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2009年10月14日 (水)

北信越旅行記(三)

陰暦 八月二十六日 【鉄道の日】

 根知駅から一時間ほどでJR西日本と東日本の境界駅の小谷駅に到着。朝飯がまだだったので駅横の土産屋で軽食を買い腹ごしらえをしました。


東日本側は電化区間、西日本側は非電化区間です。ですので電車とディーゼル車が並んでいます。

 そこからさらに一時間ほどで少し広めの盆地に出ます。大町市です。大町は信濃の産物と越後の産物の輸送の中継点として栄えました。一番重要な輸送品だったのが塩です。日本には岩塩がありませんので塩は海水から作るしかありません。内陸国の信濃は、越後や駿河に塩を依存していました。

 北条に塩を止められて困った武田信玄に上杉謙信が塩を送った義塩の伝説は有名ですね(史実としては確認できないそうです)。

 そのようなわけで、大町にはかつての塩問屋を利用した「塩の道博物館」があります。これを見るのがこの旅の第二の目的です。


大町の庄屋で、塩問屋だった平林家の旧宅を利用した塩の道博物館

 近頃昔の日用品を調べるのに凝っています。歴史物の漫画を書いていると、どうしても「どんな家に住んでいたのだろう」「どんな着物を着ていたんだろう」「どんな髪型でどんな髪飾りをしていたのだろう」「どんな食器に何を盛って食べていたのだろう」「子供はどんな玩具で遊んでいたんだろう」というようなつまらないことが気になります。そしてこういうことは教科書や歴史の研究書や小説には全然載っていないのです。こういった地方にある資料館や、郷土史家がまとめた資料を丹念に追っていくくらいしか昔の人のふつうの生活を知る方法はありません。

 ではしばらく江戸の末期から明治にかけての商家の生活を覗いてみてください。
帳場(番台)

 いわゆる会計所です、ここ番台さんが座って支払い帳簿をつけます。昔はつけ払いの方が一般的でしたので(そもそもお金という物があまり出回っていなかったので現金の持ち合わせが少ない、さらに現金をジャラジャラ持ち歩いていると危険)、支払いは帳簿に記録するだけで、集金は月末や季節を区切って行いました。


茶箪笥(ちゃだんす)・・・階段にはめ込んで使います


行李(こうり)・・・普段着をしまっておく


長持(ながもち)・・・旅行の時に着物をしまう


ポッカ(人夫)・・・このようにして荷物を背負って峠を越えました。沿道の農家が小遣い稼ぎでやっていたそうです。


草鞋(わらじ)、かんじき


馬の草鞋

 こういう珍しい物を見るとワクワクします。日本では明治になるまで馬にはほとんど蹄鉄を履かせませんでした。時代劇に登場する馬が思いっきりカチカチ蹄鉄を鳴らしながら疾走していますが、あれは嘘です。本当は草鞋を履いていたのです。

 蹄鉄がなかったので、昔の日本の馬は長時間歩くことはできなかったはずですし、スピードも出なかったはずです。戦争の時も、戦場までは武将も歩行か輿で行き、馬に乗ったのは戦争をするときだけだったはずです。お城から戦場まで武将がずっと馬に乗って移動しているのも嘘だと思います。あるいは馬の爪が傷まないように、替えの馬をたくさん用意して、次々と馬を乗り換えて移動したはずです。ですので、日本で馬に乗って移動ができるというのは相当に身分が高くて財力がある証拠になります。


江戸末期の玩具


二階から中庭を臨む、時代劇の撮影に仕えそうな構図


塩の貯蔵庫

 塩は水を吸いますので、床から少し上げて保存しています。塩から垂れる"にがり"は溝を通して地下の瓶に集められ、お豆腐を作ったり染め物をするときに利用したそうです。

 他にもいろいろと面白い展示物があり、全ては紹介しきれないのが残念です。とても充実した民俗館だったと思います。なにより当時使っていた住居の中で展示されているのが良い。しかも倉庫の展示なんてほとんどありません。大町の人たちにはこれからもこの博物館を大切にしていって欲しいものだと思いました。

 明日は大町で食べた変な料理と長野から鹿渡温泉まで。

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