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2009年9月21日 (月)

易経勝手解釈(一)ー山天大畜

【敬老の日】
陰暦 九月三日

 四書五経のうち、四書は一通り読んだので五経に取りかかっています。春秋左氏伝は面白く読めました。詩経はさっぱり分からないので積ん読状態です。これは音読ができないと本来の意味は分からないのではないかと思います。

 それで、易経を読んでいます。易経は西周から春秋にかけて成立した書物なので、漢字の使い方が秦漢以降とは異なっており、何が何だか分からない判じ物のような解釈が広まっています。こういうときは白川静先生だ、ということで字統を片手に読んでいます。

 古代文明というのは深遠な思想も卑近な実物に当てはめてうまく象徴させて説きます。これに関しては洋の東西を問いません。ざっと易経を読んだ感じ、これはおそらく西周の「ものづくし」、古代の「百科事典」なのではないかという感想を持ちました。万物を八つの要素の組み合わせで分類し、おのおの当てはめたわけです。

 易経が成立した時点では、陰陽の動きとかはあんまり関係はなかったと思います。春秋左氏伝にでてくる易占の例でも陰陽のややこしい解釈はでてきません。易経の爻辞はあくまで物に即して理解するべきではないでしょうか。

 といっても何の学問的根拠もない我流の解釈なので、只の読み物だと思って楽しんでください。あくまで遊びです。

 山天大畜という卦がある。


この卦は乾天

の上に艮山


が乗っかっている象(形)をしていて、智慧や財産、外部への発展性を現すとされている。

 例の如く「易経」の伝統的解釈では、乾天が進もうとしているのを艮山が留めていて勢いが溜まっているからと、陰陽から説こうとするのだが、古代文明はそのような解析的発想は取らないと信じる私はこの説明は採用しない。

 ではなぜこの卦を「大畜」と呼び習わすのかの説明が象の解説にある。

 象に曰く、天山の中にあるは大畜なり、君子もって多く前言往行を識りて、もってその徳を蓄ふ。

【現代語訳】天が山の中にあるのを大畜という。君子(儒教では人格の完成された人のことをいうが、易経ができた頃は紳士というくらいの意味だった)はそこから多くの昔の人の知恵や参考とするべき行いを知って、人格を成長させる(あるいはもっと直接的に「財産を蓄える」という意味かもしれない)

 普通天が山の中にあるとは、天を衝くほど高い山のことだと解釈するが、古代人の描写というのは写実的であるので、これは文字通り天が山の中にあるという意味だろう。といっても一つの山の中に天があると考えていたら何が何だか分からなくなって当然。これはおそらく見渡す限り360度、山に囲まれている土地のことをいっているのだと考えられる。

 山でいっぱいの土地では「天が山の中にある」というよりは「天が山に載っかっている」というイメージになるので、これは平らな広い盆地があって、その周りを高い山脈が取り込んでいるイメージであろう。

 しかし日本の盆地のように小さなものではあるまい。天がすっぽり入るというくらいなのだからかなり巨大な盆地だろう。ここで易経が支那大陸の東の商ではなくて西側の周で生まれた思想書であることを思い出してもらいたい。周自身も盆地を根拠地としていたが、これはおそらくもっと西の西域のことを指しているのではないだろうか。

 つまりこれは南はコンロン山脈、北は天山山脈に囲まれたタクラマカン盆地のオアシス国家群のことでは無かろうか。

 種明かしをすると、山天大畜の爻辞はおそらくメソポタミアから伝わった星座のことを意味している。周には羌や狄を通して西域の文明が入ってきた形跡がある。彩色土器には明らかにメソポタミアの影響が見られるし、天を崇める思想や、歳星(木星)を重視する思想もメソポタミアの影響である。また周の王侯貴族にはペルシャからインド北部にかけての地域からやって来たインド・ヨーロッパ語族が交じっていた可能性がある。太公望が封じられた斉の首都のリンシの最も古い地層からは、コーカソイドの骨が出土している。古代支那には金髪碧眼の人物がたまに出てくる。文王や武王はかなり背が高かったらしいし、君子は顔が長くて龍のよう、という言い伝えもある。

 さて大畜の冒頭の説明には

 大畜は貞って(うらなって)利あり、家食せずして吉なり、大川を渡るに利あり

 とある。普通は貞して利あり(正しく振る舞っていれば利益がある)と読むのであるが、易経にでてくる貞は全て占いという意味ではないかと私は考えているのでこう読んだ。

 家食せずというのは、農業や機織りをしないで、宮仕えをせよという意味で、転じて閉じこもっていないで大いに外部と交流しなさいと言う意味だとされる。けれども従来の解釈をしていては、なぜ山と天で社交性につながるのか理解ができない。

 山天とは則ち西域のオアシス国家であるとすると、彼等がもたらす西洋の智慧、メソポタミア・ペルシャ・インドの珍しい文物をもたらす交易が連想されるだろう。ここで山・天・知識・富そして外の世界との交流がつながるのである。これに隊商が連れてくる家畜を加えてもいいだろう。

 それでは明日以降爻辞を星座と結びつけて説明していこうと思う。

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