「易経」の成立
陰暦 十一月十五日
五経の一つである「易経」の編纂過程について文体から分析を続けてきましたが、概要がつかめました。
「原易経」「原典A」
- 占断を表す64個の文字が並んだ書物
- 占いの本ではなく辞書だった可能性あり
- 古くて手がかりが少なすぎるので著者不明
「商易経」
- 「原易経」を4象X4象=16卦、4爻の合計64爻辞に再編成
- 占い、呪術のテキスト「原典B」から9卦、5爻の合計45爻辞を追加
- さらに「原易経」を増補し、5象X5象=25卦、5爻の合計125爻辞に再編成
- 5進法になっているのは十干の思想の影響?
- おそらく商の暦官が著者
「西周易経」
- 「商易経」を「原典C」(「詩経」に近い書物)で増補し6象X6象=36卦、6爻の合計216爻辞に再編成
- 「原典A」と「原典B」の原意が一部わからなくなってきている
- 上卦と下卦の概念が発生
- 殷周革命期の歴史や風習の記録が含まれている
- おそらく西周の史官が著者
「春秋易経」「戦国易経」
- 「西周易経」に解説、吉凶判定、儒教的教訓が追加される
- 「原典A」と「原典B」の原意が全くわからなくなっている
- 最終的に8象X8象=64卦、6爻の合計384爻辞に再編成
- 論語・春秋に引用されている(中原諸国の卿丈夫が編集した「春秋易経」?)
- おそらく中原諸国の卿大夫が吉凶判定と解説(原意は不明になっている)を加えてできた「春秋易経」に儒教教団が儒教的教訓を追加して「戦国易経」を作成
- その後、陰陽思想の概念を持った学者(荀子?)が象伝を追加
このあと戦国、秦の焚書坑儒、楚漢戦争でいったん散逸
「西漢易経」
- 散逸した「春秋戦国易経」を復元
- 復元の過程で順序の混乱が生じる
- 本文の付け加えはないと考えられる
- 吉凶判断について関心が薄い傾向がある
- ほぼ現在の形にまとまる
« 財務省グッジョブ! | トップページ | 「易経」の成立(2)「原典A」「原典B」 »
「易経・春秋・漢字」カテゴリの記事
- 易経勝手読み(八七)…沢水困(2018.08.28)
- 易経勝手読み(八六)…水風井(2018.01.24)
- 古代シナ史の三重構造(2018.01.14)
- 機織りと漢字(3)…哉・載・歳(2017.07.02)
- 機織りと漢字(2)…成・戒・國(2017.06.28)
コメント