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2009年6月25日 (木)

所得税 対 消費税

陰暦 閏五月三日

 報道されるたびに内容が変わってまるで夏休み最後の日に慌てて宿題を片づけているかのごとき民主党のマニフェストですが、やっと増税に触れました、これは大進歩ですので素直に評価したいと思います。
「秘書有罪なら小沢氏に道義的責任」 民主・岡田幹事長(日経新聞 記事の後半に所得税増税への言及がある)

 さらに目玉政策の総額を減額しました。20兆円から16兆円に縮小するそうです。
民主政権公約、工程見直し 財源4兆円圧縮(朝日新聞)
 これも政策の実現性を高める変更として評価しましょう。

 さて麻生政権は社会保障の立て直しのためには、今後10年間で消費税を5%から12%まで引き上げる必要があると平成二十一年度の「骨太の方針」の原案で示しました。

主要税目の税収(一般会計分)の推移

 消費税の税収は税率5%で約10兆円です。1%引き上げれば2兆円の増収が見込めます。7%引き上げということは約14兆円の財源が必要だと言っているに等しいことになります。

 則ち自民党も民主党も、社会保障の立て直しのためには14〜16兆円のお金が必要だといっているわけで、両者の意見はほぼ一致しているということになります。

 さらに、民主党はこれまで目玉としてきた年金改革を実質的に行わないことにしました。取り下げです。
マニフェストが泣く(毎日新聞)(それにしても毎日新聞は未だに民主党の年金政策が正しいと信じているんですねえ・・・他の新聞は民主党の政策には無理があるのを承知で反自民の報道をしているけれど、この新聞だけは本気で民主党が正しいと思っているみたいです)

 年金の制度を大幅にいじることは不可能ですし、その必要性もありません。なぜなら年金は破綻していないからです。選挙で目玉として主張しながら、政権を取ってから「無理です」となってはむざむざ失点をしにいくようなものですので、これも賢明な判断といえるでしょう。

 さらに、ガソリン暫定税率の撤廃も取り下げました。
ガソリン暫定税率:民主、廃止先送り 岡田氏「環境税と並行議論を」(毎日新聞)
 石油消費を促進させるがのごときガソリン減税は、環境重視には反しますし、前回の混乱でガソリンスタンドがたくさん倒産しましたので、評判が悪かったのでしょう。しかし直嶋さんは炭素税なんかをマニフェストに載せたら支持母体に対する背任じゃないの?

 この調子で行くと、おそらく麻生政権が行った景気対策にも手は付けないということになるでしょう。あれは企業の経営を助けるための保証金みたいな物が多く、「もしもの時のための金が積んである」ということに意義がある政策ですので、実際に使用していないからといって引き上げると、企業がバタバタ倒産します。経団連や経済同友会からお叱りが入って民主党はこの点についても主張を引っ込めざるを得ないはずです。

 というわけで、国防と外交をのぞけば自民党と民主党の政策はほとんど同じになりました。ちがいは財源の手当だけです。

 自民党は消費税の引き上げで14兆円の財源を手当てするといっています。

 民主党は無駄遣いの排除と予算の組み替え?で10兆円。しかしこれは無理でしょう。残りの6兆円は埋蔵金で手当てするといっています。しかしあったとしても残った埋蔵金は10兆円程度でしょうから、4で割って一年当たり2兆円程度でしょう。どうしたって10兆円以上の金が不足するので「官僚の抵抗」ということにして政策の実行をサボるか増税するしかないでしょう。

 さて所得税の増税で14兆円の増収をするためにはどれくらいの税率アップが必要なのでしょうか。

 平成17年の厚生労働省所得再分配調査によると、可処分所得(税・保険料を引いたあとの所得)の21%は収入1,000万円以上の世帯が受け取っているそうです。国民可処分所得は365兆円ですので、この階層は76.6兆円の可処分所得を総額として持っていることになります。

 14兆円 / 76.6兆円 = 18%

 ですので、この階層の可処分所得の18%を税金として持っていけば、民主党が必要とする税収をえることが出来ます。可処分所得の18%と言うことは、税率にすればだいたい10%になります。

 所得税の税率は900〜1,800万円が33%で、1,800万円超が40%です。ここに10%を上乗せすると、43%と50%になります。所得税引き後の所得は1,000万円の人で570万円となります。そこから国民年金を14,000円、厚生年金を47,000円引いて、約563万円。住民税はだいたい10%なのでこれも引いて460万円。何とかやっていけない額ではありません。

 実際はこの通りには行かないでしょうが、要は年収1,000万円以上の人たちが今よりも100万円税金を余計に払えば民主党の政策をまかなう財源は足りることになります。これ以上にないくらい見事な所得再分配政策です。

 まあ、10%はきついですし、政党の公約は半分も実現できれば十分だと思いますので5%引き上げの、税収増7兆円でも十分でしょう。

 もしも民主党が高所得層の所得税率5%引き上げを公約にすれば、私はその日から民主党の熱烈な支持者になります。年収1,000万円超は人口の18%程度ですので、この政策を掲げれば民主党は必ず選挙に勝てると思います。

 まあでもテレビや新聞の正社員はほとんどこの層にはいるらしいので、その時にマスコミが民主党のことを今のように報道してくれるようかどうかは疑問ですが。

 あと国民新党が減税と大規模経済対策を主張しているのですが、これとの整合性はどうなるのでしょうか。
インタビュー: 内需拡大に減税など追加策必要=国民新幹事長(ロイター)

 しかし、民主党のマニフェストは日を追うごとに社会主義的になっていくなあ。おそらく政策の細部を詰める能力を労働組合出身の人材に頼っているのでしょう。こりゃ民主党政権ができた場合は、閣僚が新自由主義的政策をブチあげて、法案になるときにはなぜか社会主義的政策になって国会に出てくるというパターンになるかもしれない。うん、それはそれでいいかも(笑)

 新自由主義の皆さんピンチですよ。マニフェストができあがる頃には民主党は社会主義政党になっちゃいますよ、マジで。

 それもこれも、麻生さんがどっしり岩のように動じないで、政治家のあるべき姿を示し続けたお陰です。民主党の中の心ある人は、これに応えないといけないと思ったのでしょう。だから民主党のマニフェストが徐々にまともになってきているのだと思います。麻生さんが解散に前向きになったのも、民主党が増税に触れたからです。これで民主党にはまともな政党として立ち直る可能性があるとみなしたのでしょう。麻生さんは既に自民党、民主党からも超越していると思います。

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コメント

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-22/2009062202_01_1.html
2009年6月22日(月)「しんぶん赤旗」

主張
消費税増税
財界にモノを言えない政治

 政府・与党が今週にも決定する予定の2009年版「骨太方針」で、消費税の増税が改めて大きな焦点となっています。

 自民党、公明党は今国会で、2011年度までに消費税増税の法案を成立させると明記した法律を強行しました。「骨太方針」の原案は、これを「着実に具体化する」とのべています。

 経済財政諮問会議で張富士夫トヨタ会長らは、債務残高の対GDP(国内総生産)比を引き下げるには、7%の消費税増税が必要だという「試算」を示しました。

 自公政権は消費税の大幅増税へ走り出そうとしています。

社会保障を口実にして
 自公は「消費税増税は社会保障の機能強化のためだ」と言っています。しかし「試算」は、過去の失政や大企業・大銀行への大盤振る舞いで積み上げてきた借金の穴埋めまで、消費税の増税でまかなうという前提に立っています。

 この点は、税制の「中期プログラム」を議論した昨年11月の経済財政諮問会議で、民間メンバーがはっきりとのべています。「社会保障のほころびを縫い合わせる」ということで負担増に国民の理解を得ることは、「財政再建の見地から必要である負担増に理解を得ることと一石二鳥」だ―。

 しかも、中期プログラムは税制の「抜本改革」の基本方向として、消費税率引き上げとともに、「法人実効税率の引き下げ」を検討すると明記しています。消費税増税による増収で大企業向け減税の穴を埋めようという狙いは、隠しようもありません。

 与謝野馨財務相は、社会保障の自然増を毎年2200億円も削減する方針を、来年度予算でも続けると明言しています。医療崩壊をはじめ、社会保障のあらゆる分野で深刻な事態を加速してきた社会保障の抑制路線を続けながら、「社会保障の機能強化」を掲げるのは大きな矛盾です。

 2200億円の削減について、与謝野大臣は「社会保障を何か削り取っている感じは実はありません」と本音を語っています(9日の記者会見)。政府・与党は、国民の痛みをまったく理解できないようです。痛みを理解できない政府・与党が「社会保障の機能強化」を掲げても、消費税増税の口実にしているとしかいえません。

 何より、逆進性が強い消費税の増税は、「構造改革」で最も過酷に痛めつけられてきた若者、高齢者、単身親家庭などに、最も重い負担を強いるやり方です。社会保障の財源づくりに一番ふさわしくないことは明らかです。

 財源を生み出すためには、株取引や配当への課税強化、ゆきすぎた大企業減税を元に戻すなど、所得再分配を図る社会保障にふさわしい方法を検討すべきです。

>民主党も“面接”で
 民主党も与党と同じです。日本経団連の献金査定のための“面接”に当たる「政策を語る会」に今月初め、代表としては3年ぶりに鳩山由紀夫代表が出席しました。ここで民主は、「消費税増税は段階を踏んで実行していきたい」「法人実効税率は先進国並みに(引き下げる)」と約束しました。

 消費税増税、大企業減税の旗振り役は財界です。企業献金に頼って財界にモノが言えない政治では、財界が設定した身勝手な枠組みを取り払うことはできません。


 今週前半に田舎の青年会議所の方達と飲む機会があったので、「自民でも民主でも消費税は12%」の話があったんですね。
 自分も民主党は所得税によるものと思っていたんですけど、うーんたしかに労組系であれば総所得1000万円以上に対して源泉税を厚くするのは真っ当な考えです。消費税より受けが良くなりますから、傾かれてもしょうがないと割り切れるんですよ。

 問題は、現行の社会保障費の「健康保険」「年金」「雇用保険」「労働保険」「労災保険」の各勘定の取扱いと「生活保護」「介護保険」と「こども手当て給付」のほかに見落としがあるのかな。

 結局増税の時期のちがいしかないんだと思います。自民党は二年後で、民主党は四年後。

 その二年間の間、福祉や地方がどれだけ堪えられるかでしょうね。

 所得税の増税は、ああいってはいますが、ガス抜き程度にしかやらないだろうな、と思っています。それでも2兆円くらいは手当てできるかもしれません。

 十年くらい前までは、マスコミも増税の必要性とかもうちょっと報道していたと思うのですが。勿論紙面のほとんどは今と同じでしたが、もうちょっと良心的な記事もあったと思いますが、今は全然ありません。

 今の世の中は「貯蓄は善」「生産は善」「税金は悪」という倫理で育てられてきた世代には分かりにくくなっているのだと思います。マスコミも何が問題なのか理解できていないから、擦り込まれた倫理のままに、それに反する内需拡大、大きな政府派の麻生さんを攻撃しているのだと思います。

 共産党が攻撃している公共事業の借金にしたって、デフレを防ぐためには必要な出費でした。皆さんデフレの仕組みと恐ろしさが分かっていないですよね。

 巨額の貯蓄(年金の積立金も含む)を抱えて、デフレで経済が破綻するよりは、非生産的な事業でも投資をして、経済の規模を維持する方が国民全体のダメージは小さいです。

 共産党は経済が拡大も縮小もしないという世界観に立っていますので、デフレの怖さは分かっていても機関誌で触れることはできないのでしょう。

 今回の総選挙は物事の本質が理解できている人がどれだけいるかの試金石になるだろうと思っています。もしも民主党が勝つようなことがあれば、為政者は日本人の素質について考え直す必要があると思います。

 それにしても選挙の一月前にコロコロと内容が変わるマニフェストとはいったい何なのでしょう。一般社会であれば、このようにコロコロと事業方針が変わる会社のことなどまともな人間は誰も相手にしません。

 日本人は自分の会社のことなら冷静な判断ができるのですが、事が政治になるとファンタジーの世界に旅立ってしまうことが時たまあります。

2011年自民党は消費税15%2014民主党は消費税22%やっぱ目的福祉税7%がいるってさ。有血開城しかないんじゃないの

 だめだこりゃさん、初めまして、

 どうせ消費税の税率を上げなければならないのなら、時間をかけて徐々に上げていく方がダメージが少ないと私は思います。

 政府が福祉給付を厚くすれば、その分家計が潤いますので、消費全率(もしくは所得税率)引き上げは中長期的には経済にとってマイナスではないのですが、福祉のようなものは効果が出るまでに時間がかかり、短期的には増税による経済の一時的な冷え込みは否定できませんからね。

 民主党が二年以上政権を維持した場合、2013年以降に、一気に5〜10%の消費税率引き上げがあり得るというわけで、さて自民党が主張している2011年から毎年1%づつくらい上げていくのとどっちが良いかと言うことですよね。

 増税による景気の冷え込みを最小限にするためには、単年の引き上げ率は小さくする方が、私はいいと思いますね。

 しかし、歳出というのは2014年から急に消費税5%分も不足するというものではないはずです。福祉に必要とされる金額というのは徐々に増えていくものです。

 となると、2014年から急激な引き上げが必要、ということが何を意味するかと言うことです。

 無駄遣い排除で財源の手当ができるのなら、引き上げ分は丸まる黒字になるはずですがそうではないようです。ということは結局民主党がやろうとしているバラマキを全て実現しようとすると、国債に頼らざるを得ず、4年間貯めた借金を清算するために2014年から大幅増税が必要となると白状しているに他ならないように思えるのは気のせいでしょうか?

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