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2008年4月 1日 (火)

取引にかかる税金の問題点

陰暦 二月廿五日

 以前にきんたろうさんのホームページで林権助さんから「税制は徴収は一律にして、産業振興とか弱者保護などは補助金を還付することによって行うべき」、という指摘を受けたことがありました。

 指摘を受けた時にはいまいち意味がよくわからなかったのですが、今回の暫定税率騒動を経験して何となく意味がわかったように思います。

 今回の一時的な税率低下で一番損をするのは石油小売りであるといわれています。この税金は、石油が元売りから出荷された時にかかる税金ですので、四月一日に仕入れた石油から値段が下がります。ふつうガソリンスタンドはタンクに数日分の石油を貯蔵しているはずですので、それを売り切るまでは、税金分を販売価格に上乗せしないといけません。

 しかし、消費者はそのようなややこしい制度は知りませんので、四月一日から価格が下がると思っています。それに石油には出庫日は表記されていませんので、四月一日以前に仕入れた石油を、四月一日以降に仕入れた物だと言って売っても取り締まることは困難です。

 厳密に言えば、石油小売りの帳簿を精査して、仕入れた量と販売した量を比べることによって、四月一日より前に仕入れた石油をダンピングして販売したことは判明しますが、これは全ての取引が終わってからでないと取り締まることができません。現場を押さえることが不可能です。

 そのようなわけで、損をしてもいいから客を囲い込みたい、という石油小売業者がいれば四月一日から暫定税率分を値下げするでしょう。150円の物を25円も値下げすれば、小売業者の儲けはなくなります。おそらく赤字になるはずです。125円では、売れば売るほど赤字が増すはずです。

 けれども、ダンピングで客を囲い込むことができれば、四月一日以降に仕入れた石油で大いに儲けを取り返すことができるかもしれません。しかも、今回の混乱で発生した損害を政府がある程度補填すると言っています(どうやら銀行から借金するに当たって、利子幾分補助してもらえるらしい)。そうすると、四月一日からダンピングをしても割が合うかもしれません。

 なぜこのような不正に近いことが生じてしまうかというと、税金の最終的な負担者と納税者が同一でないからです。

 石油取引税を最終的に負担するのはドライバーですが、税金はドライバーへの給油の前段階、元売りのタンクからの出荷の時にかかります。このような時差があると不正が入り込む余地が生じやすくなります。

 例えば、法人税の徴収が二月で、所得税の徴収が三月だったとしたらどうでしょうか。三月に従業員に払うために企業が貯めているお金に法人税がかけられ、三月に給与を支払ったら、今度はその給与に対して所得税がかかります。同じお金から二重に税金を取っていることになります。明らかに取り過ぎです。石油取引税というのはこれに近いことをしていると言えます。

 取引にかけられている税金というのは、このようなことが生じる危険性が高いです。こういう事をなくすためには、ストックにかける税金は、同じ時期に一斉に徴収し、フローにかける税金は、最終生成物を利用する人(即ち消費者)が全て負担することにするとするのが一番良いことになります。

 そして、産業の振興や弱者の保護をしたい場合は、政府からサービスかお金を提供するという形でするべきと言うことになります。特定の税金の税率をいじることで、特定の産業、もしくは集団の優遇をすると不公平が生じやすくなります。

 世の中の混乱を防ぐためには、石油取引税の暫定税率は当面は(数年のターン)維持するべきでしょうが、最終的にはこの手のフローにかかる税金は消費税以外は撤廃して、そのかわりに消費税の税率を上げて税収を確保した方が、税に関わる不正や不公平は減少するはずです。

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