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2006年12月 3日 (日)

バカ正直

陰暦 十月十二日

 税制調査会の答申が出されました。

 しばらく教育問題や国防や政治家の涜職が国会の議場を彩っていましたが、議会の花形は英国大憲章(マグナ・カルタ)の時代から課税問題、誰からどのように税を取るかに為政者は思想は表現される、これは安倍総理の実質的な所信表明演説です。

 今回の税調答申は、なかなか含蓄があり、安倍総理がどういう政治を目指しているのか雄弁に語っています。実は私、マスコミの報道を真に受けて、最初はこの答申は国民の負担を増やし、企業と財産家に楽をさせるとんでもない代物だと思いこんでいましたけれども、今日になって税調のホームページを確かめて少し認識を改めました。かといって私たち普通の市民にはそれほど有り難い内容でもないのは確かなんですが。

 ざっと読んで重要なのは次の3点+1にまとめることができます。
(1)a)諸外国と比べて、企業にとって加重になっている日本の減価償却制度を外国並みにする。b)法人税を軽減するかどうかは今後検討を進める。
(2)金融商品の課税を統一する(株の配当にかかる税金は10%から20%にアップ)
(3)所得税の一部を地方住民税に振り替える。合計金額は同じ。
(4)所得税の軽減措置は予定通り平成19年で終了。

(1-a)は日本の企業の足枷をなくすために必要な措置です。(1-b)は今後の検討項目であってすぐには実行されはしないそうです。マスコミは明日にでも法人税が軽くなるかのように言っていますがそれは虚報に近いと思います。でも企業ばかりちょっと不公平な感じもしました。

 おそらく(1-b)は参議院選挙で自民党を応援してもらうための人参ではないかと考えられます。けれども(4)と(1-b)を絡めると「安倍政権は企業ばかり優先して国民に負担を強いている」と言えてしまいますし、ある程度は事実なので、来年の参議院選挙で安倍政権は足下をすくわれてしまうかもしれません。

 日本の租税負担率は、先進国でも最低クラスで、近代史上でも最低の水準にありますから、これ以上税負担を軽くするのは、それが個人であろうと法人であろうと、甘やかしすぎであるというのが私の考えです。小泉総理が大ナタを振るってくれたお陰で、財政破綻はなんとか防げる目算が立ちましたから、今後は債務を減らしながらつぶれかけている教育と福祉を立て直すべきだと思います。それは可能です。

 少子化対策の白書で福祉を手厚くすることに触れていたので、安倍政権を評価しようと思っていた矢先に(1-b)を見てしまったので、少々裏切られて感じがして腹を立ててしまいましたが早計だったようです。けれども、このままだと私のような感情を抱く人間が増えると思いますので、来年の国会と参議院選挙は自民党にとって思っている以上に苦しいものになるかもしれません。

 (2)は当然だと思います。

 (3)も大切です。三位一体の改革で、まず先に自治体の仕事が増やされて、財源委譲は後回しになったため、自治体の財政は崩壊しかけています。速急に税源移譲を行うべきです。

 こうして答申を読むと、今すぐ得をする人はいません。所得減税はなくなります。これは今までが異常だったので仕方がないことです。株式は課税強化されますので、財産家にとってはやや損だと思います。けれども金融商品の税率が統一される方が健全でしょう。

 財源を地方自治体に委譲するのは勇断で、評価できます。けれども我々の身近な自治体がが大きな金を手にするということですので、市民の責任が重くなると言うことです。談合が厳しく取り締まられているのは、これから金が増える自治体が、地方のボスによって食い物にされることを防止するための戒めでしょう。

 というわけで大変に誠実な答申であると思います。けれども誤解されやすい内容だと思います。また、元に戻るだけとはいえ、所得税が増税されて、企業の方は減価償却の軽減と法人税の軽減が上程されるわけですから、我々は財界に対して発言権を持つことになると思います。しかも企業は史上最高収益であるにもかかわらず、家計部門に金が廻っていないのですから。

 現下の景気がいまいち力強さに欠けるのは、家計や中小企業にお金が廻っていないからと言うのが私の見方です。総量としては、家計や中小企業の方が大企業よりもずっと規模が大きいので、この部門に金が廻れば、税収も、5兆円どころか、もっともっと拡大するはずです。経済成長も2%だなんてケチな数値ではなくなるでしょう。今回の答申を実現するためには、分かってますよね財界のみなさん(はあと)

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