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2008年10月23日 (木)

平安鎌倉私家集(二)・・・好忠集・下

陰暦 九月廿五日 【霜降】

 好忠集は各月それぞれ三十首づつ、合計三百六十首の毎月集、四季・恋・雑歌等を集めた百歌集、交流があった源順(みなもとのしたごう)から送られた百歌集で構成されています。源順は平安中期の歌人で三十六歌仙の一人。勅撰集に五十首入集しています。

 解説では、曾禰好忠は当時としては歌材の取り上げ方が斬新で、語句を自由に駆使し、万葉調の復活を目指したとあります。死後評価を受けるようになり、下級官人でありながら勅撰集に九十四首も入集しています。

 また、百歌集という形式の創始者とも言われています。

七月 をきて見むと思ひしほどに枯れにけり露よりけなる朝顔の花

  • 起きて見よう(措きて:そのままにして見ように掛けている)と思っているうちにしなびてしまった、露よりも儚い朝顔の花である

八月 衣うつ砧(きぬた)の音を聞くなべに霧立つ空に雁ぞ鳴くなる

  • 衣をうつ砧の音が秋の夜空に響き、霧が立ってきた空を渡る雁が鳴いている

九月 雉子(きじず)鳴く交野の原を過ぎゆけば木の葉も異に色づきにけり

  • 雉が鳴く交野の原を通り過ぎたが、木の葉も一際きれいに色づいていた

十月 時雨れつつ人目まれなる我が宿を木の葉の音もだれぞと思ふ

  • 時雨が寂しく降り、人が訪れることも稀な私の家では、木の葉の落ちる音ですら、誰かが尋ねてきたのではとハッとさせられる

十一月 岩間には氷のくさびうちてけりたまゐし水もいまは漏り来ず

  • 岩と岩の間に氷が張り、楔を打ち込んだように固くなってしまった。玉のような湧き水も今や漏ることもない

十二月 都にも道ふみまどふ雪なれば問ふ人あらじ山べの里

  • 都でも道を間違えてしまうほどの深い雪なので、こんな山里には誰も尋ねて来たりはしないだろう

恋 由良の戸を渡る舟人かぢを絶え行方も知らぬ恋の道かな

  • 由良の瀬戸(和歌山県)を渡る漁夫が梶をなくして波間に漂うように途方に暮れ、恋に迷っていることだよ

八重葎(やへむぐら)しげれる宿に吹く風を昔の人の来るかとぞ思う

  • 雑草が生い茂っている宿に吹く風の音に、旧友(もしくは昔の恋人)が尋ねてきたのかと思ってしまった。

草繁み伏見の里はあれぬらしここに我が世の久に経ぬれば

  • 丹後での任官生活が長くなったので、伏見の家は荒れてしまっていることだろう

圓融院の御子の日に、召しなくて参りて、さいなまれて又の日、奉りける(圓融院の子の日の行事に呼ばれてもいないのに参内して、散々に追い立てられて、日をあらためて献上した歌)

與謝の海の内外(うちと)の濱のうらさびて世をうきわたる天の橋立

  • 與謝の海(京都府北部)の内海と外海の濱が寂れているように、我が身も不遇で世を憂いています(さらに憂きと浮きを掛けて、丹後の歌枕である天の橋立を浮き橋に見立てて歌い込んでいる)

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