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2009年1月 6日 (火)

争点は福祉国家(二)

陰暦 十二月十一日

 麻生政権は「雇用ニューディール政策(仮称)」という形で福祉国家への転換の第一歩を踏み出しました。サラリーマンや非正規労働者といったこの国の過半数を占める人々はこ れによって雇用と安心を手に入れることができます。

 もちろんこれはこれまでこの国の意思決定を握ってきた大小の資産家にとっては不都合な政策です。中長期的には、社会の安定と、内需を中心とした経済への転換によって、彼等資産家も多大なる利益を得るはずなのですが、短期的には企業の社会保障負担の増大があり、消費税引き上げが商品価格に反映されるまでは企業の負担が増えますし、労働者の権利が強くなる方向に進むのは間違いありませんので人件費も増大します。

 また、今回の派遣切りで、低所得者を苦しめている最大の問題点が他の先進国と比べて未だに高い水準にある住宅費にあることが白日の下にさらされました。これから政府や自治体による住宅の供給が本格化します。競争力の低い小地主は淘汰されるでしょう。

 従って、資産家の抵抗はかなり激しいものとなることが予想されます。彼等はどんなに絞っても1兆円かそこらしかでない行政の無駄の排除によって、さも数十兆円の金が搾り取れるかのような甘言を庶民の耳に吹き込み、政権を握ろうとするでしょう。

 民主党の補助金政策は、予算配分の見直しでしかないので、国民全体の取り分は増えません。建設業等の更なる犠牲の上に、子育て家庭が多少潤うに過ぎません。建設業者が数十万人規模で失業に喘ぎ、子育て家庭が月に一万円かそこらを得たところで、日本人全体としては豊かにはなれません。

 本来福祉国家政策に諸手をあげて賛成するべき労働組合や医療介護業界は、民主党に取り込まれてしまっています。その民主党の意思決定を握っているのは資産家ばかりです。二、三、顔を思い浮かべるだけで分かるでしょう。

 また構造改革派の残党が唱える官僚叩きも、国民の溜飲を下げるだけで結局何も生み出しません。

 ただし金融緩和による上げ潮政策については、福祉国家とは必ずしも矛盾しません。これについては後日説明を書こうと思っています。

 このように本国会は、麻生政権が福祉国家への変革を動かぬ物とする政策を次々と俎上に載せていき、それに対して資産家の支援を受けた民主党や自民党内部の構造改革派の残党が妨害を仕掛けるという進行を辿ります。

 与野党の議員は、政治家としての良心が問われることになるでしょう。行政の無駄叩きという蜃気楼を掲げて一時の職を確保するか、福祉国家という国家百年の計に殉じるか。結局はわれわれ国民に、本当の味方を見分ける智慧が備わっているかどうかにかかっています。小さな餌に満足して、死ぬまで不安にさいなまれるか、今一度お互いを信用してみんなで助け合う世の中を築くことができるかです。

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コメント

年明けの経済の動きが麻生さんにとっては少しだけ朗報。

一応、幸先の良いスタートではあります。
「円」も強いけど「ドル」の勢いも強いです今月は、1ドル95円までは下がるのでは。

解散の時期に1ドル105円まで下がっていれば、麻生総理の評価は今と変わっているでしょう。失言も帳消し。
クリントン元大統領は、醜い女性問題を晒しても、経済政策が成功した為に支持率があった。

さて、日米でのほぼ0金利までの引き下げ以降、
「ユーロ」が落ちてきています。たぶん、「ユーロ」「ポンド」の価値は下がり続けるでしょう。

菊池さん、あけましておめでとうございます。

市場は幸先の良いスタートを切ったようですね。日経平均15,000円、1ドル110円まで届けば与党で絶対安定多数も夢ではないでしょう。

それは難しいまでも、麻生政権の経済政策がはまれば菊池さんが言うように12,000円、1ドル105円くらいまでならこの夏までに戻るかもしれません。そうすれば与党で過半数はいくと思います。

解散のタイミングを決めるのは、国会の成り行きではなくて、経済状況ではないでしょうか。

実は今回の金融危機で最もダメージを受けたのは英国とEUなんです。国の規模に対するダメージは米国よりも大きいです。しかも金利は十分に下げていない上に、財政出動もチョボチョボです。

欧州の経済が崩壊を免れているのは、「何となく欧州の方が日米よりも頭が良さそうだから大丈夫だろう」という期待だけであり、実態は日米よりも悪いです。このままでは欧州は危ないと思います。

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