羊頭狗肉
陰暦 五月六日
NHKの世論調査によると福田政権と自民党の支持率が回復し始めたそうです。特に何か国民に振る舞うような施策をしたわけでなく、政府の支出削減と国民の負担増を続けた末の反転ですのでこれは堅いのではないかと思います。これ以上はもう下がることはないでしょう。給付と負担はバーターの関係にあることにようやく日本人も気がつき始めたみたいで、良い徴候だと思います。
さてTBSでも支持率は下げ止まっていましたし、こうなってくると野党も攻めにくいでしょう。問責決議案は衆議院の信任決議で帳消しになります。サミットが終わった後は自民党は次々と税制改革や地方分権で新しい政策を提案してくるはずで、こうなると民主党は注目してもらう最大のチャンスであるはずの代表戦が、自民党内の政策議論の影に霞んでしまいます。
あれだけマスコミが後期医療制度についてあることないことを書き立てたのに、あの沖縄でほぼイーブンの結果ですので、日本人もだいぶ本格的な政策を聞く準備ができていると言うことであると思います。
となると民主党も国民の目を惹き付けるためには党内で政策議論を深めて、国民が民主党に何を望んでいるのかを探し出さないといけないわけですが、これをやると党が割れるのではないかとやたらと心配をしているみたいです。でもこれも平議員をバカにした話だと思います。公平で透明な議論の結果に従わない人がいると思っているわけなんですね。
というよりはむしろ上層部に公平で透明な議論の結果自分が負けたら党を割って潰してやろうと思っている人がいると言うことなんでしょう。
あと年金でマスコミと民主党は基礎年金の税方式の方が助かる人が多い、後期高齢者医療制度では負担が増えたと騒いでいたにもかかわらず、基礎年金の税方式は企業の負担が減って庶民の負担は増え、年金を払わなかった人は結局税方式でも四十年後まで助からない、ということがばれてしまいましたし、後期高齢者医療制度でも実は負担が減った人が七割で、残りの増えた人は現役世代と同等がそれ以上の収入を持っている高齢者ということで、年金と医療について、庶民の味方のような顔をしておきながら、その実、企業と金持ちの高齢者の利益を代弁していたことがばれてしまいました。
これらのことは、最初からわかっていたことでした。野党は政府が自分の主張を検証したりするはずがないと高を括っていたのです。今回、年金と医療で、政策の検証をすることが、無責任な主張を叩きのめすことに如何に有効であるかが、支持率反転によって明らかになりました。これこそが、官僚を握っている政府の最大の武器であったのです。今後政府は野党の政策を次々とシミュレーションしてその穴を明らかにしていくでしょうから、もはや野党は財政的裏付けがない政策を唱えることは難しくなりました。
だいたい日経新聞は年収一千万円以上の人達の利害を代弁しているのですから、その日経新聞が年金で税方式プッシュ、後期高齢者医療制度では廃止派である時点で何かおかしいと気がつかなければなりません。一見庶民の味方のようで、実利は企業や小金持ちに掴ませるというなかなか巧妙な戦術で小沢代表は支持を広げてきました。ですがそれもようやく破綻しようとしています。
庶民を助けるつもりで当選したはずなのに、実は社会保障負担を削りたかった企業や、現役世代よりもお金持ちな高齢者の片棒を担がされていた参議院議員のみなさんは一体この先どうするのでしょう?
« 貴重な問題提起 | トップページ | 中型免許限定解除! »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 法人税を事業所別の支払いにしよう!(2019.07.03)
- 日経が初めて決算ベースで歳出を報道(2018.12.22)
- 世論調査の回答率(3社比較)(2017.08.06)
- 世論調査の回答率(日経新聞+テレビ東京)(2017.08.06)
- 世論調査の回答率(朝日新聞)(2017.08.06)
なんかわかりやすく解説してくれてるまとめがありましたよ。
やる夫で学ぶ後期高齢者医療制度
http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-1189.html
やる夫シリーズ、最近ちょくちょく見かけますが、どれも語り口が分かりやすくて好きです。
投稿: NMR | 2008年6月18日 (水) 10時59分