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2009年9月22日 (火)

易経勝手解釈(二)ー山天大畜爻辞

陰暦 八月四日 【大土】

 山天大畜の細かい内容の説明です。見ての通り、卦というのは六つの陰陽が重なってできていて、その一つ一つに意味があります。ですので占うときには、ま ず筮竹を二回(正式なやり方の時は十八回)振って卦を決めたあとで、もう一度筮竹を振って、六つの爻の内どれに当たるのかを占います。

 最初に結論を書いた方が分かり易いので、私なりの解釈を載せておきます。爻辞とは易経の説明です。

爻辞
支那
西洋
日本神話
上九 天を通る衢(ちまた、交差点)が通過できる 昴(すばる) 牡牛座プレアデス星団 すばる、天の八衢
六五 猪の牙 畢宿(あめふりぼし) 牡牛座の両角と頭(アルデバラン) 猿田彦の両目と長鼻
六四 仔牛を押さえる角木 参宿(からすきぼし)? オリオン座 天宇受売命(あめのうずめのみこと)
九三 人夫が輿を囲んで(主人を)守る 五車 馭者座 天照皇大神と素戔嗚尊の警約(うけひ)によって生まれた八神?
九二 人夫が輿の横紐を解く 井宿(ちちりぼし) 双子座(カストル、ボルックス) 海幸彦(銀星)、山幸彦(金星)
初九 悪霊がいるので前へ進めない、動かない方が良い 天狼 大犬座のシリウス 猿田彦に留められている神武天皇

 本来とは逆に一番上の上の上九から行きます。易経の爻辞には天を通る衢(ちまた・交差点)とあります。天の八衢(あめのやちまた)とは日本では昴のことを言います。星がいっぱい集まっているのが雑踏のように見えるからです。ギリシャ神話でもこれをゼウスにさらわれたフェニキアの乙女たち(プレアデス姉妹)としています。昴を人の集まりと見る点では東洋も西洋も同じです。面白いですね。

 六五は猪の牙とあります。星空散歩が好きな人はすぐにピンと来るはずです。昴のすぐ下に伸びている牡牛座の大きな角が目に浮かぶことでしょう。角の先を目、角の根元の赤色のアルデバランを長い鼻の先と見立てて、これを天狗、もしくは猿田彦(天狗のように長い角を持っている智慧の神様、天の八衢まで来た神武天皇を通せんぼする)に当てはめる説があります。これは私の想像じゃなくて学者さんが言っていたことです。

 六四は仔牛を押さえる角木とあります。これが何を意味するのか一番ハッキリしないのですが、オリオン座が牛の頭に見えないこともないので、オリオン座のベテルギウスではないかと思います。日本神話では、神武天皇が猿田彦に通せんぼされたときに、天宇受売命(あめのうずめのみこと、天照皇大神が天の岩戸に隠れたときに踊った女神)がやっぱり踊って猿田彦の心を和らげて(誘惑して?)、神武天皇を通してもらったという話があり、オリオン座はまさしく踊る人間に見えるのでこれはオリオン座と天宇受売命でしょう。

 九三には輿を囲む人夫とあります。冬の空で何かを囲むように並ぶ星というと馭者座です。五つの同じくらいの明るさを持った粒のそろった一等星と二等星が五角形に並んでいます。支那ではこれを五車と呼びます。車輪に似ているからです。面白いことにギリシャ神話でもこの星座は四輪馬車を発明したエリクトニウスとされています。やはり五角形を車輪に見立てたからでしょう。日本神話で何に当たるのかは今のところ分かりません。馭者座は大きな五角形と小さな三角形の組み合わせですので、天照皇大神と素戔嗚尊の警約(うけひ)によって生まれた八神(男神が五柱、女神が三柱)かもしれません。

 九二は人夫が輿の横紐をとくとあります。輿というのは井桁の形に木を組んで、真ん中の四角部分に座る場所を設けて人を運ぶ乗り物です。御神輿と構造は同じです。間違いなく双子座でしょう。支那の二十八宿でもこれは井戸とされています。横紐とは輿の木の先頭に通して結ぶ紐のことですが、おそらく双子座の兄弟星を指しているのだと思います。

 日本神話で兄弟と言えば、海幸彦山幸彦です。お兄さん星は青色の海幸彦、弟星は黄色の山幸彦でしょう。双子座の兄弟星を海幸彦山幸彦と呼んだ記録はありません(兄弟星とは日本でも呼ぶことがあります)。西洋でも東洋でも一等星の青白い星をお兄さん星とし、二等星の黄色い星を弟星と呼んでいるのは変わりません、日本神話でも海幸彦がお兄さんで、山幸彦が弟です。青ー海、黄ー火(山幸彦は炎の神様)、という連想もそう無理はないでしょう。

 そして初九は悪霊に遮られて前進できないとあります。これだけは形を表していないのでどれを指すのかはハッキリ分かりません。日本神話では明白でして、猿田彦に遮られた神武天皇となります。冬の星空を飾る一等星の中でまだ残っているのはオリオン座のベテルギウスと子犬座のプロキオンと大犬座のシリウスですが、やはりこれは地球から見ることができる一番明るい恒星のシリウスと考えるべきではないでしょうか。

 シリウスを神聖視したのは古代エジプト文明です。シリウスが夜明けともに上るのを待って新年としました。ナイル川の氾濫を伝える星ともされました。シリウスが日本神話と易経で「遮られて前に進めない星」とされているのは、シリウスがあまり高い場所まで上ることがないからだと思います。また天で一番明るい星を神武天皇(神倭伊波礼琵古命、かむやまとのいわれびこのみこと)に当てはめるのはあながち無理な想像ではないと思います。一番明るいですし、新年の頃に天高く上りますので、初代の天皇というイメージにぴったりです。

 シリウスのことを支那では「天狼」(天のオオカミ)と呼びます。「良」という旁(つくり)には「うろつく、行ったり来たりする」という意味があります。浪人、波浪(波は水際を行ったり来たりする)、郎党(主人の屋敷に滞在する家来)などです。狼も縄張りを監視したり、獲物を付け狙ったりするときに身体を低くしてうろうろしますので、獣偏に良が付いたのでしょう。

 なぜシリウスが天狼と呼ばれたかというと、ひときは明るく光る星である割りには、あまり天高くは上らないからです。南極寿星(カノープス)ほどは低くはなく、山や木に隠れることはなく、北半球ならどこでも見られますが、空の真ん中あたりをうろうろ動いているように見えます。シリウスは古い英語でも「ドッグ・スター」と呼ばれています。おおいぬ座(おそらく狼)もそうですね。シリウスには「うろうろする」という意味が世界中でつきまとっているのです。

 冬の六角形の星々は一際明るく、その美しさに感動した古代人は、東洋でも西洋でも想像の翼をはためかせて雄大な神話と結びつけようとしました。古代人のどこまでも深く広がる想像力に感銘を覚えます。

 ついでにいうとベテルギウスはおそらく八咫烏(やたがらす・太陽の象徴)に当たるのではないかと思います。八咫烏はなぜ三本足なのか

 またシリウスのもっと南に見える竜骨座のカノープス(支那では南極寿星)はやはり神武天皇を道案内した海の神の椎根津彦(しいねつひこ)に当たるのではないかと思うのですが、海人系神話と星座の関係についてはまた項を改めようと思います。夜の海で頼りになるのは星だけですので、船乗りと星というのは縁が深いのです。

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