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2009年1月15日 (木)

御陰参りとデフレ(三)

陰暦 十二月廿日 【小豆粥】

 (一)と(二)を増補しましたので、興味がある方はご覧下さい。

 それにしても庶民の生活を楽にするためには貨幣流通量を増やせばよいと言うことを知っていたとは、江戸城に詰める老中たちは現代の日本の指導者よりも経済のことが分かっていたと言えるでしょう。

 平成の日本と江戸時代の日本を対象して考えてみましょう。時系列を追うと

  1. バブルの崩壊によって企業が新規投資を止めて債務の返済に走ったためにデフレとなり(橋本政権)、
  2. 政府が大規模な公共事業を行ったため景気が回復(小渕政権)、
  3. 政府が財政再建をしようとして再びデフレに落ち込み(小泉政権初期)、
  4. 財政再建を棚上げしたことと輸出拡大で景気が回復(小泉政権後期・安倍政権)、
  5. どうやら内需拡大をしないとどうにもならないらしいことに気がつき(福田政権)、
  6. 金融恐慌に対して内需拡大で対応しようとする(麻生政権)とそれに対して構造改革による対処を唱える民主党が攻勢をかける

という展開を辿っています。

 上杉鷹山の米沢藩や村田清風の長州藩の藩政改革はいわば構造改革そのものなのですが、何故これが成功したかというと、江戸・京・大坂の消費を当てにできたからです。藩内ではデフレ政策を進めて賃金を抑え、専売を商人に任せることで生産力を増強し(即ち民営化)、輸出で儲けたわけです。

 江戸時代というのは、地方が生産を担当し、大都市が消費を担当していました。地方はたえずデフレによって価格競争力を高めて大都市に輸出をすることで富を得ようとしていました。インフレになると輸出がうまくいかなくなるので、藩は領内の経済を統制して、貨幣をできるだけ藩の中で留めて領内には流通させないようにしました。なかなか思惑通りにはいきませんでしたが・・・

 ただし価格競争力だけでうまくいったのは東北の日本海側や北陸といった米所だけで、米沢・長州・薩摩のような山がちな地域は、紅花・櫨・砂糖といった付加価値の高い物を生産して収入を増やそうとしました。

 京・大坂・江戸という消費地を支配し、金貨・銀貨の発行権を握っていたのが徳川幕府です。供給過剰の地方は消費地である大都市には逆らうことはできません。徳川幕府の支配が安定していたのは、日本史上これまでになかったほどの大都市を手中に納めていたからではないでしょうか。

 参勤交代までやってひたすら消費者を江戸に集めた徳川幕府の政策は、経済を安定させる上でも、封建領主の上に君臨する上でも的確であったといえます。

 となると開国によって幕府が潰れてしまった理由として、

  1. 海外からインフレが輸入されて貨幣の発行の効果が薄れた
  2. 地方が江戸以外に海外という輸出先を見つけてしまった
  3. 文化文政から天保にかけて地方都市が発達して京・大坂・江戸の相対的地位が下がってしまった

 などが理由としてあげられるでしょう。

 さて最大の消費者である大都市を握る幕府がデフレ政策を進めて消費を減らそうとすると、地方は輸出ができなくなって経済が混乱します。

 いわば藩が日本・支那・東南アジアのような供給過剰な工業国で、幕府が米国であったといえます。現在の世界経済の構造が国内で完結していたと言えます。

 このように今の日本は、江戸が太平洋の向こうに行ってしまった状態なので、アメリカ幕府がデフレになってしまうと、すぐに困ってしまいます。それを解決するためには国内にもう一度江戸を作るしかありません。

 そのためには高齢者と子供と失業者に"消費者様"になってもらって、公費でどんどん飲み食いして頂くのが最善と言うことになります。

 定年を伸ばして高齢者を働かせるなどもってのほかです。年金の支給を増やし、さっさと退職してもらって、純粋消費者になってもらわなければいけません。そう言った意味では、年金の受給開始年齢引き上げが庶民からたいそう不人気であることには意味があるのかもしれません。

 また子供を三人も作れば、働かなくても食っていけるくらい育児補助を充実させるべきでしょう。

 失業者を寒空の下に追いやるなどもってのほかであり、充実した生活保護を支給し、立派な公営住宅に住んで頂かなければなりません。

 金山銀山のかわりを果たすのは日銀の国債買い入れでしょう。政府が増長しない程度に国債を買いまくって債務を減らし、政府の財政拡大を支援するべきです。

 ちなみに需要の不足を戦争に求めてしまったのが昭和前期の日本でした。げに需要の不足というのは度し難い魔物であります。

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