結局は返さないといけないのだよなあ・・・
陰暦 九月朔日
日本での経験が活かされて、破綻が連鎖する前に金融機関に融資が行われるようになったのはいいこととして、借りた金は結局は返されない限りはバランスシートに穴があいたまま、だから欧米はこれから「おかしいな?金融機関の破綻は防げたはずなのになかなか景気が回復しないぞ?」というもどかしい月日を過ごすことになるのではないかと思う。
ただし米国の場合、借金の振り出し元が個人で、個人は破産をしてしまえばもう返却の義務はないので、日本のように企業がバランスシートの穴を埋めるためにひたすら銀行に貢ぐという事態は発生しないのかもしれない。
けれどもそれが良いことかというとそうでもなく、このままだとどこからも取り立てができなくて不良債権が積み重なる一方の米国の銀行は未来永劫財務が悪化したままになってしまう。これはもしかしたら日本の失われた十年よりも悲惨かもしれない。
日本では政府が公的資金を金融機関に注入したが、これはいずれ企業がお金を返済してくれる当てがあったからできたこと。これに対して、欧米の場合は、政府が公的資金を注入しても、銀行は債務者からお金を返してもらえる当てがない。となると、不良債権が金融機関から政府に付け替えされたまま塩漬けということになる。
結局・・・日本と同じくらいの規模にまで政府債務が膨れる結果になるのではないだろうか。そうとしかなりようがない。
これは、米英の自由経済の考え方には反するのだけれど、これをやらないと、預金と不良債権を相殺しなければならなくなってこれは社会を根底から覆すので、いろいろと理屈をつけてやらざるを得なくなる。
10年ぐらいたったら、米国も英国もEUも仲良く政府債務がGDP比120%くらいになっているのではかなろうか。
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米国の債務処理のスピードは、凄まじいと思う。日本が10年掛りを1年で決断し3年程度で終了するのじゃないかと。
麻生さんが3年と期限を出したのは、日本の優位性を確保できる期間と国内経済とを同時に見ているんじゃないだろうか。
欧州は、これがソーシャルというもので乗り越えようとしているし。日本のソーシャルと表面上唱えているリベに思いも依らないほど規制強化すると思う。
日本と違って彼らはルールを作る側。
投稿: 保守系左派 | 2008年9月29日 (月) 23時25分
保守系左派さん、おはようございます。
いや、欧米は不良債権の処理はしていないんです。
この十年間の好景気が二年前まで死角なしに見えたように、この不良債権処理もただの応急処置であって、実際の所は何も解決していません。
お得意の"標準化""新しいルール"とやらで糊塗として時間稼ぎはできるのかもしれませんが、しばらくすればまた表面化するでしょう。
投稿: べっちゃん | 2008年9月30日 (火) 07時27分
おそらく「財政赤字は絶対ダメ!、赤字国債の発行なんてもってのほか」というここ二十年くらいのルールは変更される可能性が高いと思います。
さらに田中角栄や竹下派もビックリするほどの大公共事業を連発するようになるかもしれません。
東海岸新幹線、カリフォルニア新幹線、全長100kmアルプスぶち抜きトンネルとか、あるいは軍拡もあるかもしれません。
彼等のルール作りの能力はこの方面で発揮されるのではないかというのが私の予想です。
投稿: べっちゃん | 2008年9月30日 (火) 07時47分
欧米は現在銀行同士の資金の融通ができない状態になっています。現在各国の中央銀行が大量に発行している資金は、銀行の当座の運転資金として使われているだけで、不良債権はまだ金融機関の中に滞留していて処理はされていません。
リーマンブラザーズその他が破綻しましたが、これによって不良債権が消えたわけではなく、リーマンに対する債権が取り立て不能になることによって、不良債権が伝染しただけです。
今回米下院で否決された法案が、再審議で成立して初めて不良債権の処理が始まります。
これは結局、政府の資金で不良債権を買い取ると言うことになります。しかし、日本の場合と違い、今回の欧米の住宅バブルの場合は、返済者がいませんので、政府に積み上がった不良債権はそのまま、政府のバランスシートの穴を広げるだけです。
結果として、いわゆる失われた十年で日本の政府債務がGDP比数十%膨れあがったのと同様に、欧米の政府債務もそのくらい拡大することになるはずです。
投稿: べっちゃん | 2008年9月30日 (火) 18時56分
日本の現状を見るとつくづく平和で豊かなんだよね。独逸を見るとネオナチの勢力が思った以上に増えているんだね。これも濱口先生が言う移民政策の反動なのかもしれない。
そうそうHALTANに取り上げられていたようなので(ry
投稿: 保守系左派 | 2008年10月 1日 (水) 20時26分
ははあ、大陸欧州は何だか不穏な空気がたれ込めているようですね。大丈夫なんでしょうか?
私も実は、借金の振り出し元の米国よりも、なけなしの年金や、貯蓄を住宅バブルにつぎ込んでいた欧州の方が心配だったりします。
アメリカ人は働いて返せばいいだけですが、日本同様にパイが縮小することが目に見えている欧州で、家計のバランスシートに穴があくことはかなり深刻な結果をもたらすのではないかと。
皇帝制もまんざら法螺で終わらないかもしれません(笑)
投稿: べっちゃん | 2008年10月 1日 (水) 21時29分