« ある取締役の挫折 | トップページ | 余計なお世話 »

2009年6月19日 (金)

政治家と芸能人のちがい

陰暦 五月二十七日

 次々と重要法案が通っている、 内閣提出法案を見たら、勝率50/90で5割を超えています。参議院が野党に押さえられていながらこれはかなりの好成績だと思います。

 麻生さんはもしかしたら法案通過マニアなのかもしれないな、そんな風に思っています。この逆境の中、手を尽くして法律をどんどん通すのが楽しくて仕方がないのではないでしょうか。法律を通したくて仕方がない人を相手にして、早く解散しろとせき立てても無理なのではないでしょうか。

 政治家というのはいわば、法律の請負業です。選挙民に「もしも私を当選させてくれれば、かれこれの法律を成立させて、あなたにとって暮らしやすい世の中を作ります」というのが法律家の仕事です。

 ですので今の麻生内閣の在り方は、選挙に勝って議員バッチを付けることだけしか考えていない人たちにとってはやきもきさせられるのかもしれませんが、議員という職業の倫理に照らし合わせてみると、これ以上にないくらい正しい姿です。

 だから、与党の反主流派も、野党も、なんだかんだ横槍を言いつつも、麻生内閣を倒すには至らないのでしょう。

 これで平成十七年の郵政選挙で自公政権が約束した法律の主なものはあらかた通ったことになるのではないかと思います。選挙の結果を受け継いだ形の麻生さんとしては、十分に仕事を成し遂げたといえると思います。

 麻生さんのやり方は、非常に実業家らしいと思います。クライアントから報酬(票)をもらったのだから、力の限り約束(法案成立)を果たす。国会を次の選挙に勝つためのパフォーマンスの場にはしない。というか、法案成立が最大のパフォーマンス。

 法律を通して、選挙民の負託に応えたら、次は自分の商品(政策)を広げて選挙民の評価を仰ぐ。勝てればそれでよし、負ければ麻生さん個人としては残念であるが、政党のリーダーとしてなんら恥じるところはない。

 ですので、麻生さんはいくら追い込まれ解散などと訳の分からない中傷を受けても、会期ギリギリまで、どんな小さな法案でも成立させたいということだけ考えて動くと思います。

 そしてこれは政治家として正しいので誰にも邪魔はできないんですね。

 だからマスコミは麻生政権に対して、漢字を読み間違えたとか、変な大臣が喚いているとかという、およそ政策とは関係ない脇のことでいちゃもんを付けるしかないのです。でもそれだけで投票先を決めるほど日本人がバカだとは私は思いたくありません。

 麻生さんは「法律成立職人」として非常に優秀です。法律を作ることで暮らしやすい世の中を作ってほしいという人は麻生さんに投票するべきでしょうね。政治家に法案成立とは別のことを期待する人(官僚の泣きっ面が見たいとか美辞麗句を並べた演説に熱狂したいとか)は別の人に投票すればいいんじゃないでしょうか。

 結局自分がどういう世の中で生きていたいか分かっている人は、作ってほしい法律があるから、政党とは関係なしに、法律を作る能力に長けたを人を選ぶことができる。それが分からない人は、法律とは別のところで政治家を選ぶ、そういうことなのだと思います。でも法律成立職人という面を奪ったら、政治家には何も残らないのではないでしょうか。

 テレビに映るだけなら芸能人と何も違いません。政治家と芸能人のちがいは法律を作ることができるかどうかです。作るべき法律を持っていない、法律を作る能力を持っていない政治家を選んでも、結局私達の生活にはなんの変化も起きないんですね。芸能人と一緒で飽きられたらお仕舞いです。

 政策新人類と呼ばれている人たちは、与党にも野党にもいて、この人達は自分のことを政策優先の人間だと思っているようですが、私はこれには疑問を持っています。この人達は、選挙民が求める政策を実現することよりも、自分のキャリアを上げることの方を優先しているように見えます。だから、妥協をするよりは、職を放棄してかっこつけることを優先ばかりしています。自分の意見が全て通ったら、それは独裁でしょう。議院なんて物があるのは、妥協をさせるためにやっているわけです。そのことが分かっていない人が多いと思います。

 と思ったら、また野党の代表が何か言っていますねえ。このまま麻生さんで選挙の方が野党には都合がいいんじゃないのですか?やはりこの逆境でこれだけ法律を通すのは、同じ政治家としては脅威なんでしょう。万が一?にでも選挙で麻生さんが勝ったときのことを考えると怖くて夜も眠れないのかもしれません。実績は強いですからね、マスコミの報道でどうとでもなる層というのは15%くらいしかいないと私は思っているのですが、それ以外の人を説得するにはこの成立法案のリストは説得力があります。

 今日電車に乗ったら、列車のテレビに映った麻生さんを老婆がじーっと見ていました。自民党は政治家としてのあるべき姿に忠実な麻生さんを一度信じて選挙をしてみるのも悪くないと思いますよ。それで負ければ、そこはもう割り切って、今の日本人の知的水準にあった戦略を練り直せばいいと思います。与党が率先して日本人の水準を見限るような真似をするのはお薦めできません。

麻生内閣が成立させた主な法案

  • 平成二十年度補正予算(第一号)
  • 平成二十年度補正予算(第二号)
  • 平成二十一年度予算(年度内成立)
  • 平成二十一年度補正予算(第一号)
  • 臓器移植法改正案
  • 海賊対処法案
  • 税制関連法案
  • 国民年金法改正案
  • 消費者庁設置法案
  • 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(地方交付税の加算)
  • 平成二十年度における地方道路整備臨時交付金の総額の限度額の特例に関する法律案
  • 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案
  • 雇用保険法等の一部を改正する法律案
  • 所得税法等の一部を改正する法律案
  • 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案
  • 道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案
  • 地方税法等の一部を改正する法律案
  • 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
  • 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
  • 高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案
  • 都市再生特別措置法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案
  • 独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案
  • 電波法及び放送法の一部を改正する法律案
  • 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
  • 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案
  • 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案
  • 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案
  • 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案
  • 米穀の新用途への利用の促進に関する法律案
  • 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案
  • 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案
  • 農地法等の一部を改正する法律案
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案
  • 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案
  • 金融商品取引法等の一部を改正する法律案
  • 資金決済に関する法律案
  • 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件」
  • クラスター弾に関する条約の締結について承認を求めるの件
  • 地方税等減収補てん臨時交付金に関する法律(民主党が石油取引税を止めた事による地方自治体の減収を補填する法律)
  • 長期優良住宅の普及の促進に関する法律
  • 国籍法の一部を改正する法律(父親の認知を受けられない子供を救済する法律)
  • 労働基準法の一部を改正する法律(60時間を超える残業代を、正規賃金の1.5倍にさだめる法律)
  • 金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律(預金保険機構の強化)
  • テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律
  • 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律
  • 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律
  • 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律
  • 国民健康保険法の一部を改正する法律
  • 社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案
  • 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案(不払いの年金に、利子を付与する法律)
  • 中小企業者及び中堅事業者等に対する資金供給の円滑化を図るための株式会社商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案
  • バイオマス活用推進基本法案
  • 公共サービス基本法案(どうも今後の行政サービスの在り方に大きな影響を与えそうな法律、地味だけれど今国会最大の成果かもしれません)

« ある取締役の挫折 | トップページ | 余計なお世話 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

公共サービス基本法(2009.5.13 成立)

(公共サービスを委託した場合の役割分担と責任の明確化)

第八条 国及び地方公共団体は、公共サービスの実施に関する業務を委託した場合には、当該公共サービスの実施に関し、当該委託を受けた者との間で、それぞれの役割の分担及び責任の所在を明確化するものとする。

(公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備)

第十一条 国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 地方分権において、民主党、自治労が随分と入れ込んでいて、共産党以外は賛成して成立した法案ですが、釈然としないものを感じているもので、成立して本当に公務員としての立場が

>公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

守られると単純に信じているようにしか思えません。

 むしろ「地方公務員法」が廃止への道筋の端緒になったのではないだろうかという疑念の方が強いのです。

 もともと2008民主党マニフェストでは、

 国民のニーズに合った公共サービスの提供、国・自治体・企業・NPO等の適切な役割分担の実現という課題を解決するため、「公共サービス基本法」の制定を目指します。

 法案の内容は、①国民が「良質な公共サービスを享受する権利」等を有していること②国・自治体は国民の意見を踏まえて自らの公共サービスを不断に見直すこと③国民のニーズに対応するため、行政・企業・NPO等のベストミックスによって行政運営を行う「新しい公共」を作り上げていくこと――などです。

 ここで言う、「新しい公共」が「市民(住民)的公共性」による、「ユートピア」「ミレニアム」の構築(ニューエイジ的公共圏+ユニテリアン主義(三位一体の否定(国・都道府県・基礎自治体的な感覚)))を目指すため、また「希望学」などで言う「ローカル・アイデンティティ(地域主義)の確立」、「対話による意思統一」、「ネットワークの構築(総務省:定住自立圏構想、国交省:広域地方計画、農水省:多自然居住地域の創造(デカップリング))といったものと親和性が高くなっていく中で、「地方公務員(都道府県)」という存在を消滅させる流れを作っているよう見えてしまいます。

 ITProにでていた「ムダと一緒に捨てたもの」で登場する「問屋」を「都道府県」を置き換えるだけでも、自ら「セーフティーネット」を消失させることになるであろうことに賛同できるのでしょう。

 保守系左派さんおはようございます

 ははあ、ということはあんまり望ましくない意味で、公務員の在り方を変えることを意図した法律なのかもしれませんな。

 都道府県の統廃合くらいはやってもいいと思っていますが、国と地方だけになったら国の行政が肥大化するだけです。そんで結局各地方ごとに巨大になった国の支所ができるだけでしょうから、今の制度とあんまり変わらないと思います。

 というか、都道府県が完全に国の出先機関に戻るわけだから、戦前の内務省の復活ですよね。

 地方の住民の意向を反映させる政治が、良きにつけ悪しきに付け行われている都道府県が廃止されて、国の出先機関になるわけですので、地方分権とは言い難いですよね。

 この場合、河川管理、消防、警察は地方まで完全に国の管理になると思います。まあそれはそれでありだとおもいますけれど、官僚と国会議員の利権はむしろ肥大化しますわな。

 民主党って不思議と、官僚と国会議員の利益に忠実なんですよね。自民党が五十年間抑えに抑えてきた彼等の本音を臆面もなく晒した政党のような・・・

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173723/45389509

この記事へのトラックバック一覧です: 政治家と芸能人のちがい:

« ある取締役の挫折 | トップページ | 余計なお世話 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ