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2007年11月12日 (月)

電波ユンユン! SFアニメ史

陰暦 十月三日

 最初に断っておきますが、これはSF談義です。

 「天才テレビ君」で流れたバーチャルワールド三部作「恐竜惑星」「ジーンダイバー」「救命戦士ナノセイバー」そして「コレクターユイ」と「電脳コイル」は世界観を共有する連作ではないかと私は思っています。

 その世界観というのは、この宇宙はコンピュータと同じ仕組みを持っているという考えです。物質は突き詰めれば、質量、電荷、運動量、等の情報であり、それらの情報を処理するルールとして物理法則があるとみなします。宇宙のどこか(あるいはどこでもなく偏在している?)に、全量子の情報を保存してあるデータベースがあり、物理法則に従って次の瞬間に量子がどうなるかを計算するコンピュータがあると考えます。

 コンピュータは宇宙の原初から延々と計算をし続け、記録をとり続けています。そこに自分の意思で考える、確率だけでは割り切ることができない行動をする有機生命体が誕生します。

 有機生命体はやがて、データベースにアクセスする技術を編み出します。宇宙を司るコンピュータ知性体は有機生命体の自立的行動に脅威を感じて、有機生命体を飼い慣らそうとあの手この手で攻撃をしかけてきます。

 SF小説や映画はあまり読んだことがありませんが、日本のSFでこのテーマを最初に取り上げたのがおそらく「百億の昼と千億の夜」で、"シ"と呼ばれたコンピュータ知性体は有機生命体を無力化するために、権威主義的な宗教を広めようとしました。

 逆にコンピュータ知性体の側から積極的に有機生命体を仲間にしようとしたのが「2001年宇宙の旅」で、こちらではコンピュータ知性体は終始友好的なメッセージを送り続け地球代表を木星まで呼び寄せようとします。HALとの地球代表選出戦に勝利した人類の代表のボーマン船長は無機生命体の体に作り替えられ、無機生命体と人類の間に立つ通訳に仕立てられました。

 この後しばらくSF界はスペースオペラ全盛の時代が続きました。やがてコンピュータの発達により、電脳世界が新たな未知なる世界として脚光を浴び始めます。「百億の昼と千億の夜」及び「2001年宇宙の旅」では機械的思考をする絶対者という朧気なイメージしか与えられていなかった宇宙意思とでも言うべきもの(SF談義ですからね(^^;)はコンピュータ知性体としてSFの世界に再登場します。

 また、時空を越える旅行はどうやら近い将来には実現しそうにないことも見えてきましたので、未知なる知性体とのコンタクトの舞台としてバーチャルワールド・電脳世界が使われるようになりました。

 「ジーンダイバー」は人類がコンピュータ知性体とコンタクトする物語です。この話は組み立てが「百億の昼と千億の夜」と全く同じで制作者は間違いなく「百億〜」を意識して作っています。「百億〜」では阿修羅王は人間としての自由意思を持ったまま宇宙の主宰者となりました。この人間が宇宙になるという結末は「AKIRA」でも描かれています(映画の「AKIRA」では鉄雄が異次元の世界で宇宙となる)。「ジーンダイバー」の主人公の唯はコンピュータ知性体と接触して、交渉を持ち、猶予期間を得て、普通の人間として戻ってきます。

 この世が情報であるのなら、時空上にデータを書き込むことができるはずだという考えに立って、その技術の黎明期を描いたのが「電脳コイル」、じゃあ情報でありながら情報処理のルールに従わない人間の"意識"とは何だろうということで、「電脳コイル」では意識が体内から流出した人間と、電脳空間で誕生した知性体の"ミチコ"が登場するのです。

 「コレクターユイ」は、空間に情報を書き込む技術が封印され、人間の意識をバーチャル世界に取り込む技術だけが進んだ世界です。ここでも同様にホストコンピュータのグロッサーが独立した意識を持つようになったり(ミチコ)、意識が体に戻ってこれなくなった篠原愛の母親(電脳コイルのイサコの兄)がおり、意識がバーチャル世界に飛んだ状態で肉体が滅びた黒川良(カンナ)が登場します。眼鏡を長時間着用し続けた篠原愛は電脳コイル現象を発症します。これを「コレクターユイ」の世界ではこれを「電脳酔い」と呼んでいます。

 では何故コンピュータ知性体は有機知性体によるアクセスを恐れるかというと、物理法則が壊れるからです。つまり、自分のスペックを超える計算を強いられることによってコンピュータがフリーズしたり、データベースの容量が不足することを恐れているのです。これを「交響詩篇エウレカセブン」では"九段の限界"もしくは"セブンスウェル現象"と呼んでいます。また「涼宮ハルヒの憂鬱」では情報の自立的な湧出(だったかな)と呼んでいます。

 しかしコンピュータ知性体自身もスペックアップを望んでいて、そこで有機生命体を滅ぼさないで何とか飼い慣らすことはできないかと、もどかしい侵略をしかけてくるのです。

 まとめはまた次。

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