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2008年12月31日 (水)

ローマ亡き後の地中海世界

陰暦 十二月五日

 塩野七生先生の新刊が出ました。名著「ローマ人の物語」の続編で、「ローマ亡き後の地中海世界」上編です。

 ローマ帝国が滅びで西地中海は軍事的に空白状態に陥ります。そこにイスラム教が広まります。取り締まる人がいなくなったのと、異教徒に対しては何をやっても許されるという一神教が広まったため、西地中海は海賊が跋扈する世界となり、イタリア、南仏、スペインの住民は海賊の襲撃に怯えて暮らさなければならなくなりました。

 十字軍の時にキリスト教徒が繰り広げた残虐行為もたいがいでしたが、北アフリカのイスラム海賊がイタリアに及ぼした被害もかなりひどくて読んでいて気が重くなってしまいました。十字軍としてもその報復の意味合いがあったのかも知れず、両者の憎悪は根が深いと思った次第です。

 ただ海賊の復讐なら北アフリカにするのが筋で、レパントに攻め込むのはおかしいのですが(笑)

 物語や漫画に出てくるような極悪非道の海賊が本当にこの世にいたとは驚きました。物を奪われるのならまだしも、人間が奴隷として働かせるために連れ去られるのはやり切れません。海洋に面した国は、対岸が安定していなければ絶対に発展ができないということがこの本を読めばよくわかります。

 また、ローマ法王がフランク国王のシャルルを神聖ローマ帝国皇帝に任命した目的として海賊からイタリアを防衛してもらえないかという期待があったからではないかというのは塩野先生ならではの視点だと思いました。

 上編はローマの海上覇権が崩れて、西地中海がイスラム海賊の跳梁する世界となるまでと、奴隷救出のために活動した団体の歴史。ということは下編はキリスト教側が海上覇権を取り戻すまでになるのだろうと思います。スペインとポルトガルが外海に繰り出したいきさつについて従来とはまた違った視点から光を当ててくれるのではないかと期待しています。

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