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2007年9月 2日 (日)

農協は死んだ

陰暦 七月廿一日

 現代に戻って、農家は高齢化が急速に進んでいます。どっちにしろ、農業ができなくなる農家がこれから増えます。耕作放棄を避けるためには、まだ農業ができる農家に土地を貸し出すしか方法はないでしょう。

 この農地の集積を促すのが集落営農政策です。既に戸数で25%、面積では38%の農家が集落営農を申請しました。担い手への農地集積は急速に進んでいます。

 最終的には、農地を耕したり、家畜の世話をする農家の数は現在の十分の一になり、日本の農業はやっと事業として採算がとれるようになります。国際的に高すぎる農産物価格もやがて下がるでしょうから、消費者にとっても利益になります。

 かつて農家だったけれども担い手にならなかった人達は、担い手から上がる地代を受け取るようになります。一代目の高齢化によって担い手に土地を譲らざるを得なかった人にとっては年金のようなものです。しかし土に触れたこともない二代目以降が地代を受け取るのは不公平ですので、いずれ政府による権利買い上げなどが行われると思います。明治維新の秩禄処分みたいなものです。これによって農業経営はますます効率化します。

 このように日本の農業は後戻りできない変革の真っ最中にあります。農林水産大臣を巡るゴタゴタが頻発しているのは、やはり抵抗が多いことを意味しているのでしょう。なぜなら、農家が経営的に独り立ちしてしまうと、農協の存在意義があやうくなるからです。

 全国の農協の数は1,000。役員は15,000人、職員は30万人います。兼業農家も入れた農業就業人口は320万人です。しかし農業が事業として成り立っている販売農家は196万戸ですので、実質的には6軒の農家で1人の農協職員を支えていることになります。農業の採算が悪化しているのにこれは過剰でしょう。

 特に役員の数が過剰です。斜陽産業だというのに(斜陽産業だから?)20人に1人が役員だなんていったどういう会社ですか。民間ではあり得ないことです。勤務実態がない天下り役員とかも多そうです。

 農協には本来集落営農のような役割が期待されていました。農家がお金を出し合って、共同で農機具や倉庫を購入し、流通路を共同で確保し、新しい情報を収集するのが農協の役割でした。これは自作農が急増した戦後の十数年間は有効に機能しました。しかし最近は農家のために農協があるのか農協のために農家があるのか分からない状態です。

 農協は農家に金を貸して、農家を生かさぬよう殺さぬようにすることで延命を図ってきた面があります。集落営農が主流になって農家が経営的に自立し、農機の購入でも運用でも農協に頼らなくなり、1戸当たりの収穫量が増えることによって都市の流通業者と直接取引が可能に(当然その方が農家の取り分が多くなる)なると、農協の存在意義に疑問符が付きます。

 この一年間続いた農林水産大臣叩きは、今の政府が進めている集落営農政策に対する農協の危機感の表れでないかと私は推測しています。今の農相も、役員を務めていた農済組合の不正受給が明るみに出ましたが、これは全国の農協で行われていることなのでしょう。

 農業関連団体は、社会保険庁同様、自爆テロに走ったのです。よほど切羽詰まっているのでしょう。面積で38%が既に集落営農に参加しているのですから当然です。

 農業に関わりのある政治家なら何らかの農協とか農済組合の役員をやっているはずです。これらの団体の経営は、どうやらかなり乱脈であるようですから、農林水産族の人を叩けばいくらでも埃が出ると思います。むしろこれを機に、これら農業関連団体の不正を徹底的に洗って、その存在価値自体を国会の議論の俎上に載せるべきです。安倍政権はこのスキャンダルを奇貨とすべきです。

 また、民主党の戸別補償政策が何を目的としているかもこれで分かったと思います。農家に配られたお金は、債務返済のために農協に流れるのです。最終的な受益者は零細農家ではなくて農協です。

 農業を継げなかった次男坊三男坊を吸収するという役割が農協にはありましたが、そういった人達ももう退職して、農業とは余り縁のない職員が増えていると聞きます。農協はその役割を終えようとしているのでしょう。

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