「易経」の成立(2)「原典A」「原典B」
陰暦 十一月十六日
私の考えでは「易経」は文章の順序に混乱はあるものの、商と西周の時代に成立したと考えられる原典の内容をよく保存していると思います。原典への補足は多いですが、文章の削除は非常に少ないのではないかと思います。
「易経」の原文を読めば、テーマ性のある卦の説明と明らかに雑然とした文章の寄せ集めの卦の説明に分かれているのがすぐにわかります。これはかつてきちんとした卦の説明があったのに、戦乱などで失われて仕方がなく別の文章を持ってきて補ったために内容に混乱が生じたのではないでしょう。
おそらく商の時代にできた「易経A」は64の文字が並んだだけでの書物で、これに後世の人物が次々に新しい卦を追加していったために文体や内容に不統一が生じたのだと思います。
「原典A」に掲載されていたと推測される文字
潜 亢 履 括 発 包 困 童 撃 顕
牽 素 夬 休 傾 鳴 撝 盱 由 冥
咸 甘 至 知 敦 闚 白 貫 頻 迷
顛 払 習 黄 浚 振 係 好 嘉 肥
富 癸 惕 允 和 孚 来 商 引 安
苦 得
「原典B」に掲載されていたと推測される文
(1)卦がついているのでほぼ確実
屯其膏 匪其彭 観其生 賁其趾 賁其須
咸其拇 咸其腓 咸其脢 咸其輔 復自道
履虎尾 隨有獲 観我生 噬腊肉 噬乾胏
噬乾肉 鼎顛趾 鼎有實 鼎耳革 鼎折足
鼎玉鉉 震來厲 震蘇蘇 震遂泥 震索索
艮其趾 艮其腓 艮其限 艮其身 艮其輔
豊其蔀 豊其沛 豊其屋 旅瑣瑣 旅即次
渙其躬 渙其羣 渙其血
(2)(1)と文体が似ているので「原典B」である可能性が高い
乗其墉 執其隨 闚其戸 懐其資 過其祖
遇其妣 遇其臣 曳其輪 濡其尾 濡其首
(3)三文字ひとかたまりの文体
輿説輻 眇能視 跛能履 拔茅茹 弗克攻
官有渝 係小子 係丈夫 拘係之 億喪貝
視矍矍 言有序 跛能履 眇能視 去逖出
月幾望 馬匹亡
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