中東大繁栄(下)
陰暦 十一月廿八日 【小寒】【高崎達磨市】
とはいえ、イラクやアフガニスタンのように内乱状態になってしまっては旨味がないわけで、トルコやイランとしてはクルド人過激派を絶望的な抗戦に駆り立 てないようにしながら封じ込めることが必要になるでしょう。エルドガン政権の東部地域生活改善策によって過激派はクルド人内部でも支持を失いつつありま す。イランの方でもこれの真似をして、イラン内部のクルド人その他の少数民族の生活水準を上げて、過激派を原住民から分離する措置がこれから進められるは ずです。
イラクのクルド人自治区としては、せっかく手にした実質的な独立国を手放したくはないはずですから、おそらくトルコ内の過激派と手を切ることになるのではないかと私は思います。ちょっと想像しにくいことですが、トルコ軍・イラン革命防衛隊・イラク内クルド人自治政府による、クルド人過激派の掃討作戦が遂行される可能性があると思います。米国は黙認するでしょう。
アフガニスタン情勢の悪化は、カフカス地域とクルド人居住区の安定化のために、イランが矛先を東に移したのが原因ではなかろうかと私は推測しています。ただし確証はありません。サウジがイラン大統領をメッカ巡礼に招待するなどサウジアラビアとイランの関係改善も進んでいます。南カフカスとクルド人居住区の安定化によって、イスラエルを通さずにロシア及び欧州と交易するルートが開けることにアラブは気がついたのではないかと私は思います。言い出しっぺは不明ですが、マーシャルプラン並みの遠大な構想です。
これがうまくいけば、パレスチナ問題はアラブにとってもどうでも良いことになる可能性があります。イスラエルとしても、アラブからハマスへの援助が弱まるので、大歓迎でしょう。トルコとイランに対テロ作戦の協力ぐらいはするかもしれません。
シリアもこの美味しい話には加わりたいはずですので、今年からシリアは良い子ちゃんになるんじゃないかと思います。イスラエルとの関係改善も進むでしょう。
結果、
・ラタキア(シリア東地中海)ーアレッポ(シリア)ーシリア・トルコ国境ーモスル(イラク北部)ーバグダッド(イラク)ークウェート(クウェート)のルートと
・バクー(アゼルバイジャン)ーエレバン(アルメニア)ーダブリーズ(イラン西部)ーテヘラン(イラン)
という二大動脈が誕生するでしょう。
道路と鉄道の整備が始まるはずですので、日本の技術力の出番です。
更にホルムズ海峡の自由経済地域化が実現すれば、中東はかつての栄華を取り戻すのではないかと思います。アラブの長いトンネルにもようやく出口が見えてきました。あとはトルコ内部のクルド人過激派が観念して、この中東全体が大繁栄できる構想に素直に参加することを願うのみです。
アフガニスタンについては当分打つ手なしです。上構想実現のために、不満分子のアフガニスタンへの吹き寄せが生じるでしょう。米国もイラクとイスラエル安定のためにはこれを認めるしかない。通商路のインフラが整備されてトルコーイラクーイランの関係強化が確立するまでは早くても二十年かかるでしょうから、それまではアフガニスタンでモグラ叩きが続くでしょう。
米国大統領選挙の論争を眺めるに、米国は安定化したはずのイラクがこれまでの行きがかりから「危険だから」という理由で撤退を余儀なくされそうな情勢であり、危険極まりないアフガニスタンは「国際協調の成果」として関与が続けられることになりそうな情勢です。
まことに変な話ですが、これまで見てきたように、中東の安定化のためには、うまくいったイラクからは撤退し、まだまだ危険なアフガニスタンには駐留を続けるという意味では合理的です。いつもながら米国の世論操作の思い切りの良さには感心させられてしまいます。
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