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2008年9月12日 (金)

借り手がいない

陰暦 八月十三日 【筥崎八幡宮放生会】

 財務省が便利なコーナーを作ってくれています。国際比較に関する資料

 財政事情の国際比較(対GDP比)によりますと、単年度の赤字は日本は英国並みで、米国よりもマシになっています。GDP比3%は健全な水準です。これは小泉政権の時に削られるだけ経費を削った結果でしょう。小泉政権は年金だけは削らなかったので、都会に住んでいるお年寄りは気がついていないかもしれませんが、地方への補助金や公共事業はかなり減らされて地方経済は疲弊しています。

 また、健康保険の負担も上がりましたし、障害者への補助も削られました。あまり言いたくはありませんが、三千万人いるお年寄りの年金を守って、残り一億の生活を犠牲にする状態に突き進んでいます。

 政府債務残高の国際比較を見てください。日本はGDP比180%でダントツトップです。けれども平成17年(2005年)以降はほぼ横ばいになっています。景気回復と小泉政権による経費節減の成果です。他の諸国は70%あたりにいます。

 こうやってみると、日本の政府は借金ばかりするだらしない政府に見えてしまいますが、このようなデータもあります。米国の家計債務の対GDP比。米国の家計への貸出残高は対GDP比100%です。可処分所得比は140%です。

 住宅価格高騰と家計債務に支えられた英国経済リスク。英国の家計への銀行貸出は平成16年(2004年)時点で1兆ポンドです。これはGDP比56%です。The Economist、9月6日号によると、08年現在米国同様GDP比100%まで増加しているそうです。可処分所得比も150%近くまでいっています。

 日本の政府純債務はGDP100%です。ということは概算で可処分所得比130%になります。

 そして、日本の家計債務のGDP比60%です。

 つまり単純な話で、日米英は1990年代以降たまりすぎた銀行預金の貸出先に苦しみました。このままだと銀行が預金者に払う利子で倒産します。そこで、日本は政府がお金を借りて公共事業をし、米英は国民にお金を借りさせて家を建てさせて、有り余った預金(結局はわれわれ自身が貯めたお金ですが)の使い道としたのです。

 そして、日米英ともに可処分所得(日本は政府の、米英は家計の)の1.5倍にまで債務が膨らんだところで「さすがにこれはやばい」となって、一足先に日本では十年前に政府債務の削減が始まり、米英では去年に住宅バブルが崩壊して、家計への貸し出しがストップしました。そして大不況がスタートしたというわけです。

 日米英三カ国とも、普通に生活していては国内で使い切れないほどの金融資産を抱えています。今現在市中に出回っているお金が実需よりも大きいので、誰かが借りて使ってくれないと、市中に出回っているお金は自動的に収縮してデフレに陥ります。

 しつこくなりますが、日本では政府が持っている資産よりも多くお金を借りて使ってデフレを食い止め、米英では国民が(言い方は悪いですが)騙されて実力以上にお金を借りることでデフレを食い止めてきました。

 前も書きましたが、日本の政府は小泉政権が出費を削ってくれたおかげで、5兆円くらいなら余計に借りても破産しないだけの力があります。ただし怖いのは、考えが浅い現在の市場が「すわっ、日本の政府債務が発散して、日本が破産する!」と大騒ぎして世界的な大暴落が生じることです。

 あいつら、コンピュータだ金融工学だなんだと偉そうなこと言っても、GDP比180%とかの数字を見ただけでびびって騒ぐような浅はかな連中です。

 畢竟、日米英とも企業が自己資本を増強しすぎたせいでこのようなことになったのです。株主"超"重視策の悪い面が出ました。本来なら一番の借り手であるべき企業が、株主を重視しろというここ二十年くらいの風潮のせいで、銀行から金を借りることができなくなって、仕方がなしに政府や家計が借りているせいでこのようなことになったのです。

 バブル期の日本のように、持っている資産の3倍も4倍も借金をするのもまずいですが、もうちょっと企業が銀行から金を借りても株主が怒らない、もしくは銀行もすぐには金を引き上げたりしないような世の中を再建する必要があるのではないでしょうか。三十年前まではそうだったんですけれどね。

 ということは、今の世の中は結局資本があまりにも優遇されすぎている時代なのだといえるのかもしれません(あえて資本家とはいわない、猛威を振るっているのは普通の人がコツコツ貯めた預金の総体であるから)。企業は資本(株主)が怖いために、借金を減らして配当に回し、貯まりに貯まった資本を運用するために政府と家計は借金を強いられる。

 総裁選の候補者五人の中では麻生さんが経済政策は最善の策に近いと思うのですが、問題は欧米の景気後退でただでさえ浮き足立っている資本家をいかにしてなだめすかすかでしょう。

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