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2009年3月13日 (金)

二度目は喜劇として

陰暦 二月十七日 【春日大社祭】

 3月11日(水)、国土交通省関東地方整備局は、ゼネコン汚職事件竹内茨城県知事ルートに関連して、鹿島建設に対して15日間の業務停止処分を下しました。

 ゼネコン汚職事件は平成5年(1993)に発覚した大規模な汚職事件です。発端は金丸信元自民党副総裁の巨額脱税事件でした。東京地検は3月6日に脱税 容疑で金丸信とその秘書を逮捕、自宅や事務所を捜索しました。その時に押収した資料から、建設業界が東北地方や関東地方の公共事業の受注を巡って、国会議 員や地方自治体の首長に巨額の贈賄をしていたことが判明しました。

 4月7日に渡辺美智雄副総裁兼外務大臣が病気により辞任、これを契機に宮沢内閣は不安定化します。宮沢総理は羽田孜に入閣を求めましたが、羽田派の実力者小沢一郎の進言により入閣を拒否。宮沢内閣の党内基盤は弱まりました。

 宮沢内閣の公約であった政治改革法案(選挙制度改革案)の国会提出が頓挫したため、6月18日に野党は内閣不信任案を提出、羽田派がそれに賛成して内閣不信任案は可決され、宮沢総理は総選挙に打って出ます。内閣総辞職を期待していた造反派は離党せざるを得ず新生党を結成。さらに新党さきがけ、日本新党などの新党ブームが起きて自民党は選挙で敗北しました。

 選挙戦のさなか6月29日に石井亨仙台市長がゼネコン汚職事件で逮捕されています。また宮沢内閣がまだ多数派工作をしているさなかの7月20日に、小泉純一郎郵政大臣が単独で辞任して内閣に致命傷を与えています。7月28日には竹内藤男茨城県知事がゼネコン汚職事件で逮捕されています。7月30日に宮沢総理は自民党総裁を辞任して河野洋平にバトンタッチし、8月4日に河野洋平自民党総裁(総理大臣はまだ宮沢喜一)は従軍慰安婦に関する河野談話を発表、8月9日に細川護煕が首相指名を受け、宮沢内閣は総辞職しました。

 さてこの一連の政変の間、小沢一郎の政治手腕は「豪腕」と称されマスコミから高く評価されました。しかし小沢一郎が金丸信の懐刀であったことは当時から衆知の事実であり、ゼネコンからの裏金の配分を一手に引き受けていたとの疑いは選挙前からありました。小沢氏は金丸に次ぐ特捜のターゲットといわれていましたが、椿事件にあるようにマスコミは小沢氏の汚職を追及することよりも自民党政権を打倒することを優先し、小沢氏の政治改革の旗手としてもてはやしたのでした。

 その後、ゼネコン汚職事件は10月4日に本間俊太郎宮城県知事逮捕、翌平成6年に中村喜四郎元建設大臣逮捕と進みますが、金丸信が死去したため、中央政界における真相は解明されないまま終わりました。

 ゼネコン汚職事件を受けて政治家への企業献金に厳しい規制がかけられたのは皆さんご存知の通りです。

 この事件により、建設業界から中央政界への大規模な献金システムは一旦崩壊しますが、今回の西松建設献金事件により、小沢氏が着々と再建を進めていたことが判明しました。西松建設が政治団体を作ったのが平成7年ですので、彼はゼネコン汚職事件の捜査が収束したのを見計らって、建設業界からの集金システムを再び構築していたことになります。朝日新聞の報道では、小沢氏は西松建設以外の建設業者からも迂回献金を受け、総額1億円に上る金を毎年受け取っていたとしています。

 政治資金規正法を中心になって作った本人が、できてすぐにその法の網をくぐる集金法を開発していたのです、これを一体どう判断すればいいのでしょうか?政治資金規正法は迂回献金を前提にして作られていたのではないでしょうか?小沢氏が特捜の捜査に憤慨しているのは、作った本人が前提としていた脱法行為を、作った本人に断りもなく検察が逆手に取っていることに対する怒り(勝手な話ですが)なのではないでしょうか。小沢氏の根拠不明な自信も「法を作った本人が捕まらないといっているのだから捕まえられないはずだ」という意味の自信なのかもしれませんが、それは三権分立の立憲国では通用しない理屈です。そんな理屈が通用するのは北朝鮮くらいのものです。

 5年前に結審した竹内元知事の行政処分をわざわざこの時期に持ってきたことといい、東京地検は16年前に政変に関わる混乱に邪魔されて根絶できなかった東北地方の公共事業を巡る贈収賄システムを完全に白日の下にさらすことを目指しているように思えてなりません。

 小沢民主党代表は今日になって急に発言のトーンが落ちました。鹿島建設の行政処分がかなり効いたのではないでしょうか。

 政治資金収支報告書の不実記載の時効は3年です。小沢氏の秘書を逮捕し、小沢氏の事務所を捜索するタイムリミットはこの三月でした。しかしこれによって小沢氏の公共事業斡旋の証拠がつかめたのでしょうか、西松以外の献金が朝日新聞によって明らかになり、岩手県の建設業者の証言がNHKで流れます、東京地検は東北地方の自治体に公共事業入札の資料提出を要請、また建設業者への一斉捜査に乗り出しました。

 収賄の時効は7年です。政治資金団体の監督不行届よりも、収賄の方がずっと罪は重いです。この一週間の動きを見るに、特捜は小沢氏を収賄で起訴する方針を固めたのではないでしょうか。

 昨年末の西松建設の摘発により、小沢氏は、ターゲットが自分だと直感したはずです。そこにCMの不調によって経営危機に瀕したマスコミが擦り寄ってきました。政権獲得後にマスコミを資金的に援助する約束が、民主党首脳とマスコミの間に結ばれたという情報があります。小沢氏が汚職の摘発を政局によって逃れ、それをマスコミがサポートするという十六年前と同じ構図が繰り返されようとしています。

 ゼネコン汚職から決別しようとして、政権交代をし、選挙制度を変え、政治資金規正法まで作ったのに、その総仕上げとして総理に就任するのが、いまだゼネコン汚職の権化である小沢一郎ではシャレにもなりません。今の日本人は後世の子孫から嘲笑われてしまうことでしょう。

 しかし、今回は自民党の結束は堅いようです。さすがに二回目ですし、野党側も一つにまとまっているので、かつての小沢氏の真似をして造反して離党しても勝利はおぼつきません。宮沢総理は政局に堪えられるような図太い神経は持っていませんでした。けれども麻生総理はこの難局に堪えて、中央政界の膿を洗い流してくれることと思います。

 あるいは小沢氏が失脚したあとの民主党が清新な首脳陣をそろえて、自民党に勝ってしまうこともあるかもしれませんが、民主党が良くなることは日本にとっても喜ばしいことですので、そのようなつまらないことを心配して、小沢追及の手を緩める必要は全くないと言えるでしょう。

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コメント

>政治資金規正法
そうでしたね。法律を作ったときの中心人物だったんですよね。自ら違反したと言うことで追究されてる当たりがなんとも皮肉です。

>結束が固い
武部さんが離党も視野にとか言い出してますけどどうなるんでしょうねぇ?
誰も付いていかないのかな。

 石川衆議院議員は「小沢一郎の事務所には金庫番はいなかった」と検察に証言したそうです。

 じゃあ一体誰が金庫番だったんでしょうねえ・・・完全に墓穴を掘りました。

 検察が任意の聴取にこだわった意味がこれでよく分かりました、逮捕だと検察による強要だといって証言を翻される恐れがありますから。

 代議士という責任ある地位にいて、しかも任意で出頭して出した証言です。こりゃ絶対にひっくり返せません。

 武部氏はもうどうでもいいです。この人には自分の政策というものがありませんし、別に小泉チルドレンも彼のことを当てにはしていないでしょう。この非常時に余計なことをするようなやつは馬に蹴られてくれて構いません。

 あ、でも武部氏は自衛隊と強い繋がりがあるとどこかで聞いたことがありますので、海賊新法をさっさと通過させろというメッセージなのかもしれません。

 それならば武部氏の一見不穏な行動にも理があるといえます。

「相棒」の第二シーズン第11話を見ていて分かりました。おそらく民主党の議員はスキャンダル揉み消しなどに必要な裏金を小沢代表に工面してもらっていたのでしょう。だからどうしても小沢代表を引きずり下ろすことができないのだと思います。

だめだなあいつら。小沢の金への執着心もたいがいですが、それにへばりついている連中はもっと汚い。

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