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2009年10月25日 (日)

無策無能

陰暦 九月八日

 新政権の性質がだいたい見えてきました。

 実務能力はないしスケジュール勘もないようです。無駄の洗い出しも、予算編成のスケジュールに追われて竜頭蛇尾に終わり、最後は予算の大枠に従ってなたで切り落とすように縮小するほかなくなるでしょう。日本政府の支出に無駄はほとんどありませんので切り落とされるのはマニュフェスト項目です。

 事業としての無駄はほとんどありません、あるとしたら管理職の給料が高いとか、施設の調度品が高いとかその程度の話で、全体で総合しても百億にもならないだろうと思います。閣僚も民主党議員も自分が信じていたことが空中楼閣であったことを知り、虚脱感に襲われることでしょう。だいたい私の予想通りです。

 既に徴候は出ていますが、後はマスコミに揚げ足を取られないように、世論調査の後を追って、あっちにフラフラ、こっちにフラフラと漂うだけです。なんの方針も見通しもありません。

 しかし河村名古屋市長は、「何もやっていない」と新聞に指摘されているにもかかわらず、何もやっていないが故にどこからも激烈な非難の声も上がらず、まだ支持率は高い状態です。これが国政でも続くかもしれません。「何もしていないではないか」といわれるたびに、不景気やら官僚やら米国やらを理由にし、言い逃れをするのが内閣のお仕事となることでしょう。

 小沢氏は党内で独裁体制を築き上げましたが、これまた何もしていません。ナチスや中国共産党張りの党と政府の一体化を目指していたようですが、新聞や自民党と社民党の強硬な反対で竜頭蛇尾に終わりそうな気配です。国会改革の法案作りをシンクタンクに任せるとか、野党が質問をしやすくするとか、既に逃げ腰です。

 この人調整能力がありません。強権を装っているのは、意見調整をするのが面倒臭いからです。強硬姿勢で反論が上がると、これまた調整をしなければならないので面倒臭くなって急にボトムアップに切り替えます。それも面倒臭くなれば投げ出します。これを繰り返しています。今回もそうなりつつあります(だから自民党や社民党は、小沢氏がヒステリーを起こさない程度に、横槍とか要望を次々と小出しにして、彼にストレスをかけ続ける戦法が時間はかかりますが一番有効です)。

 小沢体制といったところで圧力団体の意向を政府に取り次ぐだけです。政調がなくなった分だけ自民党時代よりも政党と圧力団体の関係が不透明になりました。政治改革という意味ではむしろ後退しています。まだ政権が交代したばかりで本格化はしていませんが、いずれ小沢氏とその周辺に向けて企業や圧力団体から金が流れて、小沢氏個人の意向で党が動く体制が汚職の温床となることは目に見えています。小沢氏にそのつもりがあろうがなかろうが、大勢で議論する場を排除すれば、金が有力者に集まることは必然です。

 こうして民主党は財務省から財政が破綻しない程度の捨て扶持(二兆円くらいですかね)を与えられて、それでマニュフェスト実現ごっこを行って命脈を保ち、それ以外は全て官僚の言うがままになることでしょう。今さら自民党と同じ官僚操縦術には戻れません。官僚のような組織は総枠でコントロールした方がやりやすいのですが・・・細部の議論をやらせれば国会議員など官僚にとっては赤子の手をひねるようなものでしょう。

 外交に関しては見るべき物が多かった小泉政権ですが、内政に関しては実は民主党政権に似て何もしていませんでした。小泉さんは世論調査を読む天分を持っていましたので、果敢に自分から働きかけて世論調査では小さい芽だった動きを育てて自分のやりたいように物事を進めることができました(郵政民営化とか靖國神社問題とか、この二つは一見華やかだけれど、実際は大勢にさほど影響を与えないため、見た目の抵抗が激しい反面、圧力団体の間で決着がつけやすい)。

 しかし民主党には世論調査を動かす力はありません。尻について行っているだけです。マスコミ自身も今後どのように世論を導くべきか方針が定まっていません。おそらく定まることはないでしょう。なぜかというと、どうしたって負担増に話を持っていくしかないからです。言い出しっぺは麻生さんのように嫌われます。人から嫌われることを極度に恐れる民主党やマスコミのような組織に負担増を切り出す勇気はありません。四年後は消費税を上げるとか言っていますが、それも怪しい物です。

 今閣僚が仄めかしている扶養控除の廃止や法人税の引き上げもいずれ立ち消えになります。なぜかというと、子供手当で潤うのは数百万人に過ぎないのに対して、増税によって負担が増える人間は数千万人に及ぶからです。財務省は一時の景気対策としての赤字国債の大増刷は認めても、増税とセットでない福祉の拡大は決して認めないはずです。増税なしの子供手当はあり得ないでしょう。となると、民主党は子供手当を諦めて、増税もしないという道を選択せざるを得なくなるでしょう。

 アジア共同体とやらにしたって、各国が総論賛成各論反対で、今の日本にはアジアにばらまく金がありませんのでリーダーシップも取れず、じゃあAPECと何が違うの?ということになり、これまた竜頭蛇尾でしょう。

 このようにして、景気対策もできない、ばらまきもできない、財政再建もできない、外交も手詰まり、待っているのはジリ貧だけです。

 麻生政権には、三年間の果敢な財政出動の後で、増税と福祉の拡充を行うという見通しもありましたが、民主党には何もありません、無駄の排除といってもただの調達部門の節約ですので国家の改革といえるほどの物ではありません。自民党以上に保守的な政権です。

 いや、保守というよりこれはもはや退嬰ですね。

 しかしこれこそが民意なのかもしれません。増税で政府サービスの拡充をするくらいなら、道路に穴があき、医者や介護士が過労でぶっ倒れても、何もしないでじっと萎縮している方が良い、もう新しいことは何もしたくない、一億総引き籠もり状態なのかもしれません。

 まあそのうちそんなこともいっていられないほど日本を含めた先進国の経済は悪化して、W字回復どころか下向きの三次関数になると思いますので、その時になって日本人の性質としてレミングの大行進が始まると思います。これが国を立て直す方向へ進むのか、崖からのダイビングになるのかは神のみぞ知るです。

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