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2010年2月24日 (水)

階級の季節が来るのではないか?

陰暦 一月十一日

 民主党の選挙対策委員長が鳥取と島根のことをチベットといって、鳥取の市町村会や自民党の国会議員が怒っているそうな。

 こういうときは真面目に怒っても仕方がない。どうせなら失言を逆手にとって「じゃああなた方はチベットに圧政を敷く中共政府なんですね」くらいのことを言い返すくらいであってほしい。

 まあ今時の中高年は余裕を失っているから、こうやってヒステリー質に怒ってみせるほうが受けが良いのかもしれないですが。

※私はダライ・ラマを頂点とする僧侶たちがチベットの支配者として復帰することがチベットの人たちを幸せにするとは全然考えていませんが、中共のチベット支配が公正なものだとも思っていません。

 地方議会選挙で共産党が躍進しています。ますますワイマール共和国の崩壊過程に似てきました。ナチスは1932年7月の総選挙で第一党を取ったものの、国会戦術がまるでなかったために右往左往するだけで何もできず。1932年11月の選挙では議席数を減らし、替わりに共産党が議席を伸ばします。

 こによって危機感を懐いた財界がナチスと手を結び、ナチスが政権を掌握。1933年2月に国会議事堂炎上事件が発生して、共産党が非合法化されて、ナチスの政権が盤石となったのでした。

 ソ連の崩壊によって階級対立は政治のテーマではなくなったと世界中の人たちが錯覚していますが、さにあらず日米欧の人々の声を聞いていると、結局彼等が望んでいるのは自分たちの階級の声を代弁してくれる政党なんですよ。しかしソ連崩壊以来階級を前面に出すことは憚られるような雰囲気があるから、どこの国の政党も隔靴掻痒の観を免れない状況に陥っているのが正直なところでしょう。

 平和になって経済が安定すれば、資本の蓄積が進みますので、階級対立が先鋭化して当然なんです。勿論平和と経済の成長によって庶民の生活水準は上がります。しかしそれを越える勢いで資産家にお金が集中するんですね。デフレというのは貨幣が退蔵されている状態ですが、富の再配分がうまくいっていないことに下層民は怒り、上層民は自分の十分な所得が国全体でも確保されていると誤解して、再分配に動こうとする政治に対して敵意を懐くのです。

 中小企業の経営者とか中小の地主だとかは、不況で苦しくなったとはいえ、やはり自分たちは金持ちで人よりも十分にもらっているという自覚をしてほしいです。今の日本(米国や英国にも傾向はありますが)ではこういった小金持ちに自覚がなくて、その日暮らしの人間並みのがめつさで資産を守ろうとしているように私には見えます。自分を儲けさせてくれた世間への感謝の気持ちが薄いです。

 いろいろと考えてみましたが、危機の時代において独裁体制に憧れを抱きやすいという傾向はいつの時代のどこの民衆にも確かにあるのですが、権威主義的な体制というのは、階級対立が先鋭化したときに、財界が急進的な政治勢力の台頭を防ぐために、権勢欲が強くて政策的には背骨がないような人物に支援を与えることが体制成立の決め手になるケースが多いように思えます。

 私はこのまま行けば夏の参議院選挙では共産党が躍進し、参議院は自民党、保守の小政党と共産党で合わせて過半数になるだろうと思っています。自民党と左派勢力の連携の可能性が大いにあるでしょう。細川政権崩壊後に村山政権が成立した再現です。私は阪神大震災への対処に失敗したこと以外は、自社さ政権は悪くなかったと思っています。あのまま村山さんが総理大臣であれば、消費税増税分は財政再建ではなく福祉に向けられていたでしょうから1998年の大不況もなかったでしょう。村山さんが急に辞めたのは消費税の増収分の使い道で財界・日銀・大蔵省と戦って負けたからじゃないかなおそらく。

 しかし社会主義的政策に目覚めた今の自民党が左派政党と連立政権を組むのは財界にとっては悪夢でしょうから、おそらくこれから夏にかけて、そして選挙の後も、財界が中心になって色々な政治的動きが生じて、想像もつかないような展開が生じるのではなかろうかと思っています。

 庶民の生活が改善されなければ内需が拡大することはあり得ません。商品の数を稼ぎたいのならば発展途上国で売るのも悪くはありませんが、やはり一番儲けられるのは先進国市場です。日本は世界で二番目に大きい先進国です。ハリウッドだって、一時期支那に入れ込みましたが、結局日本で売れる方が儲かると言うことに気がついて、ここ数年は日本でのアピールを盛んにしています。十年前と比べて一流スターの来日がグッと増えたでしょ?

 財界の方々が個人的に裕福になっても持続性はありません。ここ十数年くらい、日本の財界は自分たちの階級の利益にばかり気を取られすぎていたと思います。そろそろ日本全体のことを考えて、エリートとして自らが損をかぶるくらいの決断をしても良い時です。共産党が躍進しつつあるというこの状況の意味を見誤ると大変なことになると思います。

 どんな政策を掲げていようとも立法府を重視しているかそれとも無力化しようとしているか、この一点だけで政党の良し悪しは判定できると私は思っていま す。立法府を無力化しようとしている政治勢力は、それが右翼だろうがリベラルだろうが共産主義者だろうが、結局は独裁体制に傾斜し、国際的に孤立し、産業 も文化も進取の気鋭を失って、長期的に国力の衰退を招くでしょう。

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コメント

>商品の数を稼ぎたいのならば発展途上国で売るのも悪くはありませんが、やはり一番儲けられるのは先進国市場です。日本は世界で二番目に大きい先進国です。ハリウッドだって、一時期支那に入れ込みましたが、結局日本で売れる方が儲かると言うことに気がついて、ここ数年は日本でのアピールを盛んにしています。十年前と比べて一流スターの来日がグッと増えたでしょ?

 よく「日本のガラパゴス化」を唱える方達がいますけど、独自の進化を遂げれるだけの市場が存在しているわけです。それも世界有数の市場ですから、「最適地で安く造って、高く買ってもらえるところへ売る」商売の基本に徹した行動です。
 問題は、消費意欲を減退させ市場収縮をおこさせないように維持・拡大するために再分配を行うことのはずです。個人主義的な利益を追求するより、社会全体の利益こそ、階級の利益と維持コスト(高貴なる義務)と割り切って貰いたいものです。
 流通機構の中間コスト削減要求が、結果として「適切な利益配分」を「中間搾取」に置き換えていったことによる弊害なんでしょうか?

 あまり難しいことはよくわかりませんが。

 日本のメーカーはまず日本の消費者が喜ぶ物を作るべきなのではないでしょうか?

 メーカーがマスコミを動員して、日本の消費者をあの手この手で攻撃していることにずっと違和感を感じてきました。

 そんなに欧米の消費者が正しいのであれば、欧米に拠点を移してはいかがかと言いたい。

 日本のGDPは世界の15%くらいを占め帝いたかと思います。15%ならば十分なクラスターです。なぜ他の地域の消費性向に我々が合わせなければならないのでしょうか?

 欧米のメーカーは欧米の消費者の性向に合わせた商品を開発しています。それをそのまま日本に持ち込んでも、合う部分と合わない部分があるでしょう。当たり前のことです。

 ガラパゴスもクソもないでしょう。メーカーはそこにニーズがあれば、ガラパゴスであろうがイリオモテヤマネコであろうが、そのニーズに合わせて商品を作れば良いだけです。

 まして、日本の消費者は世界の15%を占めているのです。

 ガラパゴス云々というのは。要するに自力でホームマーケットの分析することを放棄している言い訳に過ぎないのではないでしょうか?

>まして、日本の消費者は世界の15%を占めているのです。
 ガラパゴス云々というのは。要するに自力でホームマーケットの分析することを放棄している言い訳に過ぎないのではないでしょうか?

 仰る通りだと思います。その地域のニーズに合わせた商品を売れば良いだけですよね。
 池田信夫氏のブログとかを読むと「日本国内市場絶望(悲観)論」の感があるんですけどね。

 文壇は大変な不況のようですから危機感があるのでしょう。けれども従来型のメディアを動員して消費を煽るビジネスモデルに消費者が乗っかってこなくなったからと言って、消費者を攻撃するのはお門違いだと思います。

 それこそ・・・池田信夫氏が普段からおっしゃるように、掴めない企業は構造改革によって市場から淘汰されるべきではないのでしょうか?

 最近色々な評論家が日本の消費者を攻撃していますよね。俺たちに従ってモノを買わないやつは馬鹿だと言わんばかりに。あれは、広告塔としての役割を十分に果たせなくなった評論家が、リストラされることを恐れて責任を消費者に転嫁しているのではなかろうかと私は推測しています。

 ただし国内の需要に対して供給力が過剰であることは明らかですので、日本国内向けに商品を作っている製造業が苦しいことには違いはありません。

 まあ、日本というのは資源以外は、製造業もサービスもすべてあらかたそろっていて、それでGDPに占める貿易の比率が意外に少ないのだと思います(近年の日本経済の成長は貿易に頼っているけれども、国の経済力のわりには貿易額が小さい)。

 米国は超大国で、欧州は二十数カ国集まってやっと維持できているシステムを日本は一国だけで維持しています。そのことの無理が出始めているのかもしれませんね。

 私はこれまでは国内でなるべく全てを調達できるシステムを維持するべきだと思っていましたが、最近は少し考え方が変わってきています。もっと支那や韓国、東南アジアに色々なモノやサービスの供給を頼って良いのではないでしょうか。

 勿論日本は彼等にこれまで以上に高度な商品を提供し、アジア全体の生活水準の向上と日本の利益を両立させる。

 日本の洗練された生活スタイルを輸出することで、アジア全体のキャッチアップを図り、自らも利益を得るというモデルは戦後ずっと日本の企業が築き上げてきた戦略でした。

 日本の企業がアジアの成長と相互理解に果たしてきた役割を、メディアがもっと広めれば、輸出入の拡大による成長と経済の効率化を日本人が肯定的に捉えられるようになると思います。

 でも日本人一般のイメージとして「80年代に貿易を自由化したせいで経済成長が止まった、政府はもっと日本の地場産業を保護しろ!」みたいな誤解があるような気がするんですよね。

 人件費が高いはずの欧州で農林水産業は外貨を稼げる産業になっていますので、貿易の自由化では地場産業はそう簡単には潰れません。農業や商店街などの日本の磁場産業が衰退しているのは貿易のせいではなくて、家内生産に頼る彼等のビジネスモデルが時代に合わなくなってきたからなんですが、それを言うと苦情が来るのでメディアも政治家も何となく貿易の責任にして誤解を増幅させてきました。

 ただし、農業にしても製造業にしても、輸出力をつけるには効率化しなければなりませんので、今の日本(及び欧米などの先進国では)経済成長セクターになれたとしても雇用の受け口にはならないんですよね。むしろ雇用は減る方向に進みます。大規模化して雇用を減らす(あるいは人件費を逓減させる)ことでこれらの産業は成長します。

 今の先進国は経済成長と雇用が分離してしまっています。これが先進国市民の政治に対する不満の元になっています。

 今さら移民でもないでしょうから、社会福祉関係で間接的に政府が人を雇うしかないような気がしますが。これに関しては反撥が強いんですよね。

 ああでもそれじゃあ、このブログでしばらく書いてきた地方の産業を守れという主張と食い違うなあ・・・

 今の先進国で最も不足しているのは「消費者」ですので、地方は生産は諦めて消費者になることで生き残れませんかね。

 具体的には、社会保障とか公共事業とかを充実させることで、高齢者が多く、元々(商工業の)生産力が脆弱な地方を「消費者」にすることは可能だと思うんですよ。

 べっちゃんさん、
>ああでもそれじゃあ、このブログでしばらく書いてきた地方の産業を守れという主張と食い違うなあ・・・
 都市=蟻地獄説(人的資源消費)とその人材供給地としての地方(辺境地)の維持のためには、地方産業を維持しなければならない。
 そのために、「消費者」としての面よりも公共投資による「浪費者」として地方が叩かれたんです。公共投資は、都市を維持するために払うコストによって、「消費者」たる地方を存在させたんです。
 地方に対する公共投資の乗数効果は低いとか無いとか言うのはおかしいのです。
 国内全体の経済動向からすれば、地方の労務費分の効果しかないから意味が無いといいますが、資材等はすべて中央に集約され国内で消費されているのです。
 定額給付金の時もそうですが、地方の商店街に使われたのが約3割、全国チェーン店(イオン等)が約7割に使われました。当時、自民党が行ったこの施策の乗数効果は地方経済に3割程度しかなかったから失敗だったとミクロ的の見地で指摘するのです。ですが、日本国内全体(マクロ)は、まったく違ったはずです。
 自民党が守ろうとしたのは、地方の産業を守る=地方の消費者性向=都市労働者なんです。

 結局民主党の政策を推し進めれば、三大都市圏への人・物・金の更なる集中を招くと思います。どうも民主党とマスコミそしてエコノミストたちの目指す方向は「安い労働力の確保」という一点に集中しているように見えてならないんですよね。

 本人の信条がどうだったかはともかくとして、レーニン・スターリン・毛沢東は農民を共同体から引きはがして頼るもののない都市の労働者にすることによって、安価な工業労働力を確保しました。どうも地方の独自文化を破壊するリベラルの政策は、全部最後は安価な労働力という結論に結びついているような気がしてなりません。

 日本の保守派は何かというと伝統の破壊を占領軍の日本弱体化政策のせいにしますけれど、伝統の破壊と都市労働者の確保は、日本の産業界肝煎りで、日本人自身の手で進められてきました。これは明治維新の廃仏毀釈と全国一律の学制創設からずっと続く近代日本の一貫した政策です。

 もっと古い例として英国のエンクロージャー運動をこれに加えることが可能でしょう。

 しかしこの供給超過の時代に、安い労力をますます増やして、国が豊かになりますかね。

 民主党のばらまきは徹底させれば景気対策として有効だと思います。それどころか日本経済を巣くう可能性があります。子供手当もどうせ出すのなら一人一ヶ月十万円くらい出すべきです。失業手当もガンガン出し、生活保護もガンガン出す。財源は国債で大丈夫です。この超デフレ時代に国債を年100兆円出してもインフレにはならないでしょう。

 しかし民主党は予算の組み替えでやろうとしていますので、民主党のばらまきには需要創出効果はないんですね。前にも言いましたが貯金が積み上がるだけです。デフレは悪化しかねない。

 民主党の政策は都市労働者の確保、金融機関への資金注入(預金が積み上がるだけの○○手当、需要創設策を伴わない金融緩和)ですから完全に供給不足対策です。高度経済成長期にこれをやれば経済は成長するでしょうが、デフレの時代にこれをやっても仕方がないでしょう。

 政府に回ったお金をコストとしてしか評価しないエコノミストたちはどうにかならないのでしょうか。政府がモノを買ったり人を雇ったりすれば、国全体としてはこれは負担にはなりません。

 エコノミストって大企業から見た経済の姿しか解説してくれません。新聞や政治家がこれを訂正してくれていたのですが、今や新聞も政治家もエコノミストに拝跪しています。

 企業が大きな役割を果たしているのは確かですが、企業の声が強くなりすぎています。

 民主党は産業への補助金を減らそうとしているので、反企業的な政党とみなされていますが、これは違います。民主党は安価な労働力の拡大や企業による社会保障負担を減らすことを目指しているので、自民党以上に資本の拡大に忠実な政党です。

 自民党の産業政策には必ず「雇用の確保」という観点があったのですが、民主党にはこれがありません。○○手当も国が手当を出す分給与引き下げを目論む超産業界よりの政策です。

 「子育て世代の支援」なんかが労働組合が昇給を要求する時の大きな論拠の一つになってきました。

 子育て手当のように、直接金を配る政策はこのような論拠を奪う政策ですので、労働者寄りの政策ではあり得ません。労働組合は真っ先に反対するべきです。

 民主党が諸々の手当を出すことによって、労働者を守るための口実が一つ一つつぶされようとしていることに労働組合は気がつかなければダメでしょう。

 農家の個別所得保障は、農業政策ではなく「金融政策」です。「子ども手当」も「金融政策」で「消費者」を拡大する政策ではありません。自民党を超越する「金融資本主義」で、あからさまな下層民創出政策(安価な労働力)を希求しているのは、「消費は(一部の者達のみが享受する)権利」と考えているとしか思えません。(パレートの法則の先鋭化)

 労働組合=連合は、労働者の味方ではないと思います。自分が知っている連合加盟某旧公社系は、残業が一定数を超過すると管理者と協議し、「外注(請負)」「派遣」等により正社員の労働環境改善を協議することになっています。連合加盟正社員の自由(時間)の確保が、派遣労働者を大量に生んだのです。派遣会社はピンハネしているのではなく、正社員の自由の拡大の貢献に対する対価を受領しているだけにすぎません。
 それでも派遣問題を連合が救済するのは、加盟労働者(正社員)の、労使協定による「労の要求に使(経営者)が応じた結果という、責任の回避と転嫁が目的でしょう。

 べっちゃんさんが指摘するとおり、「子育て世代の支援」=「家族手当」として会社に支給させていたものを、国に片代わりさせる政策です。当然、支給と同時に廃止することになると思います。労働基準法では支給が義務付けられているものではありません。会社が支給規定により支払いが決められていれば「賃金」としてみるだけですから、問題は、「就業規則の改定」を今月辺りどのように行われるかでしょうね。
 ですから「子ども手当」の支給に合わせて、基本給の減額は無いけど、総支給額の減額がおきるか要注意する必要があります。

 英国のブレア政権は、さんざん金融業に利益を供与した挙げ句に、金融業が生み出した損失を国民全体の負担にすることに成功しました(最後の段はブラウン政権の仕事ですが)。

 だから日本の民主党がブレアを参考にしているというのは確かにそうなんですね。このまま行けば英国と同じ展開が待っているでしょう。

 業界団体への天下りはできなくなりますが、これからは官僚は金融業へのコンサルタントになるようになるでしょう。

 小沢氏のこの二十年間の行動を見ていれば、終始彼の目的が労働組合の弱体化にあったことは明白です。労働組合はさっさと民主党から離れないと衰退が待っているだけです。

 資本家があの手この手で利益の拡大を図るのは当然のことです。結局日本で労働者の権利が十分に守られていないのは労働組合が怠けているからに過ぎないでしょう。

 民主党がテレビと相性が良いのはテレビ産業が資本が目指す産業の究極の形態のモデルだからです。

 テレビ産業においては正社員(テレビ局社員)はごく少数の管理部門に限定されています。テレビ局は計上している儲けのわりには社員も資本財も非常に小さい。

 テレビ産業に於ける労働者は芸能人(派遣労働者)と下請けの制作会社です。いずれも仕事一つ一つで契約されて、毎回解雇されています。他の産業ではあり得ない雇用契約が当然のこととして認められています。

 しかも芸能人も下っ端になると一日働いても給与は一万円未満。バイトで生活です。十分な給与を与えなくても働いてくれる。これほど都合の良い派遣労働者は他の産業では存在しません。

 映画会社には労働組合がありましたが、あれも守っているのはごく少数の映画会社に雇われている技術者だけでした。それももうなくなりました。

 テレビ産業は民主党や資本家が目指す日本の産業界の明日の姿です。しかしそれが万年赤字体質になって潰れようとしている(最終的には政府からの補助金で延命する産業となるでしょう)のは皮肉なことです。


 日本の正社員と労働組合、それと派遣労働者の関係は武家の雇用形態そのまんまですね。

 管理職が御家人・旗本・上士に当たります。

 一般の正社員はこれら上士の家臣である「家の子・郎党」に当たります。上士と家の子郎党は強固な関係で結ばれています。大体分家だったりします。

 派遣労働者は戦闘の時だけ雇われる足軽です。日本というのはあの戦国時代でも戦闘は農閑期の数ヶ月しかなかったので、戦闘員は最後まで郎党(正社員)になり得なかったのです。

 南北朝時代までは戦闘員も郎党に近かったのですが、そのころは豪族の仕事は農業が主で武士はボランティアでした。武士(管理業務)が専業化するにつれて、戦闘員の契約社員化が進行しました。武士が専業化したのは室町時代に進んだ生産力の拡大によって、自ら生産を行わなくてもやっていけるようになったからでしょう。

 結局武家への奉公であり続けた足軽は明治維新まで契約社員のままだったんですね。農業労働者に戻った足軽は寛永年間の沖積平野開拓によって小規模農になることができました。

 民主党がやろうとしていることは武士(正社員)の保護、倹約による金融への資源集中、朱子学の官学化(メディアのコントロール)ですから松平定信に近いです。

 田沼意次は産業を振興させて商工業からの税金でやっていこうとしたのですが、これを松平定信が両替商からの借金で歳入をファイナンスする態勢にしてしまいました。寛政の改革で一度失脚した後、しばらくして復帰した後期の松平定信がやったことです。

 文化・文政年間は都市の贅沢消費によって経済は回りました。デフレで低金利でしたので幕府と藩は金融からの借金で生き延びました。産業育成は何も行われませんでした。人口は微減しています。人口の9割を占める農村では、デフレと天候不順によって、人口が減少、小規模農が没落して水呑百姓となり、豪農に土地が集積されます。水呑百姓の多くは都市に流入して人足(派遣労働者)となります。

 日本の歴史を見ていると、日本人というのは国と直接的関係を結ぶことへの忌避が強いです。福祉国家が実現しないのも、国から直接雇用、あるいは給付をもらうことへの忌避が強いからです。

 これはおそらく「神」への畏怖が国への畏怖に転嫁しているからでしょう。あまり高貴なものと直接的関係を結ぶと身を滅ぼすという信仰が我々にはあるのだと思います。

 福祉国家になって豊かに暮らすよりは、虐げられていても良いので、身の回りにいる中小事業者の小間使いでいた方が安心。そんな願望があるように思えるのです。

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