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2008年3月22日 (土)

共産党王朝

陰暦 二月十五日 【望】【旧涅槃会】

 歴史好きとしてはどうしても中華人民共和国を過去の王朝になぞらえて考えたくなってしまいます。まず国号ですが、支那では旗揚げの土地を国号として取ることになっています。ただし元からは、土地に関係ない理念的な国号をつけるようになりました。それはモンゴルと女真族が完全な化外の地から発祥して中原を征服した王朝であるので、漢族を治めるに当たって旗揚げの地を使うことができなかったからです。反発、もしくは嘲りをうけるからです。

 さて中国共産党ですが、発祥の地の候補は二つあります、1931年の中華ソヴィエト共和国臨時政府樹立を出発点とする場合、楚もしくは潭になるのではないかと思います。けれども中華ソヴィエト共和国は国民党に敗北しているのでこの土地を創業の地とするのは縁起が悪いかもしれません。ですので大長征の後に落ち着いた延安の方が相応しいでしょう。ここは古代から数多くの国が興亡した地です。

 延安の当たりの一番古い地名は上郡ですが、黄河の屈流部から出た国は唐か魏か晋を名乗ります。魏は悪役の曹操もしくは拓跋氏のイメージが強く、晋は北方異民族に滅ぼされたのでイメージが悪いので断然"唐"が良いでしょう。版図は支那の王朝としては最大だし、多民族国家の建前からも相応しい。李氏の大唐帝国と区別するために、後唐もしくは創始者の姓を取って毛唐と呼ぶことににしましょう。

 
 高祖はもちろん毛沢東。宰相は周恩来。支那の王朝にはつきものの創業後の粛正劇である文化大革命までちゃんとありました。昔風に呼べば江氏の乱、あるいは江氏の禍となります。劉少奇や林彪はさしずめ"廃太子"といったところでしょう。それを生き残って真の王朝創始者となったのが鄧小平。実質的な創始者を太宗と呼ぶのが習わしですので太宗鄧小平。

 太宗鄧小平の皇太子が胡錦涛、江沢民は胡錦涛の後見を任された太宗の弟みたいなものです。中継ぎなので中宗でいいでしょう。中宗江沢民。江沢民と胡錦涛の暗闘はまさしく叔父甥の争いに似ていました。

 今のところ中共は大発展を遂げているので、胡錦涛には高宗の号を与えてもいいでしょう。高宗胡錦涛。宰相は温家宝。この前の人民大会議で皇太子候補が二人選ばれたらしいです。名前はよく覚えていません。けれども実際に継ぐのは全く別の人物だったりするかもしれません。王朝内も一寸先は闇。

 中国共産党の土地共有制度はまさしく均田制のなぞりです。しかし、土地の処分権を農民に与える計画らしいので、数十年かけて荘園制(佃戸制)に戻るでしょう。ちなみに均田制というのは官吏が荘園主になっているだけですので、農民にとっては均田制でも荘園制でもさしたる違いはありません。

 現在の支那は中国共産党という貴族集団が中核になって支配しています。官吏がどのようにスカウトされているのかいまいちよく知らないのですが、有為な若者を共産党がスカウトしてプールしておき、仕事を任せて実績を顕せば上に引き上げるというパターンが多いみたいです。このスカウトの基準が不明朗なのですが、科挙の弊害で国家中枢が実務音痴ばかりで占められた轍をふまないように努力しているのでしょう。支那のような社会では意外と有効かもしれません。

 これから支那では均田制が崩れて、豪農や豪商が力を持つ荘園制社会になると考えられるのですが(これを支那では資本主義、もしくは市場化と呼んでいる、けれども世間一般で言う資本主義とはちと異なる)、それまでしばらくゴタゴタが続くでしょう。けれども内乱にまでは進まないと思います。高宗胡錦涛の次はあまり指導力を発揮できないと思います。短い在位で数代続いた後で玄宗が出てくるはずです。これが中興の祖となり、共産党王朝は爛熟期を迎えるでしょう。

 しかし爛熟期になるとだいたい国防が疎かになりますので、周辺民族や軍閥が独立を始めると思います。こうなると華北を維持できなくなって南遷するでしょう。これが南唐。経済的に重要な沿岸部を安定化させるために、日本と米国はこの南唐を支えるはずです。満洲と西域とチベットは現在のアラブのような混乱状態になるはずです。

 最近はサイクルが早いので、混乱期が2010年代、玄宗の登場が2020年頃、南遷が2050年くらいだと思います。南唐は半世紀くらい続くと思います。あと四十年くらい生きればリアル三国志が見られそうです。今後の支那の行く末を読むためには高宗の死から玄宗が登場するまでの唐王朝のゴタゴタと社会の変化を研究するのがいいのではないかと思います。

 中国共産党の崩壊を予測する人もいますが、あれでなかなかしぶといと思います。沿岸地帯だけならばこの先百年間共産唐王朝は続くでしょう。何よりもこの三十年というもの、支那では飢饉が発生していません。これは希有なることです。胡錦涛の治世はおそらく貞観の治と並ぶ善政として記憶されます。外の物差しを支那に当てはめても当たらないでしょう。最近インフレがひどいので、黄巣の乱くらいは発生するかもしれませんが、潰れるところまではいかないと思います。

 追記

 支那では今後十年かけて、政党の自由化をするらしいのですが、これは共産党のような人材プール集団をもう一つ作るという格好になると思います。こうなると凄まじい党争が発生するはずです(^ ^;やめた方が良いと思うんだけれど、共産党のスカウトから漏れた知識人のガス抜きのためにはやむを得ないのでしょう。支那の反乱というのは、科挙の落ちこぼれがやけっぱちになって始めることが多いからです。

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