増税は評価できるが・・・
陰暦 十一月七日 【冬至】
政府の税制改正大綱が発表されました。税金についてはずっと注目していたテーマですので触れておきます。
増税を行うことは評価できると思います。結局、予算全体で見ると1兆円弱増税し、公共事業費を1兆円強減らし、2.3兆円子供手当に向ける内容になっています。
各種アンケートでは、子供手当を過半数の人が「貯金する」と答えていますので、日本経済全体としては
何もしなかった場合
政府から企業に1兆円公共事業費が所得移転する
民主党予算の場合
増税(−1兆円)子供手当(+2.3兆円)=1.3兆円
政府から家計に1.3兆円所得が移転する、
そして、子供の手当の半額(1.1兆円)が貯金されるとなると、
1.3−1.1=0.2兆円
日本経済に流れるのは0.2兆円だけということになります。
不況なので、銀行の預金が1.1兆円増えてもそれは投資には回らないからです。
結局、何もしなかった場合と比べて0.8兆円分経済活動が縮小します。ただし貯金が増えたことによって、子育て世帯の財布は多少緩むでしょうから、経済活動の縮小は0.5兆円程度かもしれません。
しかし経済波及効果は公共事業の方が大きいはずですので、実際にはもっと経済活動が縮小するでしょう。また、地方は子供が少ないですから、地方経済の縮小は大変なことになります。
公共事業費として政府から企業に流れたお金は、給与という形で家計も潤します。民主党予算では、政府から家計に流れるお金は増えますが、政府から企業に流 れるお金は減りますので、日本全体としてはお金の量が減ります。これはデフレ政策ですので先の「デフレ宣言」とは矛盾します。
歳出規模が95兆円になったとしても、これは緊縮予算であり(今年度の歳出規模は100兆円)、平成21年度第二次補正予算は、消費の振興よりも雇用を維持することに主眼が置かれていますので、第1次補正予算ほど経済振興の効果はありません。おそらく来年度の経済成長率はマイナスになるのではないでしょうか?とくに地方にとっては苦しい一年になりそうです。
経済活動が1兆円以上縮小しますので、所得税と法人税は減ります。子育て世代の消費拡大による消費税の税収増はあるでしょうが、これは公共事業で潤っていた産業で働く人の給与減による消費減とバーターの関係になります。増税したつもりが、もしかして今年度と比べて税収は減るのではないでしょうか?
やはり支給額の半分が貯蓄に回ってしまうような、非常に経済効率の悪い補助金にこだわることに問題があると思います。
増税は評価できますので、普天間と子供手当さえ放棄すれば民主党もそこそこいい政治をやっていると言うことになりそうなのですが、この二つが全てを台無しにして余りがあると思います。
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