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2009年4月24日 (金)

パワーエリート

陰暦 三月二十九日

 世の中にはいつでも知能を駆使して人の上に立ちたいという欲求を強く抱いている人たちがいます。こういう人たちは、問題解決能力は高いけれど、問題設定 能力は低いことが多いです。ですので、活躍する分野はどこでもいいと思っています。明治時代のように有司専制の世の中であれば官界を目指すでしょうし、昭 和前期のように軍人が肩で風を切っていれば軍人になるでしょう。

 また、この手の人たちは挫折というものを知りませんので、失敗して恥をかくことを極端に恐れています。ですのでなるべく外から干渉されないような分野で働きたがります。官界、軍部、警察、法曹界、医療、学界、これらは一種の治外法権を許されている世界です。一回入ればなかなか首になりません、仲間意識が強い、他者は口出しできない専門性を保持している、業務に権力の行使が伴う、等の共通点があります。

 現在の日本では、官界が政治家とマスコミのバッシングを受けて権威を失い、エリートにとって魅力のある世界ではなくなりつつあります。財政赤字によって医療と学界にまわってくるお金も減っており、この二つはあまり羽振りが良くありません。自然、今後はエリートは軍部、警察、法曹界を目指すと言うことになってくるでしょう。

 それもあってかあらぬか、最近軍や検察がニュースで表に出ることが多くなってきました。自衛隊は着々と災害復興活動や平和維持活動で実績を上げて国民の信頼を回復してきました。また小沢氏の西松建設献金事件における特捜の捜査を国民が支持していることからも透けて見えるように、国民は政治的閉塞状況を検察が打開してくれるのではないかと期待しています。

 今まで表に出てこなかった軍や検察の露出が高まっているのは、政権交代の可能性が高まっているため、彼等としても野党に自らの持つ力をアピールする狙いがあると考えられます。反対に与党に対しては恩を売る意味合いもあるでしょう。検察は今のところ野党をターゲットにしていますし、野党が自衛隊の行動を邪魔すれば邪魔するほど、野党の政権担当能力が低いことが国民の目にさらされるからです。

 軍部と法曹界が今後協力になっていくのは避けられないでしょう。悪いことばかりではないですが、国民は注意する必要があります。彼等は官僚以上に独善性が高いです。戦後の日本の教育やメディアはこの二つの世界から目をそむけてきましたので、彼等がどのような特徴を持っているのか忘れています。彼等が持つ長所と短所を我々はもっと知らなければなりません。

 軍部への最大の足枷となっているのが日本国憲法第九条です。これは投稿欄でも言ったように、立法府が軍部の行動に容喙するための根拠となっています。今後軍部はあの手この手で第九条の解消を求めてくるでしょう。

 国民として必要なのは、国を守ることであり、必要とあらば軍部に資源を与えることも吝かではありませんが、必要以上に与えることもありません。国防のためといわれるとなかなか逆らいにくいのが事実であり、戦前の国会には予算審議権で軍をコントロールすることができたはずなのですが、帝国議会は軍部を押さえることができませんでした。

 国防について、軍にはなるべくフリーハンドを与えるべきでしょうが、軍が自分で目標を設定できるようになると戦前の再現になります。政党は統帥権よりももっと前にあるもの、すなわち軍の目標を設定する権限を決して手放してはなりません。

 戦前の軍の暴走の先駈けとなったパンフレット「国防の本義」が軍が進出するべき地域の設定を主張する物であったことは示唆的です。

 法曹界については私はサスペンスドラマで見たこと以上の知識は持っていないので何とも言えませんが、裁判員制度の行く末には注目する必要があります。これが法曹界が国民を取り込むための手段になるのか、あるいは国民が法曹界の暴走を制御するための手段となるか、我々の努力次第でしょう。国会が裁判員制度を容認したのは、強力さを増しつつある法曹界を制御する制度となることを期待してのことかもしれません。

 最後に警察ですが、警察は現在のところ都道府県に別れていて、国政に口出しできるほどの団結力を持っていません。しかし道州制が進むと、警察も無視できない権力を持つようになります。これも今後の道州制の制度設計に監視が必要です。

 これら知能が高く、権力志向も強い人たちを監視するには、国民は政治家を支えるしかありません。政治家の権威を下げることは、こういったパワーエリートが跳梁跋扈する世の中への第一歩です。政治家を毛嫌いするだけでなく、こういったエリートを監視するための私達の仲間として、育てていく意識をこれからの日本人は持つ必要があるでしょう。

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