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2009年2月 4日 (水)

単なる在庫調整である

陰暦 一月十日 【立春】

 ここ数ヶ月の工業生産の落ち込みがあまりに激しいので自動車産業が変わるとか、輸出主導の経済は終わりだとか、今にも世の中が激変するかのような意見がまかり通っているが、記者も評論家も頭を冷やして落ち着いて考える必要があると思う。

 まず今回の不況の性格について、震源地の欧米と、とばっちりを食った東アジアでは性格が異なることをはっきりさせておかなければならない。

 今回の不景気は欧米でバブルが弾けたことによって生じた。高齢化を迎えた先進国では家計が溜めた巨大な年金や貯金の運用先に困っていた。そこで米国や英国では、本来なら支払い能力がない低所得者にもお金を貸し出すことで、住宅や自動車のような耐久消費財の販売を伸ばしていた。

 欧州では米国への輸出と東欧の開発によって企業業績が急激に良くなり、金融機関から企業への融資が急増した。欧州の企業は資産価値の増加を増収として計上し、融資されたお金を株式の配当や重役報酬として配っていた。

 平成20年(2008)の9月にバブルが最終的に崩壊して、株や住宅の価値は下がった。そのため、大量の融資が不良債権となり、このままでは金融機関は倒産してしまうので、厳しく取り立てているのが現在の状態。

 各国政府が金融機関を支援して、取り立てを緩めようと努力しているが、それでも金融機関が貸し出し過多になっていることには変わらないので、やはり貸し出しよりも取り立ての方が多くならざるを得ない。従って、欧米の企業や家計は、一生懸命働いて、消費を減らしてでも借金を返さなければならない。これは欧米の積み上がった債務の額から推測して、少なくとも十年は続く。おそらく2010年代いっぱいは、欧米の消費は回復しない。

 それに対して、東アジアで起きた生産の急激な縮小は単なる在庫調整である。生産と在庫の動きから類推するに、本来平成19年と20年は景気後退期だったはずであるが、バブルによる欧米の消費拡大によって不自然にも景気は拡大した。二年分の消費を先食いしてしまったので、その調整が必要。そう考えれば、東アジアでの急激な生産の縮小はだいたい数字が合う。

 東アジアの景気は、在庫調整が終われば普通に戻る。けれども、今後十年間は先進国への輸出があまり期待できないので、内需の拡大のために努力しなければならないのは勿論である。

 日本同様に、支那も東南アジアも、労働者の賃金上昇を抑えることによって、輸出を伸ばしてきたので、GDPの拡大ほどには内需が伸びていない。東アジアで貯蓄率が異常に高いのは、年金や健康保険や失業保険が不十分なので、国民は将来が不安で貯蓄に走るからである。

 今後は東アジアの諸国は福祉を充実させて消費者の生活不安を和らげて、そして労働者の賃金を伸ばすことによって内需を拡大していく必要があるだろう。

 このように、震源地の欧米の景気後退は、落ち込みのインパクトは小さいが、だらだらと十年から二十年続く。特効薬はない。ひたすら借金を返していくしかない。

 それに対して、とばっちりを食った恰好の東アジアは落ち込みのインパクトは大きいが、在庫調整さえ終われば急激に回復するはずである。ただし、今後は輸出が期待できないので、今までおざなりにしてきた福祉の充実を図らなければならない。

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コメント

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このグラフを見れば分りますが、
ここの所、ユーロ圏、日本の株価下落の度合いと比べて、
中国の株価の上昇率が素晴らしいなぁ……。
力強い。
日本は先を越されたか……。
麻生内閣での給付金政策の足を引っ張る国会議員達がなぁ……、畜生。
世界恐慌の回復は中国から始まるのかも知れない。

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すみません、グラフがうまくでませんでした。

1年前、ブッシュ政権の時、
金融恐慌の震源地アメリカでさえ、減税によって、株価を大幅に押し戻す動きがあったんですよね。(リーマンが潰れる辺りに株価上昇は止まったんですけどね)

一応、他国で大きな実績があるんだから、早く給付金を実施して欲しいです。
マスコミも政策にマイナスになる事を一生懸命になって報道しないで欲しい。まるで株価が低迷して欲しいような報道もみられる。
あれは、日本を真剣に考えていないマスコミによる只の麻生潰しだ!

 不景気になれば政権支持率が落ちて自民党政権が潰れて民主党政権ができるとでも思っているんでしょう。おかげでCM収入が減ってテレビ局は倒産寸前です。彼等のやっていることは背任ですよ。

 今の日本はそれほど輸出には頼っていませんので、輸出が落ちたからと言って全ての企業の株の値段が落ちるのはおかしいのです。そりゃ自動車や家電は花形産業かもしれませんが、今一番悪い業界の話ばかり報道すれば、必要以上に消費者も投資家も萎縮して当然です。

しかも米国では日本の内需株が人気を出しているそうな。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090205AT2D2500105022009.html

つまり世界中で日本の可能性を一番低く見積もっているのが当の日本人だというわけです。その責任はマスコミにあります。

日本のマスコミは滅ぼされるべきです。彼等の勝手な政治的信条のせいでおまんまの食い上げになるのは御免蒙ります。

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