今後の中東(二)
陰暦 七月十九日
トルコ東部はどうやらトルコ軍によるクルド人掃討作戦が成功しそうです。虐殺事件などが起きていなければいいのですが、起きていたとしても闇に葬られるでしょう。
残るはイランですが、イラン西部というのは様々な少数民族が居住する地域で従来からイランの中では不安定な地域とされてきました。米国がイランを不安定化させたい場合はこれらの少数民族に手を突っ込むはずですが、大統領選挙の最中ですし、まだよくわかりません。
グルジア・アルメニア・アゼルバイジャンについては、米国の関与が失敗したので、今後はトルコが欧米側の代理店となって影響力を伸ばすと思います。イラクについてはブッシュ政権の戦略は失敗してはいないと思うのですが、カフカスについては大失敗と言って良いと思います。トルコ東部が安定化すれば、トルコを通じてロシアの影響力を排除する作戦に移行すると思います。
トルコとアルメニアは不倶戴天の敵でしたが、ロシアの脅威を前にしてアルメニアもそうもいっていられなくなったらしく、国境の開放など雪解けが始まっています。
こうなってきますと、パイプラインの確保の意味合いからEUがトルコ加盟をすんなりと認めてしまいそうな気がするのですが、クルドを制圧し、南カフカスが勢力範囲に入り、イラン西部も不安定化して手に入りそうとなれば、誰もEUなんぞには入ろうとしないのではないでしょうか。
したがって今後はトルコが強くなりそうですので、シリア・イラク・イランが大同団結するはずです。そろそろイラクを通じてシリアとイランが米国に詫びを入れている頃だと思います。あるいは手打ちはもう終わっているかもしれません。そうすると、米国とトルコの関係が疎遠になるはずです。今後の米国がトルコをどう扱うかに要注目です。これによって、シリア・イラク・イランと米国の繋がりがどの程度まで深化しているかを推測できるでしょう。
とすると、トルコは孤立しますのでロシアかEUと同盟することになります。歴史的経緯からはEUと結ぶはずだと思うのですが、今のロシアは強いですし、EUはこの二十年というものトルコを散々とバカにしてきましたので、「ロシアと同盟するべし」という勢力も出てくるかもしれません。今後のトルコ政界の主要争点になるはずです。あと漁夫の利を得るのが得意なサウジ・アラビアもトルコを支援すると思います。
米国の支援を受けた中東の核であるシリア・イラク・イランがトルコ・サウジ・イスラエル?から攻撃を受けるわけでこうなってくると私の手に余りますのでこれ以上先のことはよくわかりません。
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