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2009年3月 9日 (月)

米国はあと十年はデフレが続く

陰暦 二月十三日 【鹿島神宮祭頭祭】

 1980年代末の日本では企業が債務を急拡大しました。不動産や株式が値上がりしたたので、それを担保に銀行がせっせと企業に金を貸したからです。しか しバブルが崩壊して資産価値が下がったため、企業は債務超過に陥りました。それがだいたいGDP20%分くらいで、企業は平成5年(1993)から平成 15年(2003)までかけてそれを返済し続けました。

 そのかわり企業は新規の投資も、従業員の賃金引き上げもできなかったので、経済は縮小してしまいました。企業は毎年GDP比2%分の債務を返済し続けました。これは10兆円に当たります。政府は必死にその穴埋めをしましたが、文字通り穴を埋めただけで、なかなか水面に上昇するまでは到りませんでした。10兆円というと国家予算の15%分です。莫大な額です。

 企業は赤字で税収も減った上に、歳出の拡大もしなければならなかったので、政府の債務は毎年GDP比4%くらいのスピードで拡大し続けました。

 90年代の財政出動は、マイナス成長をゼロ成長に引き上げる効果はありましたが、プラス成長にするには額が足りませんでした。90年代の財政出動に責められるべき点があるとすれば、規模がまだまだ小さかったことにあります。

 さて米国でもかつての日本と同じ現象が起きています。過剰債務の規模は同じくGDP比で20%。債務を抱えているのは家計です。米国の経済は家計の消費に頼っているのではこれは非常に大変です。また米国の歳入もまた半分は所得税ですので財政も非常に厳しい。

 2008年第4四半期の米国家計債務は名目値で減少でした。この時期はまだインフレが続いていましたので、これは米国の家計がかなり速いスピードで債務を処理していることを意味します。速ければいいかというと、そうとも言い切れません。その分経済は落ち込みます。また、あまりに速い場合、家計が生み出した富を金融機関に返済しているのではなくて、破綻処理(要するに借金の踏み倒し)が進行している可能性があります。破綻処理の場合は、債務が家計から金融機関に付け替えられるだけです。借金というのはエントロピーと一緒で、移動すると必ず増えます。

 なぜなら人出を経ればそれだけ手数料がかかりますし、二次、三次と最初の借り手から離れていくほど、債務返済能力は普通下がるものだからです。まさしくエントロピーと一緒ですね。

 ここに来て、米欧で再び金融機関の経営不安が高まっていますが、それは家計が破綻して、金融機関の債務が増大していることを意味しているのではないでしょうか。その場合、家計は早々と身軽になって、消費は5年くらいで回復するかもしれませんが、金融機関は膨大な不良債権を抱えることになります。

 これまた、日本に似て、バブル崩壊から5年以上たった橋本政権の時に銀行の不良債権問題が表面化するという展開を辿るかもしれません。

 金融機関に積み上がった不良債権は、銀行の預金準備率を下げたり、政府が資本注入したり、政府や中央銀行が株式や不良債権を買い取ったりして「薄める」しかありません。現在、米通貨当局(FRB)は質的緩和策というものをしていますが、これは煎じ詰めると家計の借金踏み倒しによって、金融機関の帳簿が悪化しているので、中央銀行も基準を緩めることによって銀行の資産悪化の表面化を抑えていると言えます。

 そんなことをすると、FRBと銀行が結託して不良債権を隠しているようにも見えますが、銀行はFRBに従うしかありませんので、FRBがあまりに健全な経営をし過ぎると、銀行は付いていくことができずに、次々とダウンしてしまいます。危機的なほど銀行が不良債権を抱えてしまった経済においては、だらしなくなることも中央銀行の仕事の内なのです。

 米議会予算局のバブル崩壊前の実質成長の見通しが2%でした。債務返済でー2%、政府の財政出動で+1%で、今後10年間の米国の成長率は実質1%だと思います。名目はデフレで0%でしょう。いわゆる"失われた十年"の日本と同じです。米欧の政府とか国際機関とか評論家はもうすぐ回復するとか、米国は日本とは違うとか色々言うでしょうが、そうなると思います。

 借金は返済を急ぎすぎると落ち込みは激しく、かといってゆっくり返済すると、当然完治に時間がかかります。政府がウルトラ大盤振る舞いをすれば、家計と金融機関の債務を急速に政府に付け替えることができるかもしれませんが、当然のことながら政府債務は急拡大します。特効薬はありません。潰れることはありませんが、ダラダラダラダラとデフレ不況が続くでしょう。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

 べっちゃんさんには、消費税についてご理解頂いていますが、企業の総務部門には、この時期、平成21年度「消費税等に関するアンケート調査」というものがきます。
 アンケートを集計し、提出先 財務大臣、国税庁長官、政府税制調査会会長、自由民主党税制調査会会長等に出すのですが、興味がおありでしたら、今年の内容を書きますがどうでしょう?

 私には会社の経営のことは分かりませんので何とも、(^^;>

 こういうのって、個人的には賛成でも会社としての意見を書かないといけないから悩ましいですよね。

 でも企業としても社会保障の立て直しについて好意的な意見を持つことは許されないのでしょうか。

 日経とか経済誌が社会保障についてまともなことを書いてさえくれれば、経営者の理解も得やすくなるんですけれどね。

 発行部数は小さくても経済誌の影響力は大きいです。経営者というのはたいていは人を動かす能力でもって上に上がっていきますので、意外と(?)経済について不正確な知識を持っている人が多い。

 だから世界中の経済誌が、ひたすら社会保障や増税のデメリットばかり取り上げてきた罪は重いです。

 そのせいでこの手のデフレ不況に有効な財政出動ですら、根拠なく無駄だと攻撃される有様です。経済誌がひたすら不況を煽ってどうしようというのか。ていうかいつの間にか経済誌はノンバンクの走狗に成り下がっていると思います。

啓蒙活動の一環ということで
平成21年度「消費税等に関するアンケート調査」

1.消費税の税率構造

消費税は、消費に負担を求める税ですから、消費支出に対しては比例的な税ですが、所得を基準にして見れば、高所得者よりも低所得者が重くなる逆進的な傾向があることは否めません。

 この逆進性を緩和するために、一般的に次のような方法が考えられます。

①食料品等は、軽減税率の対象とするのがよい。

 食料品などの生活に密着した物やサービス(以下「食料品等」といいます。)の税率は、一般の税率(標準税率)よりも低い税率(軽減税率)、例えば、標準税率が10%の場合に、食料品等は5%という低い5%という低い税率とします。

 この複数税率制では、軽減税率の対象範囲を適切に定めるのが難しく、また、事業者には取引ごとにその区分を行うためにの事務負担が生じますし、さらに、仕入税額控除を的確に行うために、納品書・請求書等に適用された税率と税額を別記するという事務負担も出てきます。

②単一税率が好ましいが、食料品等を軽減税率にするのはやむを得ない。

 食料品等も含めて単一の税率としますが、年間の食料品等への支出総額の中に含まれている消費税相当額を別途計算し、その者が納付すべき所得税額から消費税相当額(食料品等に対して負担を軽減しようとする金額)を控除し、控除できない場合には控除不足額は給付(還付)します。

 この制度(給付付き税額控除)では、①の事業者の事務負担は生じませんが、所得税の税額控除を行うための年間の食料品等への支出総額を計算するという新たな事務とともに、所得税を納めない人も申告するという事務が生じます。

③食料品等を含め単一税率とするが、給付つき税額控除らより食料品等の負担を軽減かるのがよい。

 食料品も含めて単一税率により消費税の税収を確保したうえ、歳出面で低所得者などの社会的弱者に対して重点的に配分します。

 この方法では、①や②のような問題は生じませんが、低所得者対策が的確に行われるかどうか必ずしも明確になりません。

 参考までに、世界各国の消費税の税率構造を見てみますと、税率(標準税率)が10%を超える国の多くは①の複数税率制を採用していますが、税率が10%以下の国では単一税率の国が多くなっています。また、まだ多くはありませんが、②を採用している国もあります。

 このような消費税なども踏まえまして、消費税の税率引き上げが避けて通れない場合に、低所得者に対する配慮と、事業者の事務負担などを考慮してどのように対処するのがよろしいか、皆様のお考えをお聞かせください。

④食料品等を含め単一税率とし、低所得者に対する配慮は歳出面で行うのがよい。

⑤消費税は消費支出に対し比例的な負担となるので、特に低所得者に配慮する必要はない。

⑥分からない。

⑦その他

 保守系左派さん、ありがとうございます。

 複数税率にすると事務が大変になると言うのは気がつきませんでした。

 低所得者対策については、この説明だけで具体的な内容をイメージするのは難しい気がします。

 仕事柄アンケートを作ったこともあるのですが、このアンケートは知りたいことをあまりに直接質問しすぎていがために、返って欲しい情報が得られないアンケートになっているかもしれません。もう一手間かけた方がいいと思います。

 べっちゃんさんが指摘する通りなのですが、この当たりが中央のしたたかさと言うことで、

2.消費税の徴収の使途

 現在、国の消費税の税収の使途は、毎年の予算総則に「基礎年金、老人医療、介護」という福祉目的に限定すると明記することにより、事実上、福祉目的にあてられていますが、消費税についての国民の理解を得るためには、さらに一歩進めて法律で使途を特定する福祉目的税とし、福祉目的以外には使用できないようにすべきではないか、との考え方があります。

 それに対して、消費税の税収の使途は定めないで、その年に必要な費目に充てるのが良いとする考え方もあります。

 この点について、皆様のお考えをお聞かせください。

①法律で使途を福祉目的に特定する福祉目的税とするのがよい。

②法律で使途を特定しないが、事実上、福祉目的にあてるのがよい。

③使途は特定しないで、その年に必要な費目をあてるのがよい。

④分からない。

⑤その他


3.上の設問以外の税制や税務執行などに関する意見要望等

(1)消費税に関する事項 

(2)消費税以外の間接税に関する事項

 意見は聞きましたというアリバイ作り・・・いいえ何でもありません(笑)

 でも国民の感情を正確に把握してこなかった結果が今の政情不安をもたらしたわけですので、中央官僚は、もうちょっと情報収集のやり方を考え直して方がいいと思います。

 日本の官僚は間違ったことはしていないのだけれど、進め方がまずいんですよね。ほんのちょっとの配慮をするだけで国民の受けはかなり変わるはずなんです。そのあたりの人情の機敏をこういったアンケートできちんと調べて欲しいものだと思います。

 かっては自分もそちら側であったのですからね。まあ一般に目にすることは無いものではあるのですが、企業の意見集約になりがちなところは否定が出来ないところです。
 自分は整理して今月末までに提出する予定です。
 現在、平成21年度予算の補正予算分についての策定も今月末までに収集する動きが見られます。6~7月頃に臨時、8月中旬以降に実施→選挙の流れになりそうな予感がしますね。
 真面目な話、忌憚の無いご意見がありましたら、記載させて頂きます。

 では私の意見を

(1)
 昭和60年代をピークにして、税収が減り続けています。政府の説明では、個人で事業がやりにくい制度を作り、お金を法人に集めた結果、脱税がやりにくい社会になるはずでしたが、実際は所得税が減少しただけで、法人税は増えませんでした。

 むしろ今の制度の方が昔よりも脱税がやりやすい制度となっているのではないかという疑問があります。

 消費税中心の税制にすることにより、業者による脱税がやりにくい世の中になることを私は期待していますが、それは本当に確保できるのでしょうか。この当たりの説明を政府から聞きたいです。

(2)
 ここ十年ほど、法人税の増減は輸出企業の収益に左右される状態が続いています。輸出企業は取り引きを必ず税関にチェックされるので脱税がやりにくいからではないかと私は推測しています。

 また、税収が輸出企業の収益に大きく左右されるため、輸出企業が必要以上に国政に介入する口実を作っていることは否定できないと思います。

 消費税中心の税制にすることにより、国民が払う税金が増えて、その結果として、政府が内政を重視するようになることを私は期待しています。

 ただし、意思が経営者に集約される企業と異なり、国民の意見というのはなかなか国政に反映されにくい実態があります。

 今後消費税の税収を社会保障に振り向けるとのことですが、国民からのニーズはどのようにして集めるのでしょうか。政府にはその計画を提示して欲しいです。

 ありがとうございます。
 ご意見、必ず記載いたします。
 

3月13日18時36分配信 サーチナ


■本日のポイント

1.日経平均は急反発し、終値で10日ぶりに7500円台回復
2.輸出株中心に全面高――東証の33業種はすべて上昇
3.前日の米株高や為替の円安進行を好感
4.追加経済対策への期待感も追い風
5.SQ算出で商いは大きく膨らむ

4.に注目したいですね。
日本が今の難局を乗り越えるには、誰が反対しようと、麻生内閣で行くしかないでしょう。世界各国の内需を強めるという世界協調路線の流れに乗ろう、と日本で懸命になっているのが麻生太郎でもあります。
そうです、麻生太郎は今は世界で必要とされているのです。
今、倒閣させる訳にはまいりません。総理大臣は3年はやってもらわんと。


 米国で株が上がったところに、昨日ATCの特需が報道されたのが投資家の心理を良くしたのでしょう。

 やはり麻生さんは成果を積み重ねていくことでしか勝つことはできません。

 補正予算も通りましたし、年度内に21年度予算も通れば、四月から経済に関してはよい話題が増えると思います。

 ただしこれから発表される指標は今年の第一四半期のものなので、まだまだ悪いのが痛いところです。

麻生総理とオバマ大統領それに中国を加えた国でリードしているのはいい事なのですが、
どうもヨーロッパの動きが鈍いですね。

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