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2008年8月24日 (日)

インドへの道

陰暦 七月廿四日 【地蔵盆】【秩父四萬部寺大施食会】

 昨日の夜からまた熱が出て今日の午前中まで死ぬ思いをしました。このような風邪は二年ぶりです。二時頃には痰も切れ、熱も引いてきました。固い食べ物を口にできるようになりました、なんとか明日は会社へ行くことができそうです。

 「インドへの道」(E・M・フォースター著 瀬尾裕訳 筑摩書房刊)を読み終わる。久々に小説らしい小説でした。

 1920年代の英統治下のインドを題材にした小説です。小説の主題は主筋の裁判と言うよりはむしろ支配される側のインド人の卑屈さにあると言っていいでしょう。二十世紀の植民地ですので、もう鞭で叩いたり、リンチで使用人を惨殺するヨーロッパ人なんてものは登場しません。それどころか裁判ではインド人が勝ちます。

 それでも、インド人はいつも英国人の顔色を窺っていないといけない。支配の仕方が鞭でしばく直接的なやり方から、法の運用による間接的な差別に入れ替わっていて、むしろ陰険さを増しているといえるかもしれません。卑屈な生き方を強いられる彼等はいつしか心まで曲がっていき、真の友情が生まれるかに見えた主人公のアジズとフィールディングの間にもいつしかヒビが入ります。

 こうはなりたくないな、というのが正直な感想です。明治の日本人はえらかった。まああと日本人がどれだけ平等に扱ったつもりでも、台湾や韓国で同じことが発生していたのでしょうから、未だに彼等が我々を恨むのも仕方がないかなと言う気はします。

 それと意外だったのが、インドにいる英国人が日本の影響を気にしていたということです。反英的な人間には「日本のスパイ」というレッテルが貼られますし、アジズも「インドも日本のような統一国家が必要だ」と結論にたどり着きます。

 植民地のヨーロッパ人は1920年代の時点で日本に地位を奪われることにビクビクしていました。植民地の原住民は日本をモデルとしていました。それが在印英国人の小説に現れています。アジアの植民地に与えた日本の影響は我々が考えているよりも大きかったのかもしれません。

 「サヒーフ ムスリム」に入る。やっぱり読みやすい。でもこれを読む限りイスラム教は理性的で全然狂信主義の芽なんかさなそうに思うのですが、なんだって現在みたいなことになっちゃったのでしょうか。宗教の問題というよりも単なる為政者の失政なんじゃなかろうか。

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コメント

お体、お大事に。ごぶさたしてます。
欧米の植民地政策と日本の併合による「市民権の付与」が周辺に与えた当時の感覚をしる一端になるのかな?
イスラム等の一神教が「生活の行動規範」で、留まれば問題はあまり起きない気がします。政治行動原理として運用した場合、「排他性」や「神を信じて疑わない者がもっとも残忍になれる」が前面に出てしまうのかもしれません。

投稿: 保守系左派 | 2008年8月25日 (月) 01時30分

保守系左派様、お久しぶりです。

小説を読んだ感じでは、英国人は日本を植民地を奪いに来る強力なライバルとみなしていたようであり、インド人は欧州から独立するためのモデルとみなしていたようです。

韓国での統治政策のような細かい話は出てきません。

もし戦前の日本が本当の意味で帝国主義国家で植民地の拡大を目指していたのであれば、こういった原住民の期待を利用して、独立運動を煽って東南アジアやインド洋の不安定化を図るべきだったのでしょうね。

多分英国はこれを恐れていたのだと思います、あとそれをやってこない日本が不思議でならなかったのではないかと(笑)

投稿: べっちゃん | 2008年8月25日 (月) 07時38分

当時の欧米の感覚からすれば、植民地を得ない戦争などあり得ないことだったでしょうから、独立運動を煽らない日本を不思議に感じたでしょう。
逆に独立運動を煽られる前に独立運動の象徴としての日本を潰す動きのほうが早かったかもしれません。
結果として、WW2が欧州戦線だけだったら広範囲な独立を為し得たか悩ましいところです。

投稿: 保守系左派 | 2008年8月25日 (月) 12時29分

もしかしたら、支那なんぞには手を出さないで、米国と一緒に蘭印、仏印、インドの独立運動を煽って、現地の官憲に日本人の南方浪人?と米国人宣教師でも殺させて、日米で共同派兵、植民地山分け、の方が成功率が高かったのかもしれません(笑)

投稿: べっちゃん | 2008年8月25日 (月) 22時15分

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