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2007年2月 1日 (木)

失言の裏にある物

陰暦 十二月十四日

 柳沢伯夫厚生労働大臣の"失言"がメディアで話題になっています。しかし、柳沢厚労相と久間防衛相の"失言"は意図的な発言だと私は考えています。

 この二人、安倍政権内でNo.3を競う立場にいます。久間防衛相が少し上ですが、あまり差はありません。安倍総理と麻生外相の間は緊密ですし政策も近いので麻生氏のNo.2の座は揺らぎそうにありません。ですので閣僚の間で一番熾烈な権力争いをしているのはこの二人と考えられます。

 安倍政権は外交を含めた国防政策の強化を最重要課題と位置づけています。情報部門の統合も課題に挙がっており、その中心は外務省と防衛省になるだろうと考えられます。また、景気回復を受けて財政再建の道筋が見えてきたため、社会保障の強化が可能になりました。お年寄りの投票率は高いので、参議院選に勝利するためには社会保障の強化は絶対に欠かせません。それに、権力は金を一番持っている所と金を一番使う所に集まります。近代国家で一番金を使う部門は社会保障です。

 小泉前総理を一番間近で見てきた安倍総理は、その人事術を会得しました。「かみぽこ政治学」が常用している経験則、「味方は党内に、敵は閣内に」です。久間氏の防衛政策は、安倍総理の方針とは離れています。柳沢氏はこれまでは実業部門優先の政策を提案してきました。これまた参議院選に向けて自民党がやらなければならないこととは正反対を向いています。

 現在、一番取り組むべき仕事が多いホットな官庁が防衛省と厚労省です。そこに政権が目指す政策と持論がかち合う二人が大臣として任命されました。どこまで自分を殺して政権のために働くことができるか総理は見ているというわけです。前総理が政敵の麻生太郎氏を最重要課題であった郵政民営化を取り扱う総務大臣にしたり、農業族の有力者である中川昭一氏を農業自由化を担当する経済産業大臣にしたのと同じ手法です。

 最初、久間氏と柳沢氏は総理の意図が読めなかったのか、あるいは逆の意図があったのか、従来からの持論を展開して、久間氏は米国と外務省から、柳沢氏は世論から叩かれました。その結果、防衛政策では「ブッシュ大統領は落ち目だけどやっぱり日本が支えてあげないと駄目だよね」、社会保障政策では「そろそろ実業界ばかりではなく、勤労者や社会的弱者の方を向いた政策をやるべきだ」という空気が醸成されてきました。

 久間氏のブッシュ大統領非難と柳沢氏の女性を機械になぞらえる発言は最後の大勝負だと思います。

 久間氏の発言は、情報部門の統合で外務省にイニシアチブを渡さないようにするため、外務省の力がどれくらいあるのかを観測することが目的であろうと私は考えています。閣僚が、外務省を困らせるようなことを言った時、どのようにして火消しをするのか、あるいは外務省はどのような諜報攻撃を仕掛けてくるのか、外務省に挑戦しているわけです。これは防衛省と外務省の諜報戦です。もちろんNo.3としてNo.2を狙っているのはもちろんです。

 柳沢氏の発言の目指す所は女性の覚醒でしょう。教育問題も少子化問題も、詰まる所、日本女性の母性が危機に瀕しつつあるのが原因です。これまで、日本の女性はしっかりしていました。日本の母親は世界に誇るべき素晴らしいブランドでした。しかし、現在の日本女性の母性は危機に瀕しています。そのため、女性に頼り切っていた出産・育児が崩壊してしまったのです。

 教育問題を少子化問題を解決するには、昔のようなしっかりとした母性を復活させるにしても、男性や行政の役割を拡大するにしても、やはり女性の奮起が絶対に欠かせません。女性にもっともっと思う所を社会に発してもらうことなしに効果的な政策を作ることは不可能です。そこでわざと女性を怒らせるような、しかし女性にしかできないことを再認識してもらうような表現を敢えてしたのでしょう。講演会の出席者からは全く異論が出なかったことからもそれは分かります。

 失言問題が起きてから柳沢氏のこれまでの発言を調べてみたのですが、どうやら財務省がコントロールできる範囲で、社会保障を行うべきであるという立場で、従って税収が減る不況の時には福祉切り捨てを主張し、税収が増える好況の時には福祉の拡大にも理解を示しているようです。蛇口の開け閉めの手段が確保されているのならば、福祉の拡大も吝かではないという立場らしいです。複雑ですけれども本格的な大人の意見ですね。

 権丈先生によると、こういう自由経済派の政策が実現されると、不況の時に福祉が絞られるから気をつけた方が良い、ということらしいのですが、今はとにかく福祉を立て直すべきですから、私は柳沢氏を応援したいです。一度確保できれば既得権になりますし(笑)再び不況が来る時には柳沢氏は厚労相ではなくなっているでしょう。

 一番株を下げたのが野党で、国会のしょっぱなから審議拒否では国民の彼等を見る目は白けると思います。久間氏や柳沢氏としても、国会で質問を浴びせかけられる方が困るはずなんですが・・・早く審議拒否なんてバカなことはよして、しっかりと仕事をやってください。

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