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2007年4月 8日 (日)

獠と香のラブレター

二月廿一日 【花祭り】

 先週「CITY HUNTER Sound Collection X」を買いました。80年代を風靡した人気アニメの主題歌集です。この作品のファンはアニオタ以外も多いはず。

 以下「獠」が機種依存文字かもしれないので「遼」と書いて話を進めます。

 大変に良質な歌ばかり。アニメのサントラとしてではなくて、純粋にポップスのアルバムとしても楽しめます。これで終わったらつまらないので、ここからアニオタというか妄想の話。

 CITY HUNTER の主題歌は、制作者が気づいて作ったかどうかは不明ですが、うまいこと遼と香のラブレターになっています。作中ではなかなか描かれることがなかった二人の関係ですが、主題歌を追っていけば、それを補うことができます。

 まず第一曲「愛よ消えないで」これは分かり易いですね、二人が出会って一気に恋に落ちたことを表す歌。"I need you ずっと探していた""愛よ止めないで""これが最後の Follin love"二人ともお互いを最高のパートナーだと宣言しています。これは二人の合唱です。

 第二曲「ゴーゴーヘブン」、これはおそらく遼が冴子に歌った別れの歌です。冴子というのは可哀想なキャラで、この作品の中では最後までピエロです。タッチの南ちゃんのように、遼と槙村(香の兄)のどちらを撰ぼうかと迷っている内に、槙村は死亡。遼は後から来た香に取られてしまいます。「お互いを大切にして先に進めなかった」と冴子が香に語るシーンがあるのですが、結局遼にとっても槙村にとっても、冴子は友情を壊してでも奪いたい相手ではなかったということです。それに対して、香というのは表向きはともかく、この作品では完全なお姫様で、遼も槙村も香のためには躊躇なく命を捨てます。それがあるから冴子は香にはあんまり優しくないんですね(笑)

 第三曲「GET WILD」CITY HUNTERといえばこの歌、といわれるほどこの作品を象徴する歌。これは"誰かのために生きられるなら、なにも怖くない"で分かるとおり、遼が香のために生きることを宣言した歌です。

 第四曲「ANGEL NIGHT」この歌が圧巻で、実は遼と香が「CITY HUNTER2」のどこかで行く所まで行っていたことを表す歌。"イルミネーション真下に見下ろし、夜を上っていくエスカレーター"歌で上昇感がでてくる時はそれは必ず女性から見たSEXを表しています。これは洋の東西を問いません。

 で第二聯は遼の体の描写。"最初に好きになったのは声""背中、整えられた指先"ものすごくエロチックです。

 そして"どこかへ行ってしまう心とメロディー""名を呼んで耳すます""風邪に散る花びら""遠いサイレン"。そしてこれがすごい、 "痛いトゲ 痛くないkiss" これはもはや説明不要。

 「2」の香というのは非常に精神的に不安定な部分がありますが「3」に入って急に落ち着きます。髪の色が変わっているのは、遼と済ませたというサインです。ここら辺はスタッフも意図してやっています。

 第五曲「SARA」、これが少し異色で、多分「もっこりだらけ!遼の心と超能力少女」の西九条沙羅ちゃんのことを歌ったのではないかと思います。このエピソードはCITY HUNTERの中で好きな話を五本上げろと言われれば、十人中九人までは必ず入れると思われます。一番いい話。あと作中で沙羅ちゃんは遼と香の間のキューピットを務めています。沙羅ちゃんのテレパシーを解して二人はお互いの気持ちを確かめたので、遼と香の往復書簡とは違うのですがこれも二人の恋愛の一ページということなんでしょう。

 「SUPER GIRL」はちょっと飛ばして、第七曲「失われた風景」これが一番難解です。そのまま読むと遼と香が別れたことになってしまいます。「Angel Heart」の遼の気持ちだと言えば理解ができるのですが、さすがにそれはない。ちなみに私の記憶の中では「Angel Heart」はなかったことになっています(^^;

 もしかしたら、場合によっては香が死ぬエンディングが用意されていたのかもしれません。手がかりは一人称が「僕」である点。CITY HUNTERで一人称が僕になりそうなのは槙村と香。しかし、二人称が「きみ」なのでこれは男の歌(女性は「あなた」です)。少々こじつけ気味ですが、これは死んだ槙村が妹の香が親友の遼と幸せになったのを見て成仏する歌にしたいです。何となくレクイエムっぽい所もあるし。

 「RUNNING TO HRIZON」これはあんまり内容がない歌。

 第九曲の「熱くなれたら」これは香が遼に宛てた歌です。ラブラブでこっちが中てられそうな歌詞が並んでいます。"火の玉のような朝日を見に行く旅へ""羽のように舞い上がるわ、空へ""熱くなれたらそれでいい""大きなものを見つめたい"・・・香は情熱的です。

 第十曲「DOWN TOWN GAME」これは少女の歌ですね、だから何でここに入っているのかはよく分からないです。

 第十一曲は「91」のエンディングですから、テレビシリーズ最後の歌となる「SMILE & SMILE」。これは夫婦になった二人が一緒に歌う愛の賛歌と思って間違いない。"ワインディングロード"は二人が共に歩く人生。前途には困難が待ちかまえているけれど、二人の顔には希望が満ちあふれています。

 このように、CITY HUNTER の主題歌には実は遼と香の愛の歴史が刻まれていたのでした。少なくとも、このサントラを作った人は意識してこの順番に並べたはずです。発表順になっていないからです。ただし「1」「2」「3」「91」の順番は崩れていません。非常に良くできている。素晴らしい作品には、このような意図せざる天の配剤が働きます。

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