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2009年7月 4日 (土)

も〜っと!絶望的人間論

陰暦 閏五月十二日

 どうやら米国と欧州でデフレ突入が鮮明になってきました。彼等は債務返済圧力を甘く見ています。彼等はこれから日本同様に地獄の十年間を過ごすことになります。

 オバマ政権の経済対策は正しいですが、まだ何もスタートしていません。公共事業がスタートするのは向こうの新年度が始まる九月以降でしょう。欧州ではインセンティブ攻勢の効果が九月頃に切れます。その先は彼等が大嫌いな公共事業をやらなければならないのですが、3%条項が邪魔してなかなかできないでしょう。

 権丈先生は日本の現在の混乱はエリートの再生産に失敗したからだと主張していますが、多分デフレが十年も続けばどこの世界でも「エリートを血祭りに上げろ!」「今までやって来たことはすべて悪だ!」というヒステリーが広がるのではないかと思います。

 米国と欧州も、デフレが十年も続けば、2000年代の日本と同じようなことが生じるはずだと思っています。北欧とかフランスで、愚にも付かない"年金選挙"が発生して、福祉国家の本家でも福祉がボロボロになると思います。

 衣食足りて礼節を知る、欧米のエリートが未だのほほんとしていられるのは経済的混乱がまだ本格化していないからであって、デフレが本格化すれば、欧米のエリート再生産システムも、民主政治の伝統も役に立たなくなると思います。

 それに欧州は、日本ほど高齢化が進んでいないのに、既にかなり高い福祉の給付水準を実現してしまっているので、これからかなり福祉の水準を下げないと、福祉を維持できません。このデフレ下に増税は不可能なので、どこの国もあっという間に国債残高がGDP比100%を越えると思います。日本の例を見ても分かる通り、五年もあれば国債がGDP50%分積み上がることくらいわけありません。

 物を買ってくれる人がいない、仕方がないから政府が金を使う、でも増税ができない、国家債務がかさむ、国民の不安が高まる、高齢化が進む、でも増税できない、福祉を削る、国民の不満が高まる、エリートを攻撃するポピュリストが現れる、政府支出を削る、デフレが悪化する・・・

 どんだけできた国民でもこの悪循環が十年も続けばヒステリーを起こすでしょう。この悪循環は財政削減の愚にみんなが気がつくまで続きます。でも福祉が貧困な日本と違って既に福祉の水準が十分で国民負担も重い欧州ではこれ以上の福祉の拡充による需要喚起は難しいので、日本よりもひどいことになりそうな気がします。米国はオバマ大統領が二期目を迎えて国民皆保険や国民年金の設立に成功すれば悪循環から抜け出せるかもしれませんが、オバマ政権が潰れれば悪循環に逆戻りでしょう。

 それほどデフレは恐ろしい代物です。

 日本は高齢化は一段落して、しかも国民負担率が低いので、増税と福祉の給付水準を上げる余地が十分にあります。しかしこれから欧州で福祉の削減がどんどん行われるのでその尻馬に乗る連中が日本にも必ず発生するでしょう。まだまだ油断はなりません。


 おそらく欧州は福祉の水準が下げられて、日本は上げられて、二十年後には同じくらいのところに落ち着くのではなかろうかと思います。一般的な欧州人というのは家だって日本人よりも狭いところに住んでいるし(本当です、だから向こうの方が家が広いという統計が私には信じられません)、家具も少ないし、子供は玩具なんか持っていないし、本とかDVDなんか全然持っていません。日本人はこれまで福祉ではなくて、そういったところに富を費やしてきて、欧州は個々人は我慢して福祉に富を費やしてきたということなのだと思います。どうせお互い原資はそれほど変わらないのですから、個人に金を持たせるか、社会に金を持たせるかの選択なんでしょう。

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