今後の中東(一)
陰暦 七月十八日
立川の古本市で、「日訳 サヒーフ・ムスリム (預言者正伝集)」を見つけました。日本サウディアラビア協会刊だそうです。ムスリムの草創期を記した正史らしいです。コーランはさっぱりわからなくて挫折しましたが、これは読み物としても十分に面白そうです。
さて、
西域ではグルジアが事実上ロシアの飛び地と化していた南オセチア自治共和国を奪還しようとしてロシア軍の返り討ちに遭い、ロシアに有利な条件で停戦が発効しました。状況証拠からは、ロシアが万全な準備をしいた上でグルジアを誘い込んだと考えられますが、先に攻めてしまったグルジアはいかにも筋が悪い。米国としてもグルジアの肩を持ちにくいでしょう。日本人としても身に染みる話です。
元々ロシアはPKOとして南オセチアに駐留していましたが、今後はもっと大きな戦力を駐留させることが可能になりました。ロシアの周辺国に対する戦略というのは、親露派と反露派に分断して内紛を起こさせて、親露派が政権を握ったら派兵して支配です。サーカシビリ政権の拙速な親米策が裏目に出たといえますので、親露派が勢いづくはずです。今後グルジアは内紛状態が続くでしょう。
EUはせっかくのパイプラインをロシアの脅威に曝すかっこうになったわけで、当分エネルギー高は収まらないでしょう。シュワルナゼ大統領が追放されたときに、さすがにロシアはグルジアを手放すことはない、必ず取り返しに来るはずだと思いましたがその通りになりました。
米国としてはカフカスに対する戦略を練り直す必要が出てきました。この地域を概観しますと、イラクはかろうじて安定化、トルコ東部は現在トルコ軍によるクルド人武装勢力の掃討作戦が進行中、イランーイラク国境のイラン側では小規模なテロ事件の発生が伝えられています。
クルド人、といってもあのあたりの山岳居住民を便宜的にそう呼んでいるだけであって、共通した文化基盤や、同族意識はないらしいです。イラン・イラク・トルコ・ロシアという強国がぶつかり合うこの地域は、実質的にはクルド人の自治地域で強国の支配はあまり及ばず緩衝地帯となっていました。
しかし今後はここが緩衝地帯としての役割を果たさなくなりそうです。原因はトルコが国力をつけていることです。これが鍵になって中東情勢が大きく動く可能性があります。
イラク戦争でイラク内のクルド人は裕福になり団結力は強まりつつあります。トルコとも折り合いをつけることができたようで、北イラクのトルコ人自治区は今後は準国家として存在感を強めることでしょう。
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