本丸が見えてきた(二)ー法人優遇政策の失敗
陰暦 一月十四日 【事始め】【針供養】
日本は元々高所得層の納税額が高い国でした。
しかし、政府が個人事業主からの税収を増やすために、彼等の財布の透明性を高めようと、バブル崩壊以降設備も所得も個人ではなくて法人に集約するように持っていきました。諸手続をややこしくして個人では物も金も持ちきれないように持っていったわけです。
こういった法人への物と金の集約には、自民党の支持基盤である税理士や行政書士の仕事を増やす目的もありました。またこのような資格保有者の利権を守ることによって、資格を認定している団体の収入を確保し、官僚の天下り先を守っていたのでした。
しかし上に政策あれば下に対策あり。事業主は法人を赤字にすることで法人税逃れを図ります。法人を優遇策をとった結果、給料は減ったため所得税の減収を招き、企業はあの手この手で会社を赤字と言うことにして法人税収も減ってしまいました。自民党と官僚が進めてきた法人への金と物の集約による増収策は失敗したのです。
このように、個人にしろ法人にしろ、所得に網をかける税制度は、脱税がやりやすいのです。それもあって、先進国は消費税中心の税制になっていったのでした。消費税は取引にかかる税金なので、金を動かせば課税できます。所得を減らすために取引をすれば、多額の消費税を納めざるを得なくなります。
消費税を払うのがいやならば、収入をきちんと計上せざるを得なくなります。そうすると、所得税と法人税が増えます。消費税の増税は一石二鳥なのです。
消費税も所得税・法人税も払いたくない人は、何もしないで窮乏するだけです。減税を主張する人は、増税するとこのように国民の経済活動が沈滞化すると脅しをかけます。しかし、日本よりも国民負担率がずっと高いフランスやドイツや北欧が、日本よりもずっと高い経済成長率を達成しているのは何故でしょうか。今回のバブルが発生する前からこれら高福祉国は日本よりも高い経済成長率を達成しています。
結局、高所得者がやる気をなくしても、人数としてはずっと多い低所得者の活動が活発化した方が国全体としては経済が伸びると言うことでしょう。税金を払いたくないというような不届きな金持ちはふて腐れてくれて一向に構いません。彼等が動かなくても、日本の経済は潰れやしません。
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