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2009年1月25日 (日)

国会議員の定数削減などとんでもない

陰暦 十二月三十日【大晦日】【法然上人忌】

 自民党の一部から国会の改革案が出ている。

 衆議院と参議院の統合は議論の価値があるが、定数削減や経費削減には意味があるとは思えない。むしろ有害ではないかとすら思える。

 国会議員の数はむしろ足りない。

 まず日本の衆議院議員一人あたりの選挙民の数は先進国では少ない方だったはず。きめ細かい政治をするためには、受け持つ選挙区は小さければ小さいほどよい。国会議員と選挙民の交流も深まるので、国会議員は選挙民の生活実態に詳しくなってより現実的な政治ができるだろうし、選挙民も自分の一票の重みが強まるので投票のしがいが出てくる。

 次に国会で審議しなければならない事柄が多すぎる。委員会もいっぱいある。人数が少なければ十分な審議ができない。

 それに選挙区が広がれば、それだけ選挙が大規模になって候補者一人一人が集めなければならない金が高額になる。強力な地盤を持っている世襲議員か、最初から知名度のあるタレント議員しか当選できなくなる。ただし候補者全員としては減少する可能性はある。むしろ選挙区が小さい方が、無名だけれど能力はある人が当選できるようになる可能性が高まる。

 国会議員の人数が減ると言うことは、審議がより大雑把になるということに他ならない。けれども、国を動かすためには法律の細かいところとか決めなければならないし、決算の細かい数字も誰かがチェックしなければならない。

 となると、国会議員が少なくなった場合、法律に対してむしろ官僚が決める部分が大きくなるはずである。これは官僚の国政への口出しをなるべく排除していこうという改革派の方向性に反する。できあがった法律の運用は官僚に任せるべきだと私は思っているが、法律を作るまではもっと国会議員の関与を増やすべきだと思う。国会議員が減ると官僚の仕事は増える。官僚がコントロールする部分が広がる。これはおかしい。

 もう一つの可能性として、政党のスタッフの立法への関与が深まることが考えられる。国会議員の数が減ると、国会議員は法律の細かい内容は審議できなくなり、大幅な方向性だけしか議論できなくなる。とすると、各党のスタッフと官僚が調整して作られた法律案の採決だけを国会議員がやるということになるかもしれない。これは民主制の形骸化であり危険である。

 与党世襲議員の質の低下と野党議員の質の低下は確かにひどい。自民党には最早国会議員には法律の審議をする能力がないという危機感があるのかもしれない。それならば、無能な世襲議員や、人の悪口しか言う能力のない記者や活動家上がりの議員が退場して、優秀な人に議席を譲ればいいだけの話である。国会議員削減案には難しい審議は下々のスタッフや官僚にやらせて、議員の身分だけは確保したいというさもしい根性が透けて見える。

 それよりも問題は国会の審議日数が少ないことにあるのではないだろうか。国会を土日以外は年中無休にしてしまえばいい。日本の国会は休みすぎである。今の人数でも一年中開いていれば十分に審議ができるだろうし、野党の日程を盾にとった審議妨害も無力化できる。

 それか衆議院と参議院を単純に合体させて、800人くらいの国会を作った方が審議の深化とスピードアップが図れるだろう。

 人数を減らして効率的な審議などというのは所詮まやかしであり、どれだけ仕事ができるかは、どれだけ組織に金と人数が集まっているかで決まる。国民の声を政治に反映させるべきだというのなら、国民の代表たる国会議員の数を増やし、スタッフの数も増やし、審議日を増やし、給料を増やすべきだ。就職先として魅力的になれば、優秀な候補者もスタッフも自然と集まる。

 国会議員の削減と歳費の削減などしたら、お金持ちしか立候補できなくなるし、審議は薄まるし、国民の代表でもなんでもない政党スタッフや官僚の法律への関与が深まるので百害あって一利なし。

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コメント

>まず日本の衆議院議員一人あたりの選挙民の数は先進国では少ない方だったはず。

国会議員の定数削減については、「道州制」への移行という側面があるでしょう。
自分は、道州制への移行については、積極的ではないのですが、公務員の大移動(国→都道府県・政令指定都市→市町村(基礎自治体))と同様に、国会議員→道州議員→市町村議員(基礎自治体)へという流れが確実に進行しているのだろうと思います。

>もう一つの可能性として、政党のスタッフの立法への関与が深まることが考えられる。国会議員の数が減ると、国会議員は法律の細かい内容は審議できなくなり、大幅な方向性だけしか議論できなくなる。とすると、各党のスタッフと官僚が調整して作られた法律案の採決だけを国会議員がやるということになるかもしれない。

公務員制度改革の本質は、立法・利益調整機能のコンサルタント業界への移譲なのでは無いでしょうか?
 
参議院のねじれを解消するため、来年度の参議院選挙を改正した定数で全て清算するということも、脅しとしては有効なのかと思います。

なるほど、コンサルタント業への移行ですか。そういう側面があるとは知りませんでした。

でもコンサルタント業が大きくなったとしても国民が幸せになるとは限らないわけで、最近こういったテクニカルなところで制度をいじって事足れりとしようとする"改革"が多いですよね。

民主党に多い官僚くずれや、自民党の中の政策新人類といった手合いに強い傾向です。現場を知っていてなおかつ、論理的思考ができる人材が国会には不足しています。

道州制については、特に賛成でも反対でもないのですが、公務員と政治家を減らすつもりであるのならば、都道府県は廃止しないと意味がないと思います。

なるほどね。
いわれてみれば、国会議員の数を減らすのはトンデモない事です。説得力あり。

尤もらしくメディアを通して議員数削減を主張されると、どうも僕は洗脳されてしまいます(反省)

議員数削減不況、
首切りの時代、尤もらしい事をいいだして、国民に、受けよう、受けよう、という気持ちが働いていたのだろうか?

なんか、消費税問題も似ていたりして。
本当に日本の将来の財政の事を慎重に考えているのは、支持率の落ち込んでいる、消費税UPに拘る麻生首相、若しくは、与謝野さんだったりしてね。

断固反対の中川さん、実は信用出きない人かもね。あと公明党も。
この方達は、将来の日本の財政よりも、自分達の目先の選挙の事しか頭にないのかも。国民受けするような好いカッコウはするけど。
いいすぎかな……?

不人気極まりなかった初めて消費税を導入した故竹下元首相は、本当はいい人だったような気がする。

中川秀直氏が唱えているは経済政策は悪くないのですが、そのためには仲間や国民をペテンにひっかけてでも権力を握ってやろうというところがあり、これが彼の人望を低め、引いては経済政策の信憑性をも下げることになっています。中川氏の陰謀好きな性格を、彼のために私は惜しんでいます。

今では80年代以降の日本の悪の権化とされてしまった観のある竹下派ですが、もともとあの派閥の本来のボスは金丸氏だったんですよね。金丸氏の配下は小沢氏と一緒に自民党を離党しました。おかげで非難をされずに済んでいます。うまく逃げた物ですが、さてこの先も逃げ切れるのかどうか。

オバマ政権がやろうとしている経済対策は、竹下派が大好きな公共事業による景気下支えそのものです。財政政策が世界中で復権していますので、菊池さんがおっしゃるように、竹下総理、そして私は小渕総理を加えたいのですが、この二人はいずれ再評価されるかもしれません。

増税による増収を政府が債務返済には使わずに、福祉や公共事業で支出すれば、お金は最終的に国民の懐に返ってきます。

医療・介護・教育は日本人であればお金持ちだろうが貧乏人だろうが、同じだけしか支出はできません。だから増税、福祉拡充となると、貧乏人の方が得をして、お金持ちが損するんですね。逆累進性なんてのは嘘です。

消費税は、取引をすれば必ず取られますから、自営業の人なんかも脱税ができなくなるんです。消費税は経費で落とせませんから。

だから消費税引き上げには自営業や中小企業の経営者が反対するのです。ああ言った人達は、会社にお金がなくても、個人としては結構お金を持っていますから。

結局国の歳入を増やさないことには、国から国民が受け取れる額は増えません。

歳入を増やすには
(1)増税をする
(2)いわゆる埋蔵金を取り崩す
(3)赤字国債を発行し、日銀に買ってもらう
の3つが考えられます。

(2)は、国政に悪影響を与えずに使える額が20兆円程度しかなさそうなので余り当てにできません。今回の不況対策で使い切るでしょう。

(3)は中川氏が提唱している方法で、おそらく民主党が政権を取ったら使うのではないかと私は睨んでいるのですが、これだけに頼ると、政治家と官僚が打ち出の小槌を持ったような気分になって、無駄遣いが止められなくなる上に、いつかはハイパーインフレが来ますので、私としてはお薦めではありません。

でも「私は毅然として締めるべきときには財布の紐を締める」という御立派な政治家なら、この政策でも成功するかもしれません、まあそんな政治家がこの世にいればの話ですけれども。

結局(1)の増税と、弱い(3)の組み合わせが一番健全だし、失敗も少なくて良いと思います。

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