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2008年10月 6日 (月)

七夕伝説

陰暦 九月八日

 季節外れですが七夕伝説が持っている意味がわかったのでその解説をしようと思います。

 ご存知の通り、七夕伝説とは支那の古い神話で、機織りが上手な天帝の娘である織姫(織女星・こと座のベガ)が牛飼いの彦星(牽牛星・わし座アルタイル) に恋をして逢瀬を重ねるのですが、やがてそれが天帝の知るところとなり、怒った天帝が天の川をつくって二人の仲を引き裂いてしまうというお話です。

 織姫はその名の通り機織りが上手な娘です。七夕は本来は若い娘が機織りやお裁縫の上達を願うお祭りでした。

 このような説明に今まで私は特に疑問を感じていませんでした。しかし「好忠集」(曾禰好忠、十世紀の歌人の私家集)の第百十九番にこのような歌がありました。

 空を飛ぶおとめの衣一日より天の川波たちて着るらし
 (現代語訳 七夕の織姫は、七月一日から、天の川の波を裁断して、それを衣服に仕立てて着ているらしい)

 これは大変衝撃的な内容でした。すなわち天の川が天の羽衣に見立てられています。いわれてみれば、天の川は衣の向こう側が透けて見える 上等な紗(絹の生地)のように見えないこともありません。そして天の川が天女の羽衣だとすると、七夕伝説のことが非常に論理的に説明ができます。

 織女星と彦星は天の川を挟んで両側にあります。天の川を衣の縦糸であるとすると、織女星と彦星は衣の横糸になります。

 衣というのは縦糸の間を横糸を通して織ります。横糸を巻いた道具を「よこぐし」もしくは「梭(ひ)」といいます。横糸をたっぷり巻いた梭は菱形をしています。そうまさしくこと座の形状であるのです。

 つまり東洋の古代人はこと座を見て「機織りの梭だ」と感じ、さらに丁度天の川を挟んで反対側にも明るい星があったので織女星と牽牛星を 機織りの横糸に見立てたのでしょう。天の川は織女星と牽牛星を挟んで天頂側は薄く、地平線側は白く濃くなっています。これをみて古代人は布が織られる様を 想像したに違いありません。

 そして機織りがなぜ若い男女の恋の物語になるのかも推測がつきます。

 梭は左右を行ったり来たりします。これは自分の家と恋人の家をいそいそと往復する若い女性を彷彿とさせます。しかも機織りというのは物語の世界ではだいたい若い女性の仕事と相場が決まっています。このようにして機織りという作業は若者同士の不安定な恋と結びつきます。

 技術が未熟だと横糸が途中で切れたりしますので、それを悲恋に見立てたりしたのかもしれません。

 また、「糸と糸を組み合わせて布を織り上げる」という技術自体にも何となく人と人が結びつく恋愛を連想させるものがないでしょうか?しかも縦糸は上糸と下糸に分かれています。この二組の縦糸は若い二人の逢瀬を邪魔する両家の親兄弟のように思えなくもありません(笑)

 古代人のみずみずしい感性が感じられてきませんか?

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