憲法違反です
陰暦 八月朔日 【八朔】
立法権は日本国憲法によって国会議員に保障された権利です。法案の提出権も当然含まれます。政党の本部の通達で縛ることができるものではありません。
これは明白な憲法違反です。
国会と政府は憲法上は対等です。自民党の政府と国会の間には緊張感があり、たまに自民党によって政府がたおされることもありましたが、これは則ち憲法が期待する国会による政府の監視機能が発揮されたと見なすべきです。
いくら与党から出た内閣であっても、国民の代表である代議士の総意を無視して政治を行ってはならないからです。
国会議員一人一人の立法権(法案提出権を含む)は憲法によって保障されています。これはいくら総理大臣が命令しても奪えるものではありません。それどころか天皇陛下だって奪うことはできません。法律で議員立法を禁止したとしても、その法律自体が憲法違反ですので国会議員はその法律を守る必要はありません。
国会議員を法案の賛否のボタンを押すだけのロボットにするつもりなのでしょうか。
憲法外の機関である党を使って、行政と立法を支配する手法は、ボリシェビキとナチスと中国共産党が国政を壟断したときに使ったやり口です。とうとう馬脚を顕しました。
おそらく鳩山氏と小沢氏の間の権力闘争の一環で民主党はことの深刻さに気がついていないのでしょうが、権力闘争では済まされない重大さを秘めています。
それに民主党には法案を作る能力はありませんので、結局は有司専制を強める結果に終わるでしょう。次官の記者会見の廃止といい、官僚の権限を強めることばかり実行しています。看板であったはずの官僚いじめすら嘘であったとは。
内閣の方針が全てそのまま通ることは政府の効率化でも何でもありません。ただの専制政治です。政府だって間違えることもあるわけですから、国会で承認されるまでに時間がかかるのは当然です。また、国会議員は議員立法という形で、自らの政策の実行を政府に要求する権利を持ちます。
国会議員は国会の中での発言を外で責任に問われない権利もまた日本国憲法の認めるところです。これは則ち、国会の中では代議士が従うべきは個人の良心だけであることを意味します。
まだ政権発足から一週間もたっていませんが、これまでに新政権は二つの重大な発言をしています。
亀井金融相が徳政令の示唆をしました。
仮にも経済通を自認する人はこれに対して反対しないと曲学阿世の徒であることを承認したことになります。徳政令に対してどういう反応をするかで、世の経済通と呼ばれる人たちの素質を判定できるでしょう。
そして議員立法権の剥奪です。
言論の自由を常日頃から言っているマスコミはこれに対して反対しなければ、彼等の存在は嘘になります。これは全マスコミが総力を挙げて倒閣に動いても良いくらい重大な越権行為です。天皇機関説やウォーターゲート事件よりも重大な事件です。
経済対策以前の問題です。
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■民主、議員立法を原則禁止 全国会議員に通知―諸刃の剣(もろはのつるぎ)の措置となるか?
こんにちは。議員立法は、確かにマイナスの側面もありましたが、それを補って余りあるほどのプラスの面もありました。しかし、この原則禁止は、民主党にとって諸刃の剣となると思います。確かに党内の結束を固めることにはなるかもしれませんが、党内での各々の議員の政治信条にあまりの隔たりがあるため、党分裂を加速する方向に動くと考えられます。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
投稿: yutakarlson | 2009年9月20日 (日) 11時17分
yutakarisonさん、初めまして
いつまでも人の口に戸を立ててはいられませんからね。おっしゃるように早晩民主党内で不満が高まるかもしれません。
議員立法ができない、しかも党内の政調や税調は廃止してしまいました。となると、自分の政策を盛り込んでもらおうと政府に党員が殺到します。国会議員は政策は空っぽでも、民主党の党員には政策を持っている人が多いですからね。
さらに官僚の意見もあるわけで、果たして三ヶ月かそこらで統一した政策を作ることができるのでしょうか。
党政調を廃止してしまった以上、党員は政策を直接官僚に持っていかざるを得ないわけで党員と官僚が直接につきあうようになると、おそらく党員の方が官僚に取り込まれると思います。本当にそれでいいのでしょうか。
そのうち民主党のマニュフェストも官僚が作るようになるかもしれません。それでは自民党と一緒で、まあ私としては安心ですが、国民は騙されたことになります。
党員の意見は政調としてまとめて、行政の意見は内閣としてまとめ、両者を戦わせて落着点を探す手法の方が、回り道のようでいて一番合理的だと私は思っています。
また、官僚に政策を作らせるのは、彼等に行政の責任を分担させる方法でもあります。全部政党が作って命じることになると、失敗は全て政党の責任となります。なかなか立派な態度だとは思いますが。
どっちにしろ無い袖は振れませんので、細かい政策一つ一つについて、官僚が民主党に対して論難していくということになると思います、このような際限のない細部の論争にはりこむと、まとまるものもまとまらなくなるのではないでしょうか。
二言目には民間企業を持ち出す民主党とスター知事ですが、民間企業だって現場の意向を無視して全て取締役会で決めようなんてしやしませんよ。それこそ非効率的です。
細かい部隊の配置にすら口を出して現場を混乱させたヒトラーを思い出しました(笑)
投稿: べっちゃん | 2009年9月20日 (日) 11時54分