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2009年4月17日 (金)

調子がいいなあ

 最近の神社新報が力を入れて取り上げている問題が二つありまして、一つは農業の復興でもう一つは非営利法人の課税の問題です。

 神社新報ですから、当然減反政策の停止と農家への所得補償を主張しています。私は日本で農家が果たしている政治的役割は、外国で言うところの「宗教的右派」なのではなかろうかと常々思っているのですが、ともあれ日本で農業振興を主張する人達は、一体いくらのお金があればどれだけ生産量が上がって、結果として農家以外の人たちにどのような利益が得られるのか、その試算を全くしてくれません。

 試算をしないのは、農業側が最初から日本の農業を振興させたところで経済的に見合うことはないと匙を投げているからだと思うのですが、そんなことはないと思うのですよ。もしも年間一兆円くらいの国家支援で日本の農業の生産高が飛躍的に伸びるというのならやってもいいと思います。あるいは伝統文化の保存や食育とか中山間部の防災を金銭的価値に換算してもいいでしょう。とにかくお金を払うのは国民でもらうのは農家なのですから、農家の側から農業の有用性を目に見える形で主張してもらわないと困ります。

 もう一つの非営利法人の課税問題は、詳しくは知らないのですが、最近法律が変わって、宗教法人は社会に貢献していることをアピールしないと優遇措置を受けられないようになったらしく、それを神社新報は婉曲ながらも非難しています。

 しかしここで思うわけです、農業の振興に必要なお金はどこから来るのでしょうか?税金です。「税金を農業に投入せよ」と言っている人達が同時に「宗教法人から税金を取るな」と言っているのです。これは矛盾です。

 それに神社新報の調子がいいなあと思うのは、農業の振興を主張する際に、決して税金の投入と言っていない点です。国のお金といっています。そうであるのに、国が宗教法人から税金を取るときは、宗教法人のお金は自分のものだと言っています。御都合主義です。

 農業の大切さをサラリーマンも重々承知していますが、サラリーマンが払った税金を農家が使うのは当然という顔をされると、こちらとしても一言言いたくなります。神社新報は常々感謝の気持ちが大事だと主張しているのに、税金を国からもらう時には、その税金を払ったサラリーマンや企業には感謝していないのです。

 これでは加持祈祷がうまくいったときにだけ、朝廷に寄進を要求した中世の悪僧と何ら変わりません。

 田舎や古い商店街の人たちがこの調子では、いくら気勢を上げたところで、大多数の都市の住民は、お祭りに協力しようとも思わないでしょうし、自治会活動にも参加しないでしょう。伝統的なコミュニティーの崩壊の原因は彼等自身の心の内にあるのではないでしょうか。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

 自分は、日本人は何故「働く」かと言われたら、日本人のエートスである「感謝」をするためだと思うのです。希望(願い)の絶え間ない源泉は、「天」「地」「人」に対する「感謝の心」無しには、生まれえない。それはまた「パトリ」や「共同体(コミュニティ)」の源泉です。「天」「地」「人」への感謝の原点が農業等の一次産業であり、それは働くことそのものが「祈り・願い」であり、日本人は働くことで、感謝の祈りを捧げている。
 マルクス経済学が、労働を単なる計数にしてしまい、パトリ無きアソシエーション(内田樹氏が推奨する単なる権利と義務と契約のみの関係)を志向することにより、旧来の農村共同体や企業共同体が補完していた「働く=祈り」を分離、喪失することが進み神社等の宗教法人においても、単に働くに堕してしまったのかもしれません。

投稿: 保守系左派 | 2009年4月17日 (金) 23時47分

 農家に自信があれば、むしろ自分の価値を堂々と金銭的価値に換算して「どうだ、文句あっか、だから税金を投入しろ」と主張するはずだと私は思います。

 でも誤魔化しているのは、自分に自信がないからではないでしょうか。

 ただまあ、補助金よこせといっているのは農家と言うよりも、農家におんぶに抱っこの農協とか、役場とかじゃなかろうかと勘繰っているんですけれどね。

>感謝
 私もそう思うのですが、生産技術が進んだ現在では、これだけだと需要不足になりやすいですよね。麻生政権の政策への反感の根っこには、生産を善とするこの思想があると私は思っています。

投稿: べっちゃん | 2009年4月18日 (土) 08時14分

 農家に限らず、一次産業の就労者にいえることですが、自信をもって収穫した生産物の価値を決定する流通業界の消費者の欲求(要求)にすり替えた、利益確保の壁の前では主張できないでしょうね。言った瞬間から、購入してもらえなくなり、以前より買い叩かれたり品質等のクレームが凄くなります。

投稿: 保守系左派 | 2009年4月18日 (土) 13時49分

 デフレの世の中で小売りが努力を続けると必然的に生産者と輸送会社の取り分が減る一方ですよね。この三者の中では小売りが一番規模が大きいので一番強い。

 零細業者を救うためにはマイルドなインフレが続くのが一番良いはずです。

 それかいっそのこと農家が全員大手小売りの傘下に入ってしまえばいいのかもしれません。そうすれば大手小売りは農家の生活にも責任を持たなければならなくなりますので今ほど一方的な関係にはならないでしょう。

投稿: べっちゃん | 2009年4月18日 (土) 18時57分

 保守系左派さんとお話をしていて、日本の農家を救済するには、下請法を大手小売りと農家の間に適用するのがいいかもしれないと思いました。

 直接は難しいのならば、何らかの類似の法律を農林水産業にも作るといいかもしれません。

 結局すり替えなんですよね。問題は食糧輸入の自由化ではなくて、大手小売りによる不当な食料品の買いたたきにあるわけです。

 これは買い手が市場を支配するときの常套手段であるのですが、とにかく商品を評価する基準を作って、それに合わない商品の購入を拒否します。

 評価基準は商品本来の価値から乖離した無意味な物であればあるほど好都合。なぜなら例えば農産物の場合、農家は美味しいキュウリを作ろうと努力するわけですが、小売り側はそのキュウリを真っ直ぐかどうかで判断する。そうすると美味しいキュウリを「曲がっている」という意味不明な理由で買いたたくことができるわけです。

 もし農家が真っ直ぐなキュウリを作ることに成功したら、今度は納期を基準にしたりするわけです。次々に新しい基準を設けて生産者の鼻面を引きずり回すんですね。

 この悪循環から脱却するためには、新しい販路を作るか、生産者側が団結して一括でしか販売を認めないようにするしかない。

 だいたい江戸時代後期の藩政改革というのは特産品を藩で一括取り引きすることで、上方や江戸の商人による農産物市場の支配を覆して、値決めの主導権を地元に取り戻すことによって成功しています。

 問題は市場の主導権をいかにして握るかにあります。農家はこのことに気がつかない限り、おそらくいくら国から所得を補償されても、外国の食料品を排除しても、大手小売りの支配からは逃れられません。

投稿: べっちゃん | 2009年4月19日 (日) 17時38分

 もう一つ方法があります、これも藩政改革と同じ手法なんですが、生産者側が大手小売りを指定してしまうんです。御用商人というやつです。

 我が農協は産品を○○グループを通してしか販売しないと決めてしまうんですね。そうすると、小売り側が今度は支配される側になります。

 ただしこれは生産品にブランド力がある場合にしか通用しません。

 今これをやると独占禁止法違反になりそうですので、大手小売りチェックGメンを農協が作るのも一案かもしれません。

 農協がデパートを抜き打ち検査して「温度管理がなっていない!」「他の地方の生産品が混ざっている」などと難癖をつけて、「お前のところはうちの産品を大事に扱っておらず、消費者にも不利益を与えている」と言いがかりをつけて販売を拒否するのです。

 多分農協が消費者団体や生協と組めばかなり強力な圧力団体になれると思います。しかしそれが進まないのはなぜかというと、農協は自民党系で、消費者団体と生協は左翼系という政党の壁が邪魔しているんですね。これをうまく取っ払うことに成功した政治勢力は、地方の選挙区を支配することが可能になるかもしれません。

投稿: べっちゃん | 2009年4月19日 (日) 17時50分

 大手小売りが左翼陣営に縁者を送り込んで強力にバックアップしている理由はこのあたりにあるのかもしれません。

 農協・漁協と左翼系消費者団体が連携することを彼等は恐れているのでしょう。

投稿: べっちゃん | 2009年4月19日 (日) 17時59分

>デフレの世の中で小売りが努力を続けると必然的に生産者と輸送会社の取り分が減る一方ですよね。この三者の中では小売りが一番規模が大きいので一番強い。

>零細業者を救うためにはマイルドなインフレが続くのが一番良いはずです。

 そうなんです。本来、一次産業に限らず他の産業でも零細業者を救うためには、インフレへ誘導した方がいいはずなのに、「消費者の損失」が声高に左派側から言われ大企業の利益確保に走っている?ように傍目に見えるのです。これは一体何かと考えると「労働者では無い、土地所有者=資本家」としか見ていないのではないかと思えるんですね。

>それかいっそのこと農家が全員大手小売りの傘下に入ってしまえばいいのかもしれません。そうすれば大手小売りは農家の生活にも責任を持たなければならなくなりますので今ほど一方的な関係にはならないでしょう。

 これは、昨今の「六次産業」の話ですね。
 例として、農業のホクレン農業協同組合連合会やポンジュースの愛媛県青果農業協同組合連合会などは、生産者と加工と販売を一体的に管理して成功した協同組合です。
 漁業はハマチ養殖において、鹿児島県、香川県、高知県、愛媛県、三重県等の県漁連が共同で首都圏への販売加工拠点を神奈川県に建設し出荷する取り組みをしています。

>だいたい江戸時代後期の藩政改革というのは特産品を藩で一括取り引きすることで、上方や江戸の商人による農産物市場の支配を覆して、値決めの主導権を地元に取り戻すことによって成功しています。
 
イオンが始めた漁協(鮮魚)から直接一括購入して、市場を通さない方法がどの程度を所得を安定化できるかですが。

 「消費者庁」が、むしろ生産者や汚染米問題の提起の仕方が、耐震偽装問題での建築基準法改正で業者が困窮し廃業等になるケースに極めて類似していることから、地方や中央市場改革により問屋と一次産業生産者の廃業促進をするつもりでは無いか?という疑念もあるのです。

 新嘗祭や春秋の例大祭等の祈りと感謝がまた薄れそうです。  

投稿: 保守系左派 | 2009年4月19日 (日) 21時47分

 自民党政権を崩すには、農家、漁師、中小企業、商店街を破壊するのが一番効果的だと考えているから、左翼はデフレに誘導しようと努力しているのでは?

投稿: べっちゃん | 2009年4月19日 (日) 22時15分

 左翼の世界観では、独占資本主義の行き着く先に共産主義社会があるわけですから、大資本と左翼活動家の利害がある時期までは一致するのはある意味自然ですよね(笑)

投稿: べっちゃん | 2009年4月19日 (日) 22時28分

>自民党政権を崩すには、農家、漁師、中小企業、商店街を破壊するのが一番効果的だと考えているから、左翼はデフレに誘導しようと努力しているのでは? 

>左翼の世界観では、独占資本主義の行き着く先に共産主義社会があるわけですから、大資本と左翼活動家の利害がある時期までは一致するのはある意味自然ですよね(笑)

 指摘されていることが、「小泉政権とは何だったのか」「与野党の大連立的成果としての小泉政権、現状での大連立の目的」の答えそのものですね。ネオリベ(新自由主義)とリベラリズム(リベサヨ)の合一で運営された期間に何があったのかは現在の我々が身を持って分らなければならなのに、その総括すら行わず、全てはネオリベラリズムのみにしようとしていることは、呆れるほかありません。

投稿: 保守系左派 | 2009年4月20日 (月) 21時53分

 昭和金融恐慌の後のデフレ時にも似たようなことが発生しましたので、デフレに陥った社会は、大資本への集中という反作用を起こしやすいのかもしれません。

 不思議なのは、デフレになると庶民は、生産者としての自己を忘却して、消費者としての自己に没入して、デフレの継続を望むことだと思います。

 私は小泉さんは言われているほど「何か」をしてはいないと思っています。今となっては、ネオリベとリベラリズムの熱い期待を適当にはぐらかしたのが彼の功績ではなかったのかと・・・もっと政策実行に興味がある人だったら日本はもっと大変なことになっていたかもしれません。

 保守系左派さんがおっしゃるような政治に一番成功したのが、英国のブレア政権であったと思います。結果は見ての通り。英国は史上初めて世界的な戦争で完璧な敗者の側に回ってしまいました。

 オバマ大統領はネオリベラリズムを排除しているので大丈夫だと思うのですが、もし2012年の選挙でオバマ大統領が敗北した場合、米国がやばいことになるのかもしれません。

投稿: べっちゃん | 2009年4月20日 (月) 23時57分

 結局、大資本・プチブル・プロレタリアートの三者があって、大資本とプロレタリアートが同盟を結んで、プチブルを挟み撃ちにしたのが、ここ二十年間の日米英の政治潮流だったのかもしれません。

 そうなると生き残った大資本とプロレタリアートの間でハルマゲドンになるはずです。

 大資本がそれを防ごうとする場合、自らが国家と一体化するほかないでしょう。すなわちファシズムです。

 私は自民党よりも民主党の方がファシズムへの性向が強いと思っています。

 支配者は中間層を滅ぼしちゃいけないんですよね。被支配層の敵意が直截に自分を向いてしまいますから。

 となると・・・経済運営に行き詰まった大資本は、プチブル攻撃で身を守りたがると言うことであるのかもしれません。しかしその先に待っているのはファシズム。

 官僚と政治家がどこの国でも権威を失っています。今後エリートは法曹界と軍部を目指すことになるでしょう。この二つはマスコミよりも強いですから。

 小沢シダ敗北した場合、次にネオリベ・リベラル合同勢力が担ぐのは右翼(勤王家)の仮面をかぶった共産主義者でしょう。近衛文麿です。宮内庁は旧皇族や摂関家の人物が祭り上げられないように注意をしておいた方がいいと思います。それと、皇太子と秋篠宮もこれからはよほど交友関係を気をつけないとすぐにそういった勢力が浸透してくると思います。

 なんとか麻生さんに勝ってもらって中間層を復活させてもらいたいものです。まだ間に合うと思います。

投稿: べっちゃん | 2009年4月21日 (火) 00時16分

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