「風の少女エミリー」レビュー
陰暦 八月廿一日
前半のポリアンナ的展開とはうってかわって衝撃の「うすいさちよ二十八歳独身様」的展開(ああでもポリアンナも後半は容赦なかったっけか)、なかなか面白かったです。自虐物は女流に限ります。モンゴメリー先生も苦労したんですね(泣)
中等学校(?)を卒業したとて自動的に小説家になれるわけもなく、イルゼは演劇学校に、ベリーは弁護士事務所で見習いに、テディは何と才能が世に認められてパリへ留学にと、プリンスエドワード島から羽ばたいていったと言うに、いち早く自分の夢に目覚めたはずのエミリーだけが一人故郷の村に帰ることを余儀なくされたのでした。
それからは、友人の活躍を横目に採用されることのない小説を書く毎日、唯一の読者とも言える恩師のカーペンター先生も突然死んでしまいました。そこに追い打ちをかけるように約束を交わしたつもりのテディがパリで有名芸術家の娘と婚約したという知らせが!エミリーは奈落の底に叩き込まれます。まさかこんな展開になるとはビックリです。
夢遊病者のように夜の村をさまようエミリー、ご飯も喉を通らず、そしてついにやけになって子供の時から書きためた小説を暖炉にくべてしまいます。その虚ろな目、家族に毒づくエミリー、久々に背筋にぞくぞくときました。何とか勇気づけようとエミリーを叩いてしまい、その後に悔んでエミリーの枕元で涙を流すエリザベスおばさんに感動しました。
そして、しばらくして元気を取り戻したエミリーは、ニュームーンを題材にした自伝的な小説を書き始めます。そして、最初の読者となったのが何とエリザベスだったのです。どうにかして抜け出そうと思っていた、つまらなかったはずのニュームーンのなんでもない日々の描写が、初めて人の心を打ったのでした。
家族の後押しを受けて、エミリーはその小説を自費出版しました。それは島中の評判となり、人々の手から手に渡り、ついにアメリカの大出版社の目にとまりました。しかしエミリーはニューヨークに来るようにとの誘いを断り、プリンスエドワード島で、故郷の人々の生活を書き続けました。この島こそが彼女に「ひらめき」を与えてくれる約束の地だったからです。
地味だったけれど、しっかりとした作りの良作であったと思います。名作劇場の後追いになってしまいますが、NHKにはこの調子で児童文学のアニメ化を続けて欲しいです。どうせなら余勢を駆って「赤毛のアン」なんてどうでしょう?
最後の結婚は余計だった気もするけれど、子供向けにはああいう終わり方にしないといけなかったんでしょうかね(笑)
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