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2007年8月12日 (日)

「選挙結果の総括と今後の展望(八)」

陰暦 六月廿九日

「恒産なくして恒心なし」

 今回安倍内閣の閣僚の金の問題がスキャンダルとして取り上げられましたが、冷静になって考えてみると、どれも今までは問題とはならなかったことばかりでした。松岡大臣の自殺は余人には窺い知れない闇がありそうなので何とも言えませんが、その後を襲った赤城大臣の問題というのは果たして問題なのかどうかも怪しい。

 登記所の本拠と実際の本拠が異なることは民間の会社でも珍しくありません。何故これが不正であるかのように報道されたのか、最近はマスコミが取り上げたことは即不正であると短絡されてしまう傾向が強すぎると思います。風評被害で農作物が売れなくなることなどもそうですね。各事務所の不動産としての価値をきちんと報告していれば、どこに本拠地があろうと問題ではないと思います。

 マスコミは報道をしているだけであって、マスコミにそれが違法かどうかを認定する権限はありません。視聴者も、テレビがおどろおどろしい音楽を流したからと言って、テレビに映った人物が悪人だと即断しないようにしてもらいたい。

 次に赤城大臣が領収書を公開しなかったことですが、税務署が要求したわけでもないのに領収書を公開しなければならない義務はありません。マスコミはいつからそんな権限を振り回せるようになったのでしょうか。しかも、民間会社でも一円から全て税務署に報告するわけではないでしょう。きちんとした会社だったら、全て支出は追えるようにしてあるものですが、特に何の権限もない相手に軽々しく領収書は見せません。

 国会議員が無闇と支出を公開すると、それを弱味として握られてしまう可能性があります。そのため、国会での議論が鈍ってしまっては国民にとって損失です。もちろん国会議員の活動は公明正大であるべきなのですが、だれに会ったかの情報だけで、分かる人には、政府が次に何をしようとしているのか分かります。マスコミが見せろ見せろといったからと言って、すぐに見せるようでは、むしろ国会議員として適正を疑われます。

 逆に取引が全て公開されたからと言って全くそこに不正がないかというとそうではないでしょう。
ノムサンの時事短評(平成19年1月28日)

泥酔論説委員の日経の読み方(平成19年1月18日)

にあるように、経緯が跡を追えるけれど、よくよく考えてみると政治資金の使い方として不適切ではないかという事例もあります。 同時期に、角田参議院副議長が外国人から献金を受けるという問題もありました。

こちらは小沢党首の問題よりももっと明白に法に抵触している可能性がありますが、マスコミが報じなくなったために選挙までにはなかったことになってしまいました。

 確かに日本の政治家の金の扱いは雑なように私も思いますので、出納に対する監視が厳しくなるのは喜ぶべき事だと私も思います。しかし、何か問題が起きた場合にどう対応を取るかはマスコミの騒ぎ具合が決めるべきではなく、法に照らし合わせて決めるべきです。

 それに、確かに今回マスコミのプロパガンダに多くの人が乗せられてしまいましたが、心ある人は今回のマスコミの騒ぎぶりが、特に金の問題に関しては異常だったことはしっかりと覚えています。片方の政治的主張を贔屓して伝えたのとはわけが違います。別に違法でも何でもないことを、さも違法であるかのように取り上げることによって、選挙が少なからぬ影響を受けたのです。

 これでは、同じ手を使えば政治家だけでなく、落ち度のない企業だって倒産させることも可能になるでしょう。

 不正確な報道は社会を混乱に陥れます。

 赤城大臣に腹を立てた人は、今からでも遅くありませんので、では彼がやったことは本当に良くないことであったのかどうか考え直してください。

 最後に私が考える金の問題の解決法。政治家の給料は安すぎると思います。給与として年に2,200万円、文書通信費として1,200万円、それ以外にも約900万円経費を受け取れます。合計で4,200万円です。これだけ見るとかなりの額をもらっているように見えます。

 しかし、政治をするには、秘書も政策を考えるスタッフも必要です。国から三人分の経費は出るそうですが、三人で足りるとは私には思えません。英国の国会議員の給与が安く済んでいるのは、政党の力が強くて、一人一人が全てを賄う必要がないからでしょうし、米国の政治家や官僚というのは、国から直接もらえる給与は少なくても、なんだかんだで目の玉が飛び出るほど副収入があるというというのは日本でもだいぶ知られるようになってきました。

 4,200万円では、仕事ができる優秀な中年男性を2人も雇ったら消えてなくなってしまいます。あと家賃だってかなりかかるでしょうしね、事務所一つで人一人分くらい金がかかるものです。車の燃料費だって莫迦にならない、議員には車両費が出たかもしれませんが、秘書だって車を使うでしょう。

 というわけで、私としては政治家一人あたり1億円給料をあげてそのかわり他人から一銭でももらったら即首と言うくらいにするか、政党がスタッフを使ってシンクタンクの役割をする、そのかわり議員の自由度を減らす、そのどちらかではないかと考えます。

 どっちにしろ、国会議員が自由に使える金が意外なほど少ないです。今回民主党が滅茶苦茶な選挙キャンペーンを繰り広げた理由の一つとして、一昨年の衆議院選挙で議席を大幅に減らしたために、政党助成金が大幅に減って財政がピンチに陥ったためにどうしても議席を増やさないわけにはいかなかったという事情があります。 小沢党首が金に不明瞭なところがあるのも、軍資金集めのためであったのかもしれない。自由になる金が少なすぎるから、議員の周りに変な人が群がるようになるのです。赤城大臣が領収書を使って財テクまがいのことをしていたのも、なるべく企業や個人の献金に頼るまいと努力した結果かもしれません。

 こうやって厳しくし過ぎると、結局親から財産を受け継いだ人しか政治家になれなくなります。もしくは、企業や組合に忠実な人しか仕事ができなくなります。

 ある程度お金を与えて、恒心を与えないと、良い政策は生まれないと思います。

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