「ヤダモン」
陰暦 十二月廿三日 【下弦】
以下ネタバレですので「ヤダモン」をこれからみようと言う方は読まないことをお薦めします。
NHKアニメの「ヤダモン」を見終わりました。ヤダモンといっても「こんな子いるかな?」ではなくて、緑色の髪の毛をした魔女っ子の方。説明しなくても 分かりますって?前半のほのぼのコメディアニメとはうって変わって後半はハードなサイキックアニメ、その落差にただただ驚きの連続でした。
前半にも砂の妖精バグドとの戦いや、マナティおばさんと聖なる魔女ベリアルによって鍛えられるシリーズなど、シビアな展開はありまし たので、キラとの戦いも一応最初から用意してあったのだと思います。後になって付け足したにしては話が練られている。ただし、お袋さんのデザインはもしか したら途中で変わったのかも、と思っています。だってエンディングに出てくるあのアゲハチョウみたいな女性はなんなの?ってことになるからです。
ヤダモンの良いところは子供達が自然でちゃんと子供をやっているところです。良い子だったり、我が儘だったり、ずるかったり、使命感 に燃えていたり、偽りの成熟の殻で身を守りつつ、実は幼児のように未熟でもろい、そんなキャラクターしか今の作家は描くことができませんが、ヤダモンに出 てくる子供達は、子供っぽいけれどとてもたくましい。この力強さが大好きです。
それとエディとマリア夫妻が、子供達をしっかりと包んでくれます。エディは放任主義なようでいて、しかるべき時にはきちんと子供を 叱っていますし、マリアは家をきちんと守ります。その上仕事までしています。エディはもうちょっと家事を手伝っても良いとは思うけれど、しっかりとした夫 婦の愛情があり、家が維持されてこそ子供は安心してのびのびと育つことができるのでしょう。
研究所の所長という自由がきく仕事だというのもあるでしょうが、マリアは家と仕事場を行き来しながら仕事をしています。これからはこ ういう仕事のやり方が認められるような世の中が望ましいのではないかと私はこのアニメを見て思いました。工場なんかでは難しいのかもしれませんが、もう ちょっと働く時間を細切れにして頻繁に家に帰れるようにするとか。今みたいにガチガチに全員朝9時から晩の5時までは職場から一歩も外に出るな、というの は合わなくなるのではないか。社員である前に、社会の一員であり、家を維持できないようでは、会社でも良い仕事はできないそんな気がするのです。
さて、ヤダモンはそんな愉快なジャン一家と一緒に暮らしながら心豊かな女の子に育っていきます。これが最後の戦いで、闇に呑み込まれないための土台となりました。
卵の中のキラに騙されたヤダモンは、タイモンの心配も耳に入らず、女王にも心を閉ざしてしまいます。しかしこれはキラに騙されていたせいとばかりも言え ないでしょう。光だけが異常に強いヤダモンは、キラ同様にバランスが悪く、キラの闇を必要としていて、心惹かれていたのです。全てを破壊しようとしたキラ もヤダモンを味方にすることだけは最後まで諦めませんでした。キラもヤダモンなしでは卵の外に出ることもできない存在だったのです。
「本当のお友達になってくる」といってキラとの戦いに出向いたヤダモン。キラとはお友達になれたのでしょうか?キラは力を暴走させて 一旦全てを破壊してしまいます。キラは消えてしまったのでしょうか。しかしヤダモンが使った魔法、これはおそらく闇と光の両方の力を使った魔法だと思われ ます。ヤダモンの闇は、キラから受け継いだ闇ですので、キラはヤダモンの中で生き続けているのだと思います。
光だけだったころのヤダモンは、やはりキラ同様に思いやりに欠けるところがありました。ヤダモンが真の優しさを手に入れたのはキラの闇を受け入れて以降です。闇にも光にもどちらにも溺れてはいけないけれど、どちらかを追い出してもいけなかったのでしょう。
最後に、タイモンはもさもさの丸まるの方が良かったと思うんだけど(^^;
水原リンさんの少年の声はかっこよかったけれどね。
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ご感想興味深く拝見しました。
放送当時夢中になった作品が、今もこうして話題にあがることが何とも嬉しい今日このごろです。
それだけでなく、キラとヤダモンの関係への深い考察にも感嘆しました。
まさに、ヤダモンとキラは表と裏なんですね。
それと女王の髪型のことですが、広げるとEDのアゲハチョウの形になるという風に最初からデザインされていたのですが、作画が大変なのでアニメで羽を広げる姿は使われなかった、と確かロマンアルバムに書かれていた気がします。
当時から、アニメーション制作のスケジュールは大変だったことを思わせるエピソードですね。
NHKのSFアニメの考察についての記事も大変面白かったです。ヤダモンも天てれSF3部作もDVD化されましたし、もっと沢山の方にみてもらえると良いなあ、と心から思います。
それでは、乱文失礼いたしました。
投稿: 通りすがりのいちヤダモンファン | 2008年2月19日 (火) 13時34分
本放送時からのファンから褒めていただけるなんて光栄です。しかもロマンアルバムまでお持ちとは相当ですね!
NHKの子供向けショートアニメは面白い作品が多いです、「スプーンおばさん」とか「針もぐハーリー」とか、「おじゃる丸」と「忍たま乱太郎」はさすがにマンネリに陥っていますが、それでも充分見られるし。
楽しむことができてなおかつしっかりとしたストーリーを持っている子供向けのテレビ作品をNHKにはこれからも作ってほしいと思っています。もちろん民放も。
投稿: べっちゃん | 2008年2月19日 (火) 22時02分
初めまして、HINAKAと申します。
べっちゃん様、で宜しいのでしょうか?
何やら、最近急に拙ブログに「ヤダモン」の検索ワードでの御訪問が相次ぎまして、その1つを逆検索したところ、こちらの記事がある事を知りました。
大のヤダモン・ファンとしては、捨て置けない!せめて、御挨拶だけでもと思い、このようにコメント欄を汚させていただいております。
トラック・バック共々、お許しいただければ幸いです。
なお、少々自慢になりますが、ロマンアルバムとSUEZEN様の上下2巻のアニメージュ・コミックス(もちろんマンガです!)そして何と言っても本放送時の、最終回に至るまでの後半を録画しています。
それでは、何やら同好の士のような気が致しますので、これからも宜しくお付き合いいただければ、幸いです。
取り急ぎ、ヤダモンと初代プリキュアの記事を、トラック・バックさせていただきます。
その上で、リンクをお許しいただければ、何よりです。
取り急ぎ、今回は御挨拶まで。
投稿: HINAKA | 2010年3月23日 (火) 12時53分
HI NAKAさん初めまして。
ヤダモンの本放送は見ていなかったのですが、80〜90年代のアニメは大好きです。ヤダモンファンの方に褒めていただき、大変に光栄です。
それだけに最近のアニメには飽き足りない物を感じています。せっかく来ていただいたのに、ここ一年くらいアニメの記事がなく、固い記事ばかりで申し訳ありません。
それでもよろしければ、今後ともどうぞよろしくお願いします。
投稿: べっちゃん | 2010年3月23日 (火) 18時34分