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2009年9月12日 (土)

下世話な話にしないと理解できない人たち

陰暦 七月二十四日 【旧地蔵盆】【下弦】

 従来型の派閥の綱引きで決まろうとしている民主党政権の閣僚人事や政策決定を、マスコミが嬉々として報じています。民主党は何事も政策スタッフが立案して、トップが決めるのだ、と言う姿勢を表向きは取っていますが、内実は数多くいる派閥のボスが、密室で会合したり、メディアを使って観測気球を上げて周囲の反応を見たりして決めていることは政治オタクの間では有名な話です。第一党になって隠しようがなくなってきましたので、やがて国民も民主党の運営がいかに古い自民党と同じであるか知ることになるでしょう。

 マスコミがこの数年というもの異様に自民党を攻撃してきたもう一つの理由は、自民党が小泉政権以来脱却しようとしてきた利害調整型政策決定や福祉国家と新自由主義という二つの国家像の対立を理解していなかったのもあると思います。

 派閥のボスが話し合って物事が決まるのであれば、日頃からそのボスと仲良くしている記者だけが、ニュースの核心に迫れることになります。派閥のボスに張り付いて、やれ○○と会合を持っただとか、思わせぶりな発言をしただとか、こういう記者でしか知り得ない情報が政界を動かしていた間は、従来型のマスコミ取材は機能しました。

 しかし自民党はそれから脱却しようとし、総裁選で大々的にメディアを使って政策を国民に広く知らせ、オープンな総裁選で決まった方針に党は従う、という態勢を作ろうとしました。そして、人事は総裁一任にして、ボスどもの関与する余地を減らしました。これでは記者たちの出る幕はありません。

 また、経済や年金に対する報道を見るに、マスコミは福祉国家も新自由主義もどっちも正しく理解していないことは明らかです。これでは社説を使っての政治家の善導?もできません。自民党の議員やスタッフが、政策が世の中に与えるメリットデメリットを真剣に議論しているのに、マスコミは未だボスどもの個性で政策を理解しようとしてきました。

 だから政治家の個性と政策の報道がごちゃ混ぜになって訳が分からないことになるのです。ハイソな生活をしている世襲政治家が福祉を真剣に考えていることもいれば、どん底からはい上がってきた庶民的な政治家が、競争こそ全ての新自由主義を提唱することもあるのです。だいたい立志伝中の政治家は貧乏なので大抵スポンサーが付いているものです。庶民派ほど実はお金持ちの代弁者である可能性は高いんですよ。

 ただし自民党もそれを逆手にとって、イメージ戦略とするというやり方もあったかもしれません。貧乏そうな政治家に福祉政策を提唱させれば、もう少し国民の理解もスムーズに進んだかもしれません。

 結局は新しい動きに付いていけず、自分が世の中からおいてけぼりを食ったように感じて、自分に分からないことは悪いことだとばかり自民党を引きずり下ろして、自分と同水準の民主党が第一党になって、従来型のゴタゴタを繰り広げるのを報道できて、自分の存在価値が再確認できてやれやれ、というのがマスコミ内部の人たちの正直な気持ちでしょう。

 今回の総裁選も、マスコミは世代対決ということにしたいようですが、やはりこれも福祉国家派と新自由主義派の対決です。まあ政策の内容から来る若干の世代の偏りはあると思いますが。

 それとも福祉国家政策をどうしても潰したいので、なんとしても福祉国家をロートル集団の世迷い言というレッテルを付けて葬り去るつもりなのでしょうか?

 マスコミの大多数は、世の中からの疎外感に焦って暴走しているのだと私は思うのですが、その中のごく少数は確信犯的に福祉国家が争点となることすら慎重に避けて、政治家の世代対決とか、バー通いだ漢字を読み間違っただという政治家の個性を攻撃することで葬り去ろうとしている、そんな気がします。

 やはりそれは間接税主体の税制度にすることで負担が増えそうな中間搾取的な業界、保険料負担が増えることを避けたい大企業、累進課税の強化に怯えるお金持ち、国内の投資先がないデフレが続くことが生命線の外国投資のブローカー、老後の不安がなくなると商売あがったりになる保険業界といったところだと思います。その人たちの中でものが分かっている人たちが動いているのでしょう。

 また、社民党や労働組合などは、党是であるはずの福祉国家を葬ることに加担しているわけですが、これら左翼がどこまで自覚してやっているのかは興味の湧くところです。

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コメント

 自分は社民党や労働組合(中央執行委員会)はむしろ「福祉国家」を潰したいのではないかと疑っていますね。
 民主党を支持するメディアや知識人が、民主党は「小さな政府」で「大きな福祉」を目指せという言説が多いことに不思議がというか疑念と言ったらいいのか、これって新保守主義(ネオ・コンサバティブ)ですよね。
 そもそも一般層~貧乏人自身が再分配を否定することも多い=「国の借金が大きい」「次世代へツケを廻す」で思考停止(再分配否定)することへ誘導することも多いわけですから。

 日本ではネオコンは軍拡派のようにみなされていますが、彼等が行った軍隊の再編成でNATO軍は弱体化し、彼等の現実を無視したアフガンやイラクの作戦のせいで、NATO軍はボロボロの状態です。

 ネオコンって、「小さな政府で大きな福祉」を提唱することで、軍事費を削り、さらに理想的外交によって国家を戦争に追いやることにより、間接的に西側諸国の軍事力を弱体化させることを目指しているのではないかと疑いたくなります。

 だとすると、社民党や労組がネオコンを採用したのは首是できるところです。

 こういう考え方をするのは支那人じゃありませんね、ロシア人だと思います。ネオコンとはロシアのカウンターパンチなんじゃないでしょうか。それを人民解放軍の「非対称戦」思想が側面支援しているんじゃないかなあ。

 減税で大いに得をするのはお金持ちや企業ですし、増税で大損をこくのもまた大金持ちや企業です。

 増税で政府の財力が強化されれば、福祉の給付とか公共事業という形で庶民はむしろ得をします。

 しかしマスコミや野党(もうすぐ与党になりますが)は、この増税のメリットから国民の目をそらさせることにより、資本家の利益を図っています。

 増税が伴わない限り、政府の再分配機能は強化されませんから、庶民は別の形で損をするはずです。それは公共事業の縮小による雇用の縮小や地方自治の拡大という名の下の行政サービス劣化となって現れるでしょう。

 子育て手当といったって、一番金がかかるのは高校・大学に行くときですから、もらった家庭は貯蓄に回すはずです。そうすると銀行にまた金が滞留して、国内はデフレとなるでしょう。国が税金をせっせと死に金とするようなもんです。海外投資は拡大するでしょうね。日本国内を不況にしてまで外国に投資する必要があるんでしょうかねえ。

 今回自民党と公明党が負けてしまったのは、彼等が所得再配分を唱える本格的な左翼政党になってしまったことに対する、資本家たちの恐怖によるものだったりして(笑)

 今回の民主党政権の成立は革新じゃなくて保守反動だと思うんですよね。

 今回の「政権交代」におけるメディアや知識人の言動・行動・手段は、とても民主主義的なものでは無いのも、「革新」に見せかけて本来国民が目にする利益からそらさせることでしかありませんでした。
 海上自衛隊から陸上自衛隊によるアフガン支援は、ネオコン的思考からすれば当然のものでしかないのでしょうけど、犠牲は酷いもとなりそうですね。「理想的外交による」って、戦前の「五族協和」「八紘一宇」を唱えたのも「友愛(ユニテリアン)」だったように記憶しているのですけど(間違ってたらすみません)、また繰り返すんでしょうか。
>国が税金をせっせと死に金とするようなもんです。
 きちんと消費に回るための制限、前回の給付金に期限や地域制限があった理由を考えれば分りそうなものですよね。
>海外投資は拡大するでしょうね。
 排出権取引は、商社と金融・保険業界が本当に熱心ですね。
>日本国内を不況にしてまで外国に投資する必要があるんでしょうかねえ。
 現在のGDPの内需依存率を下げたいとしか考えられません。

 日本の民主党とか、米国のネオコンとか、英国の高級経済誌に浸透して世界の経済論壇を牛耳っている新自由主義派とか、彼等が表浮き提唱している目標からするとやっていることは失敗続きで、支離滅裂のように見えますけれど、金融機関、それもノンバンクを繁栄させるため、という一点では一致しています。

 銀行はむしろ被害者でしょうね。需要不足の先進国で、銀行を預金漬けのフォアグラにして、預金金利で潰れそうなところをノンバンクが乗っ取るという作戦です。

 彼等の行っていること、やっていることは何が何だか分かりませんが、なぜか最後はノンバンクに金が流れるようになっています。良くできています。感心しますね。

 そんな彼等にとって、政府がお金を運用する財政投融資とか福祉は絶対に許すことができないのでしょう。

 だから民主党は郵政事業の民営化をさっさと推進したいはずなんですよ。民主党にとっては社民党よりも国民新党の方が邪魔なんじゃないかと思います。

 排出権取引は、国民新党のせいで財政投融資の民営化ができそうにないので、その代償でしょう。

 なんでそこまでノンバンクが金を集めることに躍起になっているかというと、金融商品のほとんどがインチキで元本割れしているんでしょう。今回のバブルが崩壊するずっと前からそうなんだと思います。


 社民党が環境大臣を望んだのは、温室効果ガス抑制政策で企業をいじめられると思ったからでしょう。現状では少子化担当大臣が回ってきそうな様子ですが、これで少しは福祉について社民党が認識を改めてくれればいいのですが。


 以上のことから、環境大臣と金融担当大臣が誰になるかは注目点でしょう。この二つがノンバンクに貢ぐことが指名の民主党政権の最重要ポストになるはずです。

 厚生労働大臣は次の政権では目眩ましですから、多分テレビ受けをする人を持ってきて、毎日カメラの前でわめかせればいいくらいに思っていることでしょう。

円急騰!

なんと、民主・藤井財務相は円高容認、円売り介入をきっぱり否定しました。
麻生内閣与謝野財務相と全く反対の事をいいました。

今の時点で円高に誘導か?
早すぎです。
駄目だ、こりゃ……。

 政権につくまでは間抜けなことを言っていてもご愛敬で済ましてくれましたが、これからはそうはいきません。

 大臣の何気ない一言で外為相場が一円上下しただけで首をつる人が実際でるわけですからね。

 民主党には己にかかった責任の重さをじっくりとかみしめてほしいです。

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