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2009年11月17日 (火)

易経の言語学的分析

陰暦 十月朔日

 易経の爻辞の言語学的な分析を進めています。白川静先生が甲骨文と金文の分析に使った手法で、難しいことはなく、爻辞ごとにカードにして似たような文体を同じ封筒に収めていくという作業の繰り返しです。

 これまでに10個くらいの卦について作業を終えたのですが、どうやら文体が四つくらいに分類されることが見えてきました。

  • (1)主語と述語だけの2〜3文字のごく短い文体
    • (1亜)韻を踏んでおり詩の一部と思われる文章

  • (2)「于」や「之」を多用する文体、膠着語的な要素が見られる
  • (3)主に4文字の文体で教訓が付随することが多い物、「論語」の前期に似ている
  • (4)5文字以上で、一文の中に主語と述語と目的語と修飾語が入る入れ子構造の文体、「論語」の後期及び戦国期の文章に似ている

 おそらく(1)と(2)が古く、別々の文化が成立に関わっているのだと思います。(1)が周の文化圏の人物による著述で、(2)が東夷の文化圏の人物による著述ではないかと私は推測しています。

 (3)はおそらく(1)と(2)を収集して、宗教の教典として整理した人物による書きくわえであり、孔子本人もしくは初期の儒教教団による著述と推測されます。

 (4)は易経を最終的に現在のような形(六十四卦、各卦に六つの爻辞)にまとめた人物による書きくわえであり、戦国時代でしょう。象辞もこの人物による書きくわえである可能性があります。私は荀子あるいは斉の学派ではないかと推測しています。

 易経を白文で読んでいると、どう見ても他の卦の解説が紛れ込んだとしか思えない錯簡があります。(3)や(4)の著者が駅の開設を整理したときには既に易の原典はかなり混乱した状態にあったのでしょう。竹簡の紐が切れてバラバラに保管されていたのかもしれません。(1)と(2)がない卦もありますので、失われた内容も多かったことが窺われます。あるいは最初は六十四卦ではなかったのかもしれません。これも文体の分布から明らかになると思います。

 同時に吉凶悔咎などの評価の分析も進めています。これにもどうやら体系がありそうです。易経の成立を分析する補助になりそうです。

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