十八世紀流パワーポリティックス
陰暦 七月廿八日
現在の国際情勢は十七世紀から十八世紀にかけての欧州によく似ているのではないかというのが私の持論です。
・軍隊は傭兵で維持費がかかるのであまり戦闘はしたくない。
・植民地はまだあまりないので限られた資源で戦わなければならない
・貨幣の流通量がタイトな状態なので、軍備に力を振り向けると民生が打撃を受ける。
・行政が強い、議会はまだ不完全か存在しない。
・戦闘中でも平民は結構行ったり来たりしている。
欧米のバブル崩壊によって一時的にこれに近い情勢が揃ったと思います。金融が不具合を起こすと世界情勢の緊迫化につながるのです。
この頃の戦争のパターンというのはだいたいこんな感じ。
(1)王位継承、国境問題、経済問題などが国際的問題が発生する
(2)どこかが先手を打って敵国の領土を占領してしまう
・・・常備軍が少ないのでこれはすぐに成功します。
(3)反対陣営が非難声明を出し、国際的な連合軍を結成
(4)両陣営は、税収を担保に国際金融から金を借りて軍資金にする
(5)陣取り合戦
・・・両方とも軍勢が少ないので、”前線”は作れません
(6)決定的な陣形ができれば開戦、できなければそのまま冬籠もり
(7)どっちかが財政的に行き詰まるまでこれが続く
欧米もロシアも不良債権処理によってデフレが始まると、日本のように政府が借り手になるしかないと思うのですが、米国もEUもさんざん「財政赤字はいかん!」と不必要に財政赤字を悪者扱いしてしまいましたし、いまさらロシア国債なんかに誰も金を出してはくれません。
ですからロシアの場合は、擬似的な臨戦状態を作って資源を国に集めて、戦争のためといいながらその実、不良債権処理をすることになると思います。愛国心に訴えれば国債の発行もうまくいくかもしれません。
南オセチアの占領は昔懐かしい「保障占領」という奴でして、交渉の眼目はロシアと欧米双方が持つ不良債権処理だと思います。
追記 ロシアが十八世紀型の戦争観を採用しているのだとすると、決定的陣形ができた場合、相手がNATO軍であったとしても攻撃してくる可能性があります。
ロシア軍やドイツ軍というのは徹底的なマニュアル主義です。この場合のマニュアル主義というのは、日本人が言うところの保身のためのマニュアル主義ではありません。マニュアルに「自分のこめかみを撃ち抜く」と書いてあれば、躊躇なく引き金を引く類のマニュアル主義です。"受肉"というやつです。われわれ日本人にとって一番理解しがたい感覚です。
ロシア軍やドイツ軍は、その先に核戦争が待っていても、マニュアル上は攻めるべき絶好の機会になれば躊躇なく戦端を開くはずです。ですのでNATOは「まさか撃っては来ないだろう」などと甘い気持ちでグルジアに展開せず、ロシア軍に対して有利な陣形が組めるように死力を尽くすべきです。
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コメント
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確かに、ちょっと時代を遡った感ありますよね。21世紀とはいっても、結局は幾多の環境要因のバリエーションで雰囲気が決まるわけで、過去に似た時代があるのは自然なのかも。
グルジアの話ですが、こんなまとめエントリーがありました。
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2008/08/post_e8c4.html
僕は予備知識ないですけど、この「ヘマ」とか、「偶発戦争」の表現がなんか腑に落ちました。日本のメディアの記事はあんまり追ってないけど、どうだったのでしょう?
個人的には小中学校の恒例、夏の平和学習でこれがどういう風に取り扱われたのかちょっと気になりますw やっぱりスルーかな?
投稿: NMR | 2008年8月28日 (木) 12時32分
NMRさんこんにちは夏風邪がなかなか治らないので病院へ行ってきました。結核が心配だったからですが、幸い悪い病気には罹っていませんでした、そちらは大丈夫ですか?
CIS諸国には当たらず障らずで欧州とロシアの緩衝地帯にしておけば良かったと思うのに、独仏が先走ってロシアに危機感を抱かせてしまいました。
サーカシビリというのはちょっと戦略眼がなさすぎると思います。
投稿: べっちゃん | 2008年8月28日 (木) 16時08分