることにしました。しかし閉じこめていたつもりが、いつの間にかストーカーの方が下僕に成り下がっていたのです。

 嗚呼恐るべし天皇のツンデレパワー。やっぱり女帝は駄目です。これで本当に天皇が若くて可愛い女の子だった日にゃぁ、憲法なんて役に立たないでしょう、大乱が起きること間違いなし。

一般参賀

陰暦 十一月五日 【納めの地蔵】

 たまにはブログらしく日記調に。

 昨日は天長節でした。かつ土曜日。私の職場は国民の休日が休みにならないので、こういう機会でもないと一般参賀に行くことができません。そこでいつもの土曜日より早めに起きて(といっても八時過ぎでしたが・・・)宮城まで行って参りました。

 空は見事な天皇晴れ。さすが江戸城、東京の真ん中にこんな広い空間があったのですね、びっくりです。丸の内口から延々1km近く歩くうちに汗ばんできました。

 丁度「幕末閣僚伝」という本を読んだ所だったので、ここが桜田門でここが坂下門、ここら辺で安藤信睦が遭難したのか、ということは浪士はどうやって日比谷壕を突破したのかな?江戸城の警備はいい加減だったのだろうか?なんてことを考えながら奥へ進みました。

 今日は土曜と言うこともあり、警備の発表では二万人超で平成になって天皇誕生日としては最大の人出だったそうです。といっても陛下は五回お出ましになるのでその合計です。単純に五で割るとあの場に四千人いたことになりますが、宮殿前広場が広かったせいか、それほどの混雑もなく、陛下と皇族方を良く見ることができました。私は三回目の出御を拝観いたしました。

 次に折角ですから本丸公園を散策、お土産屋さんで「江戸城の昔と今」「江戸城本丸詳図」「江戸(嘉永)時代ー大名紋章城郭図」を買いました。なかなかの資料です。

 ところでなんで西ノ丸が宮殿になって本丸は公園になったのか、普通は逆じゃないの?というと、本丸は幕末に火事で焼けて、明治帝が入城され時には西ノ丸しか建物がなかったからなのだそうです。今の宮城の状況は結構偶然の産物である模様。

 そのあと八重洲ブックセンターで「荀子(上)」と「赤松円心・満祐」「三好長慶」(人物叢書)、「国債の歴史」を買いました。本当は「ローマ人の物語」の最終巻を買うつもりだったのですが、人物叢書の復刊シリーズに心を奪われました。「ローマ人」の方は日本中の本屋で買えますからね。

 続いて渋谷に行って「ふしぎ星のふたご姫GYU!」というアニメの宣伝バスを探したのですが、小一時間張っても来ませんでした。もう期間が終了していたのかもしれません、少々がっかり。けれどもBOOK-1で本田透翁の「喪男の哲学史」を買うことができました。というわけでなかなか有意義な一日でありました。

追記:江戸城の西ノ丸が立派に作られたのは、最初秀忠が住んでから次期将軍の居所という慣例ができたからですが、本丸と西ノ丸という同規模の城が維持されたのは、木造建築であるので焼失しやすく、スペアの意味があったからなのでしょう。豊臣時代の大阪城も本丸と西ノ丸が同規模だったといわれています。太閤さんの死後に内府(徳川家康)が西ノ丸に乗り込んで本丸の淀殿・秀頼母子を凌ぐ権勢を誇ったことは有名な話ですね。本丸が最後に焼失したのは文久三年(1863)で、江戸幕府がもう少し続いていれば再建されたのだと思います。

 ちなみに御所の方は、平安中期以降はあまり実務が行われなかったので、焼失したとしても、里御所といって院や摂関の屋敷に移るだけでなんとかなったため、スペアは必要とされませんでした。摂関期以降はみかどは里御所にいる方が常態となりました。それどころかどうも国家施設への放火は家柄が固定して出世できなくなった貴族のはけ口として常態化していたらしいので、途中からきちんとした建造物を造るのを放棄してしまったのが真実ではないかと私は考えています。

2006年12月23日 (土)

官打ち

陰暦 十一月三日 【冬至】
 冬至なのでゆず湯にしました。ゆず湯は体の芯まで温まり、なかなか冷えないので好きです。丸々入れると皮膚が灼けるので、切れ端を茶こし袋に入れています。ゆず一個で暫く楽しめそうです。

 日本銀行が外貨保有比率がドル65%、ユーロ30%であることを発表しました。これはIMFがまとめた加盟国の外貨準備高の比率ドル60%、ユーロ25%よりもユーロに偏っており、ちょっとした波紋を呼んでいます。すわ、日銀が米ドル体制に対して謀叛!?なんて心配をしている人もいたりして面白いです。

 あんまり難しく考えても仕方がないと思います。今年は支那に追い越されてしまいましたが、世界最大の外貨準備高を誇る日本の中央銀行がユーロを市場よりも多い比率で持っていた、ということになると当然ユーロの人気が上がります。ユーロ高になります。実際そうなっています。

 EUが内需主導経済というのは今は昔の話で、EU経済は最近は輸出主導型の経済に転換しつつあります。最近のEUというのは米国・中東・支那への輸出頼みです。EUは中東や東アジアにおいて日本にとって商売敵なんですね。ユーロが高くなれば、EU製品は不利になります、実に単純な話です。

 ブッシュ政権の「強いドル政策」というのは必ずしも為替でドルが高くなることを意味していませんので、おそらく日銀のドル保有が低かったことで、ドルが下げても問題にはならないでしょう。むしろ民主党議会などは喜ぶはずです。

 次にウォン高。韓国は今年の貿易黒字がなくなると大騒ぎだそうです。というわけでこの先どうなるか妄想してみます。誰も思いつきそうにないことを考えてみたいと思います。

 韓国というのは昔から富裕層の国外流出が盛んな国です。韓国でお金持ちになるとさっさと荷物をまとめて米国へ移住するのが最近のトレンドらしいです。一年でウォンが円やドルに対して1.2倍と言ってもプラザ合意後の円高ドル安に比べれば大したことがないと思うのですが、韓国は独自技術が少ないのできついかもしれません。ですから、富裕層の国外逃亡がますます激しさを増すと思います。

 そうなると、どうなるかというと、多分韓国政府は為替を管理制にしてしまうと思うんですよね。外貨持ち出し禁止。為替相場固定。これをやるでしょう。海外移住も制限されるようになると思います。今の韓国政府は経済を国家管理にしたくてたまらないはずだと私は睨んでいます。

 社会主義国家韓国ができたとして、国際社会がそれを受け入れれば、中共同様の少数のエリートが奴隷労働者をこき使って廉価な工業製品を作って売る国ができると思います。しかし、国際社会が制裁を発動したり、あるいは社会主義国家韓国が経済運営に失敗した場合(大いにあり得ます)どうなるでしょうか?

 全体主義国家が経済運営に生きず待ったらやることは決まっています。対外侵出です。南進か北進か、北に行くんじゃないでしょうか。南に行けばどう考えても滅亡ですからこっちには向かってこないと信じたい(^^;。第二次朝鮮戦争勃発です。

 こうなるといろいろと面倒なので、韓国経済の国家統制が強められた時点で、日米支は北朝鮮の金王朝を崩壊させ、日米支の資金援助で、韓国企業が北朝鮮を復興させるという形で、南と北両方の経済苦境を解消させるという方向に現実は進むのではないでしょうか。

 北朝鮮経済が崩壊寸前なのは火を見るよりも明らかですが、韓国も同様に崩壊の瀬戸際にあります。近いうちに両方とも崩壊するという前提で、先を考える必要がでてきたのではないかと私は思います。

2006年12月18日 (月)

金を出すから口も出す

 基本的なことなんですが、資本主義の世界では国家にしても株式会社にしても家族にしても、金を出している人に最大の発言権があります。

 今まで日本では法人税よりも所得税の方が総額が多かったのですが、今年になってついに並びました。大雑把に言えば、所得税がサラリーマンと個人事業主から徴収する税金で、法人税が企業から徴収している税金です。

 あんまり減税ばっかりして自分が払う税金が減ると、国に対する発言権を失います。これからは今以上に大企業の発言権が強まります、当たり前のことです。一番金を払っているからです。今の政府が大企業のために働いているのは、大企業の収益が上げるのが一番税収が増える仕組みになっているからです。

 ということは消費税を主とした税体系になれば消費者が一番偉くなるのか。もしかしたら消費者を守る手っ取り早い方法は消費税を上げることじゃないのだろうか?消費税主体になれば、国家は需要拡大に精を出すことになりますので、中小企業や家計にとっても福音なんだな。

 税金を率先して払うことによって国家に発言する余地を増やすという考え方があっても良いはずですね。というわけで今必要なのは消費税拡大です。春秋の論法によりこれが最大の景気対策になるはずです。

 こうなってくると、需要拡大、中小企業・家計優先の政策を掲げている国民新党はなかなか良い位置に着けていることが分かります。早く国民新党が第二党になる世の中が来ないでしょうか。第一党にはなっては欲しくないんだけど(^^;衆議院で自民党250、国民新党120、民主党90、その他20くらいが丁度良い。<br><br><br><br>

 追記:相続税を増額することによって、老人の発言権を増やすという道もあります。「死んだ時にいっぱい金を払うから、生きている間はわしらをいたわれ!」という論法です。

 もしかして昭和五十年代に小金持ちが優遇されていたのは固定資産税が税源として美味しかったからなのかな・・・?

2006年12月17日 (日)

青年海外協力隊で和食教室を開こう

 ごく一部の食い意地が張った面々の間で熱い議論を読んでいる国営和食ミシュラン。頑張っている人を応援する制度なので私は賛成ですが、国が何かを始めようとした時、真っ先に「胡散臭い」と思うのは健全な感覚だと思います。

 それに結局新しい利権になるだけではという意見もなかなか鋭い。私としてはこういう利権なら構わないと思うし、これからは役所も儲けなければいけないので、犯罪になる利権と犯罪にならない利権を法律できちんと区別することが必要となってくるのではないかと思います。

 けれども確かに役所だけが儲かるのは癪に障る。国民も外人も儲かる方法がないかと思ったら、ありました、青年海外協力隊で和食教室を開くのです。

これは我ながら名案です。
・お店が持てない料理人が職にありつける
・現地に新しい産業ができる
・料理店は比較的誰がどこででも開くことができる
・和食は穀物と野菜主体なので、熱帯雨林破壊と砂漠化最大の原因である放牧の歯止めの一助となる

 ついでに京都プロトコルで和食教室が温室効果ガス削減事業として認められれば言うことなしですね!

 海外で広まっている和食は寿司・天麩羅・すき焼きが主体のようです。でもそれ以外の和食も広まって欲しいもんです。肉じゃがとか鍋は喜ぶ人が多いと思います、特に石狩鍋とか粕鍋なんか。いわゆる洋食も実のところは日本独自の料理なのでこれも広まって欲しいですね。

 数年前に韓国料理店で焼き肉ではなくてビビンバだけ頼んだらお店のおばあちゃんがえらく喜んでくれたことがありました。焼き肉はお店の人が腕をふるう場があまりないのでビビンバやプルコギを頼んでくれる方が嬉しいんでしょうね。それに自分の食べ物を喜んで食ってくれる人がいるのは理屈抜きで嬉しいものです。

2006年12月14日 (木)

京都公方

 わたくし、茨城県出身ながら徳川慶喜という人が今までどうにも理解ができませんでした。今日「幕末閣僚伝」という本を読んでやっと分かりました、

 徳川慶喜は文久二年(1862)七月六日に将軍後見職に任命され、翌文久三年一月に入京して朝廷との折衝役を務めます。そして慶応四年(1868)一月に大坂を退去するまでの五年半が彼の公的な活動期間です。慶喜の仕事は京都で将軍の名代として働くことでした。

 しかし、江戸からは水戸・長州・薩摩と結託して幕府を転覆するつもりなのではないかと疑われ、朝廷や長州からは幕府が尊攘派を懐柔するために送り込んだスパイと疑われ身動きが取れなくなりました。さらに、慶喜には覇気がなかったので、承久の乱における北条泰時のように幕府の先兵となって薩長を討ち滅ぼして幕府を復興することも、足利尊氏のように朝廷に寝返って幕府を倒すこともできず、京都と江戸の板挟みになって保身するに終始してしまいました。

 優秀ではあったけれど、人の上に立つ人間ではなかったのでしょう。ただし人死にを最小限に食い止めたのだけは評価できるかもしれません。理解はできましたが、やはり尊敬できるような人間ではありませんでした。

 私は慶喜なんかよりも徳川家茂の方がよっぽど偉いと思っています。それと和宮。それに家茂が生きていれば、明治天皇の叔父に当たりますから、徳川幕府があんな潰され方をされるはずはなかったでしょう。

2006年12月13日 (水)

エスパー魔美DVD-BOX II

 先週下巻が届きました。

 しかし驚いたなあ、魔美ちゃんと高畑君のキスシーンなんてあったんだ。ほっぺにチュッだけど。

 大人になってますます深く味わうことができるアニメ作品です(何だか最近うまく文章が書けない困ったな、仕事で英文ばかり読まされているせいだと思います)。こういうすさんだ世相の今こそゴールデンアワーに再放送してもらいたい作品です。

 でもエスパー魔美を見ていると、親がリストラとか事業失敗で子供の生活が一変してしまって性格がひねくれたとか、少年犯罪とか、ここ十年で激増したかのように言われている話題がふんだんに盛り込まれています。

 社会問題というのは、当然あるのでしょうが、別に昨日今日湧いて出た話ではないのだと改めて思いました。

2006年12月10日 (日)

医療ミス保険

陰暦 十月廿日 【最上稲荷火焚祭】【大宮氷川神社大湯祭】
 鬱の名残じゃないかと思うのですが、秋になるとどうにも体を動かすのが億劫になり、そのくせ酒量は増えるので、どうしても太ってしまいます。先週あたりから元気が出てきましたので、なるべく歩くように勉めています。ちょっと遠目のビデオ屋さんにも運動がてら会社帰りに歩きで通っています。

 今日は、高幡不動へ参詣してきました。入ったら丁度護摩法要が始まる所でしたので参加してきました。高幡不動では、特別にお金を払わなくても、日に数回開かれている法要に参加することができます。お坊さんが四人くらいで、お経を唱え、護摩を焚いてお祈りをしてくれます。御本尊のお不動さんの目の前でお祈りもさせてもらえます。

 いろいろなことが一段落して、次のステップへの入り口に立っているように思えたので、丁度良い機会でした。手を合わせて心を見つめ直しました。高幡不動ではどうやら子供の加護を願うお祈りに力を入れているようで、新生児と七五三は、特に住職さんが筆のお化けみたいなのを振るってお祓いをしていました。二年前に参加した法要でも、新生児には同じように筆を振っていました。おそらく新生児の額に字を書くおまじないの大げさヴァージョンとでも言うべき儀式なんだろうと思います。

 医療制度についてちょっと考えています。幸いにして周りに重病人はいないので大病院の世話になったことはないのですが、医者になった親戚の話を聞くと、医局で働く医者は過労死するんじゃないかと言うぐらい働かされたり(彼女も一回過労で倒れています)、地方ではシャレにならないくらい医者が足りないという話も漏れ聞きますし、医局で働く医者はただ働き同然なのに、開業医になった途端にキャッシュで家を新築してしまったりと、どうも現在の医療の世界には不健全な匂いがします。

 医者の間でどのように給料を配分するかは、医師会や厚生省が勝手にやってくれればいいと思うのですが、国民の側として何ができるか考えてみました。問題は医療ミスを起こした時のリスクの持っていく場所ではないかという結論にたどり着きました。

 医者が高給を取っているのは、煎じ詰めれば医療に関わる全てのミスの責任を医者が負うシステムになっているからです。責任を負う代わりに金を取るからと言うわけです。ですから、介護保険と同じように「医療ミス保険」を作って、医療ミスの補償を国家でやるようにすれば、全体としては医療費の削減につながるように思うのです。

 そして、医療ミスが起きた場合は、原因究明を最優先にし、正直に話せば医者の刑事責任は負わないことにする。飛行機事故と同じにするのです。

 医療ミスの責任から解放する代わりに、医者の給料は大幅に下げる。医局の医者の給料は上げても良いかもしれません。給料が減れば開業医は困るでしょうが、サラリーマンだってこの十年さんざんリストラされたし、公務員も今苦しんでいるのですから、お医者さんにもそんぐらいは負担してもらいましょう。

 このようにして医療を改革した上で、国費を投入して、施設・看護士・療法士などを増強する。医者が血を出した後でならば、国民だって負担増を受け入れるでしょう。

 今医療に金を投入しても、上の方のお医者さんに金が流れるだけです。現場で、命に関わる病気と闘っているお医者さんや看護士や療法士にはその恩恵は行き渡りません。今まで国が医者の給料を上げる形でしか医療の増強をしてこなかったのは、おそらくその方が目前の金はかからないからなのでしょう。医療設備や人員の増強にはかなり金がかかりますから。しかしそのような小手先の手段ではどうにもならない所に日本の医療は来ているようです。

2006年12月 3日 (日)

三大政党制

陰暦 十月十三日 【秩父夜祭り】

 去年あたりから、今の日本には二大政党制よりも、三大政党制の方が相応しいのではないかと考えていました。五五年体制の時代には、地方に住む人達や個人事業主が自民党を支持し、官公庁の労組が社会党を支持していました。低賃金労働者は社会党と言うよりはむしろ公明党や共産党に投票していたんではないかという感じを抱いています。都市に住むサラリーマン層の気持ちを汲んでくれる政党はありませんでした。

 小泉政権は、都市の住民を喜ばせる政治を行いました。みなさんもう忘れていますが、小泉政権成立前夜の都市住民の政治に対するフラストレーションはそれは高かったのです。その代わり、自民党は本来の支持基盤である個人事業主や農家を切り捨てるような政治をすることを余儀なくされました。今度は彼等が民主党は気に入らないがさりとて今さら自民党を抜けることもできない、何故自分たちの首を絞めるような政権を一生懸命応援しなければならないのか、と苦しんでいます。

 かつての都市住民の苦しみ、今の個人事業主の苦しみは、本来三つの政党が鼎立するべきところを無理矢理二項に分けていたために発生していたのではなかろうかと私は考えました。歴史の世界でも、支配者と被支配者(資本家と労働者でもいいでしょう)の対立で事件を読み解こうとする考え方が主流です。しかし、歴史をよく調べてみると、近代的な社会には三つの構成員があることに気がつきます。

(1)財産家、官僚、大企業(経営者及び吏員)
(2)個人事業主(中小企業経営者、医者、農家)と地方公務員(役人、教師)
(3)低賃金労働者と学者(学生、オーバードクターや塾講師などの学者予備軍を含む)

 (1)の構成員は、組織な思考を好みます。世の中を分業化、専業化させようとします。資源や資本の集中運用が好きです。大きくまとまり、個人が決められた仕事をこなすことで世の中がうまく回ると考えています。

 (2)の構成員は、一人でなんでもこなさなければなりません。ですので個人の総合力を重んじます。人間関係が大いにものを言う世界で生きていますので、契約でも、組織とではなく個人と結ぼうとします。「あなたが信用できるから、あなたの会社と契約しましょう」という行き方です。

 (3)の構成員はいわゆるプロレタリアートです。学者がここに含まれるのは、たいていの学者というものは、大学に口をもらうまでは、不安定な立場で日銭稼ぎをして生きているので、プロレタリアートに親近感をいだいているからです。芸能人もこのカテゴリーに含まれます。

だいたい現代の日本における力関係は3:2:2くらいです。

 世の中が大きく変わる時に、真っ先に動き出すのは(2)の人達です。彼等は自由になる金を多く持ち、組織に気兼ねなく活動ができ、知的好奇心は強いけれどアカデミズムには反感を抱いているので学問的にはちょっと怪しいけど変革力を持つメタ学問を信じることができて、国家や大企業に縛られない独自のネットワークを持っているからです。

 さらに、彼等は保守的な考えを持っています。彼等が動き出すのは、このままでは古き良き自分たちの世界が崩壊してしまうという危機感をいだくからです。大組織に頼ることができませんので、彼等の危機感は切実です。

 そして(3)の人達がその動きに盲目的についてくるようになると一気に世の中はひっくり返ります。明治維新はその典型的なパターンです。また(2)の人達はなんでも自分でこなしますので、政治の世界でも独裁が一番効率がよいはずだと考えているふしがあります。ナチスを支持したのはこういった人達でした。

 しかし新しい体制ができると、成果を(1)の人達に攫われてしまいます。彼等は国家という巨大な組織を動かすノウハウを備えていないからです。絶望した一部の人達が暴走しますが呆気なく押さえ込まれます。西南の役は(3)の要素が強いですが、神風連や秩父事件は(2)の心情をいかんなく表した事件といえます。

 自民党はずっと(2)に支持基盤をおいていました。(1)の利害は官僚が代弁していました。しかし小泉政権になってからは首脳部が(1)を喜ばす政策を唱えて、代議士が(2)をなだめすかすという構図が出来上がっています。官僚は支持基盤である(1)を自民党にとられて、喜んで良いやら悲しんで良いやらわからなくなって混乱しています。

 民主党は(2)の地方公務員が支持基盤ですが、(3)を喜ばすことによって過半数が取れるはずだと愚直に信じています。これは社会党時代から続く習性です。しかしどうしても過半数に届きません。おそらく(2)の半分と(3)を合わせても過半数に足りないのでしょう、これが私の3:2:2の根拠です。

 そこで三大政党制となります。(1)(2)(3)を支持基盤とする政党が鼎立するのが一番分かり易いはずです。学者や評論家が何かというと引き合いに出す英国では、近年自由党が議席を伸ばして三大政党制に近づきつつあります。郵政反対派の12人が国民新党に入って、国民新党が大化けしてくれればそうなったかもしれないのに残念でした。

 二大政党のまま中選挙区に戻してもあまり意味はありません。三大政党鼎立になった状態で中選挙区制になるのが一番すっきりするでしょう。しかし、そうなると過半数を握る政党がなくなってしまってしまい政界が混乱する可能性が大です。ドイツやイタリアがそれに近い。国政の混乱を防ぐためには小選挙区制がきっと良いのでしょう。三者ともにどこか居心地の悪い気持ちをいだき続ける時代はこれからも長く続きそうです。

バカ正直

陰暦 十月十二日

 税制調査会の答申が出されました。

 しばらく教育問題や国防や政治家の涜職が国会の議場を彩っていましたが、議会の花形は英国大憲章(マグナ・カルタ)の時代から課税問題、誰からどのように税を取るかに為政者は思想は表現される、これは安倍総理の実質的な所信表明演説です。

 今回の税調答申は、なかなか含蓄があり、安倍総理がどういう政治を目指しているのか雄弁に語っています。実は私、マスコミの報道を真に受けて、最初はこの答申は国民の負担を増やし、企業と財産家に楽をさせるとんでもない代物だと思いこんでいましたけれども、今日になって税調のホームページを確かめて少し認識を改めました。かといって私たち普通の市民にはそれほど有り難い内容でもないのは確かなんですが。

 ざっと読んで重要なのは次の3点+1にまとめることができます。
(1)a)諸外国と比べて、企業にとって加重になっている日本の減価償却制度を外国並みにする。b)法人税を軽減するかどうかは今後検討を進める。
(2)金融商品の課税を統一する(株の配当にかかる税金は10%から20%にアップ)
(3)所得税の一部を地方住民税に振り替える。合計金額は同じ。
(4)所得税の軽減措置は予定通り平成19年で終了。

(1-a)は日本の企業の足枷をなくすために必要な措置です。(1-b)は今後の検討項目であってすぐには実行されはしないそうです。マスコミは明日にでも法人税が軽くなるかのように言っていますがそれは虚報に近いと思います。でも企業ばかりちょっと不公平な感じもしました。

 おそらく(1-b)は参議院選挙で自民党を応援してもらうための人参ではないかと考えられます。けれども(4)と(1-b)を絡めると「安倍政権は企業ばかり優先して国民に負担を強いている」と言えてしまいますし、ある程度は事実なので、来年の参議院選挙で安倍政権は足下をすくわれてしまうかもしれません。

 日本の租税負担率は、先進国でも最低クラスで、近代史上でも最低の水準にありますから、これ以上税負担を軽くするのは、それが個人であろうと法人であろうと、甘やかしすぎであるというのが私の考えです。小泉総理が大ナタを振るってくれたお陰で、財政破綻はなんとか防げる目算が立ちましたから、今後は債務を減らしながらつぶれかけている教育と福祉を立て直すべきだと思います。それは可能です。

 少子化対策の白書で福祉を手厚くすることに触れていたので、安倍政権を評価しようと思っていた矢先に(1-b)を見てしまったので、少々裏切られて感じがして腹を立ててしまいましたが早計だったようです。けれども、このままだと私のような感情を抱く人間が増えると思いますので、来年の国会と参議院選挙は自民党にとって思っている以上に苦しいものになるかもしれません。

 (2)は当然だと思います。

 (3)も大切です。三位一体の改革で、まず先に自治体の仕事が増やされて、財源委譲は後回しになったため、自治体の財政は崩壊しかけています。速急に税源移譲を行うべきです。

 こうして答申を読むと、今すぐ得をする人はいません。所得減税はなくなります。これは今までが異常だったので仕方がないことです。株式は課税強化されますので、財産家にとってはやや損だと思います。けれども金融商品の税率が統一される方が健全でしょう。

 財源を地方自治体に委譲するのは勇断で、評価できます。けれども我々の身近な自治体がが大きな金を手にするということですので、市民の責任が重くなると言うことです。談合が厳しく取り締まられているのは、これから金が増える自治体が、地方のボスによって食い物にされることを防止するための戒めでしょう。

 というわけで大変に誠実な答申であると思います。けれども誤解されやすい内容だと思います。また、元に戻るだけとはいえ、所得税が増税されて、企業の方は減価償却の軽減と法人税の軽減が上程されるわけですから、我々は財界に対して発言権を持つことになると思います。しかも企業は史上最高収益であるにもかかわらず、家計部門に金が廻っていないのですから。

 現下の景気がいまいち力強さに欠けるのは、家計や中小企業にお金が廻っていないからと言うのが私の見方です。総量としては、家計や中小企業の方が大企業よりもずっと規模が大きいので、この部門に金が廻れば、税収も、5兆円どころか、もっともっと拡大するはずです。経済成長も2%だなんてケチな数値ではなくなるでしょう。今回の答申を実現するためには、分かってますよね財界のみなさん(はあと)

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