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2009年6月20日 (土)

国債でもいいと思うのですが、

家計所得を二割増、民主党マニュフェスト

 何に対して二割増なのか、日本の雇用者報酬は265兆円だからその二割、即ち50兆円という意味でしょうか?という突っ込みは置いておいて、 何を財源にするのかよく分かりません。権丈先生が言うように、毛針で国民を釣るというやつですね。あんまりうますぎる話は、さすがにテレビに影響されやすい層すら引いてしまうと思うのですが・・・

 民主党の政策を実現するには国債を大増刷するくらいしかないと思います。でも今の日本は需要不足によって、恒久的な不況になっているので、国債の日銀引き受けで、ガンガン政府が福祉支出を増やすというのはありだと思います。リフレ派は泣いて喜んで民主党を支持すると思います。日銀引き受けによる国債大増刷なら私も心が揺らぎます。

 家計や第一次産業向けの補助金を垂れ流すという民主党の政策はそれはそれでありなんですね。問題は財源です。財源は増税でも国債増刷でもどっちでもいいのですが(無駄の切り捨ては最早無理だし、政府支出の縮小はデフレ不況を招きますのでやめた方がいい)、たとえ増税もしくは国債増刷をした上で、民主党の補助金政策をやっても、十分に効果はあると思います。

 財源とセットであれば、民主党の政策は立派な政策になります。でも財源とセットでないと、どんな政策も空中楼閣です。無駄の切り捨てや、予算の組み替えだけで、毎年数十兆円が生み出せると易々信じるほど日本人はお人好しなんですかねえ。国民目線と言っておきながら、一番国民を甘く見ているのが民主党なのではないかと思います。

 そもそも毎月2.6万円もらっても所得が二割増にはならんよな。これじゃ給与が十万円という事になってしまう。高校教育無料化というのは、さすがに公立高校を指していると思うのですが、公立高校の一年間の授業料は30万円くらいだったと思いますので、月額に直すと2.5万円くらい?ということは合わせて5万円か。5万円の5倍は25万円だから・・・月収25万円の世帯は所得二割増になるけれど、これは標準的な世帯とはいえませんよね。

 今日本には子供が1,800万くらいいまして、そのうち高校生以下は1,500万くらいでしょう。この子達に一人毎月3万円渡すとなると、

3万円X12ヶ月X1,500万=5兆4,000億円

 となります。これは防衛費に匹敵する金額です。無駄を排除して、来年からもう一つ防衛省を作ります、と言っているのと変わらず、とても無駄の排除だけでどうにかなる金額ではありません。

 消費税の税収が10兆円弱ですので、5.4兆円となると、消費税3%分です。

 消費税を3%引き上げて、子供一人当たり付き3万円穂預金を出します。こういえば、ものすごく立派な政策ですよね。消費税を3%引き上げます。生活は多少苦しくなるかもしれませんが、未来の日本を担う子供達のために皆さん我慢してください。それに子供が増えれば、食品、衣料、諸々の産業が潤います。子供によって喚起される需要は、消費税引き上げによる消費抑制を上回ります。これ以上にないくらい立派な政策です。

 消費税を3%引き上げて、子供一人当たり月三万円配ります。消費税を5%引き上げて医療費を無料にします。こうはっきり言えば、国民は喜んでその政党を支持すると思います。麻生政権も、景気回復後にゴニョゴニョ・・・なんて歯切れの悪いことを言わないで、左側に消費税の引き上げによる増収額、右側に福祉の拡充に必要とされる金額、それと、下だか横だかに消費税引き上げによる消費抑制効果かと、福祉拡充によって喚起される需要を書いた簡単な表を配ればいいのです。国民の大多数には分かりますよ。さらに民主党の政策はその表一つで粉砕です。

 あと地方分権ですが、地方分権というのは、その土地の税収をその土地だけで使うと言うことを意味しますので、三大都市圏以外は地方分権が進めば余計に貧乏になって、行政サービスの質が低下します。

 だから、東京、大阪、名古屋の人たちが地方分権で大喜びするのは分かりますが、地方の人は地方分権で何か生活が改善するかのような幻想を抱くのは間違っています。地方の人たちはむしろ地方交付税の拡大を主張するべきなんですね。あと中央から地方への財源移譲にも反対するべきです。

 民主党の地方分権策で得をするのは都市圏の住民です。さて、地方の人たちはいつこのカラクリに気がつくのでしょうか?

 あと社民党が増税に反対しているのは解せません。社民党こそが消費税や所得税の増税に賛成して、富める物から貧者への所得の移転を積極的に進めなければいけないはずなのに。社民党が新自由主義の軽税制策に諸手をあげて賛成するとは一体どうなっているんだ?いくら心自由主義じゃない、と言ったって、増税しない、政府部門の民営化を進める、って新自由主義そのものじゃん。

 所得再分配を看板から取り外した社民党は左翼としてはお仕舞いでしょう。次の選挙で社民党は消えますね。今日本で最も社会民主主義的な政策を掲げているのが自民党で、新自由主義的な政策を掲げるのが民主党と社民党になってしまいました。民主党はともかくとして、社民党がこんなことではいかんと思うのですが。福島委員長というのは村山富市以上にひどいですね。いっそのこと辻本女史を委員長にした方がまだマシなのではなかろうか。まあ民主党と連立を組んで引っかき回して、同志を取り戻すつもりなのかもしれないけれど。労働組合はもうちょっと考えてほしいです。おまえらわしら組合員から集めた金を使って新自由主義政権を作り上げて、完全に約束違反じゃん。

 左翼なのに新自由主義を掲げて国民をペテンにかけた挙げ句に産業を破綻させて、八十年ぶりに第三党に転落しようとしている英国の労働党のことを知らないとは言わせない。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

 日本においてもつとも左派的な政策を進めたのは、自民党なんですよね。
 むしろ社民党は労働者の敵なんじゃないだろうかとは自分も多々感じることが多いです。民主党を反対する理由は、自分も同様で、都市左派は喜びこそすれ、地方のためにはならないです。省庁再編により財布が統合され一省庁の地域に対する予算配分を抑制する(総量規制)を行ったことによって、地方財政が圧迫されたわけですから、べっちゃんさんが仰るとおり「地方交付税」等の拡大が望ましと思います。
 民主党の地方分権は2段階方式で、都道府県を消滅させ、国と基礎自治体のみでは公的サービスが劣化のするのが目に見えます。
 ムダを無くすことで自らのセーフティネットをも消失する愚に、地方の人々が気づいて欲しいものです。

投稿: 保守系左派 | 2009年6月21日 (日) 05時49分

 民主党は官僚を指弾し、国会議員も減らすといっているわけですが、彼等の政策のうち、実現性がありそうなこれらの組織の組み替えが行われると、あら不思議、なぜか官僚と国会議員の利権は肥大化します。

 一方、家計や第一次産業への補助金は"官僚の抵抗"によって実現しないでしょう。

 つまり表向き官僚を攻撃して人気を浮揚し、その裏で彼等に実を与えることによって政権を維持しようという戦略です。

 また民主党の党運営を見ていると、彼等が陣笠議員を信用せず、育てるつもりもないことは明白で、やがて国会の定数削減によって彼等を切り捨て、面倒でマスコミの監視にも晒される国会での審議は省略し、政党のスタッフと官僚による交渉で全てを決めていく国家体制を作るつもりなのでしょう。

 これってまるっきりボリシェビキとかナチスが権力を独占していった過程と一緒なんですよね。

 国会議員三百人、地方の首長三百人、時価総額1,000億円以上の企業が五百くらいだったと思います。このくらいなら各地域の顕職を、岡田家みたいに特定の家族で独占することも可能です。

 安倍政権が理不尽なやり方で潰されたのは、安倍氏がこれら名族のホープだったのに、彼がセイフティーネットの拡充や地方自治体の再建の方向に舵を取って彼等の利害に反したからなんじゃなかろうかと邪推しています。

 どうやら自民党が増税をして、中福祉中負担(更に将来的には高福祉高負担)を目論んでいるらしいと言うことが見えてきた当たりから「何がなんでも政権交代」という動きが顕著になってきました。

 名族というのは昔からいて、昔の方が一般民衆との格差は大きかったと思いますが、最近の名族は自分たちの利害を表に出しすぎです。あと政治のコントロールの仕方が露骨になってきています。これはちょっとまずいと思います。彼等を消せなんて私も思いませんけれど、もう少し福祉とか地方の振興に目をやらないと、むしろ自分で自分の首を絞めることになると思います。

 戦争後のシャッフルから六十年、彼等も三代目になり、完全に東京の住民になってしまって、下々のことが分からなくなってきているのでしょうね。

投稿: べっちゃん | 2009年6月21日 (日) 10時45分

 確か・・・ワイマール共和国における左派政党だったか、十九世紀の社会主義の活動家だったかが、福祉国家に反対しています。

 プロレタリアートが国家から与えられる福祉の給付に満足してしまうと、資本主義体制を強化する方向に進んで、革命が遠のくからと言う理屈でした。

 ですので、修正主義に反対する左派政党は一様に福祉には反対だったはずです。

 修正主義かどうかというのは、資本主義経済のまま、労働者に福祉を与えることを認めるかどうかで決まります。少しづつでも彼等の生活を改善させようと言うのが、ドイツの社会民主党とか英国の労働党のやり方。とことん彼等の生活を苦しめて革命を起こしてから彼等の生活を改善させようと言うのが、ボリシェビキや日本社会党の考え方。

 日本共産党は面白いことに90年代以降は実質的に修正主義の左派政党になりました。志井委員長の方針なのかな?

 というわけで日本社会党及び社民党が、労働者を苦しめているのは確信犯です。

投稿: べっちゃん | 2009年6月21日 (日) 10時51分

日々の食い扶持稼ぎで忙しく、今の日本の政党の政策や政治について殆ど無知な者で、申し訳ありませんが、コメントさせて下さい。

>>新自由主義的な政策を掲げるのが民主党と社民党になってしまいました。

党名と政策が逆転しているんですかねぇ?日本は。

新自由主義による弊害が顕著になり世論が新自由主義の是正に動きはじめているにも関わらず、更に進めるなんて。
どの政党を支持したら良いのか全く判断できなくなりました。

>>政党のスタッフと官僚による交渉で全てを決めていく国家体制を作るつもりなのでしょう。

代議士と官僚に政策全てを決定させる私ら庶民の責任なのでしょうが、庶民が国民投票のような直接政策に決定権が持てればいいなぁと思うのです。
インターネットや携帯で金銭の取引ができるようになった現在、有用な投票システムくらい作れると思う。
もう、全てを任せたくない。

>>プロレタリアートが国家から与えられる福祉の給付に満足してしまうと、、、

私のような凡人がこんなコメントするようになった事が革命そのものなのかな?
みんな革命の為に生きているわけじゃないし、幸福感を得たいと願うだけなのに。

医療費や教育費が国費で賄われるなら西欧諸国と同等の20%程度まで増税されてもかまいません。但し、困った時に必ず助けてくれる裏付けがあっての話。

国債増発で急場しのぎするのはしかたないと思います。
しかし、ウロボロス的日本国債では、資産比を上回らないかぎり起こらないと言われていますが、万が一、インドネシアや韓国のようなデフォルトが起こってIMF管理財政国家にならない事を祈ります。

投稿: ujiny | 2009年6月21日 (日) 23時06分

ujinyさん、初めまして

民主党というのは結党時から新自由主義経済政策を標榜している政党です。ですので、それを再び前面に出した(小沢氏が代表の間は引っ込めていました)今の状態は、民主党としては本来の姿に戻ったと言うことだと思います。

けれどもどうやら国民は民主党が逆の政策、政府がもっと国民の生活への関与を増やしてくれること、これを期待しているらしいんですね。このような誤解が生じてしまった原因は、マスコミが政治を政策ではなく、勝った負けただけでしか報道してこなかったためです。

社民党は結局共産党よりも原理主義的な左翼政党になってしまいました。でも、民主党の新自由主義経済政策に加担したと言うことが明らかになれば消滅するでしょう。

国債はインフレで徐々に目減りさせるしか返す方法はないでしょう。

インフレというのは要するに市中にお金が多く出回っている状態ですので、家計・企業・政府がみんなしてお金を回さないと実現しません。

しかし民主党は総体として政府支出は減らすつもりです(増税、もしくは国債の借り増しをしないと言うことはそういうことです)。しかも民主党の財政政策の責任者は、預金利率の引き上げに消費振興効果があるなどとのたまう始末で、新自由主義経済政策の特徴ですが、金融機関へ金を集中させて、海外に投資して金利で儲けることを目論んでいるようなんですね。

しかしこの成長モデルの失敗は英国を見れば明らかです。

今や買うに値するような海外の債券は米国やEUの国債くらいしかありません。

しかし、外債を買うお金があるくらいならば、税金で吸い上げて福祉に回したほうがいいと思います。

あるいは金融商品に回る金が減ることを嫌う誰かが世界中で福祉国家の芽を潰してまわっているのかも?

投稿: べっちゃん | 2009年6月22日 (月) 17時56分

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